ヒデちゃん、今年も手紙を書くね。


たくさんのファンや、新しい才能を持ったクリエイター、そしてスタッフを含めてヒデちゃんと関わった多くの人たちに、夢と勇気をありがとう。

未来へ進む力をありがとう。



ヒデちゃんさあ、最近またXのことでインタビューを受けていてね、あの頃の記憶を話していて思ったことがあるんだ。

1987年の終わりに5人と会ってから、どんな風にメンバーと繋がっていったのか尋ねられてね、最初にYOSHIKIと名曲を生み出す話を始めて、あとTAIJIとミュージシャン同士の会話して、それから春になってTOSHIくんとステージパフォーマンスのことを話し合って、でもPATAとHIDEとは特別に話さなかった、って答えたの。

僕がギターのことあまりわかってないから、って。

でね、PATAはほんとにギターだからあんまり話すことなくて・・・なんだけど、ヒデちゃんはちゃんと僕、考えてて、わざと話すのずっと最後までとっといた、っていう話をしたんだよね。

インタビュアーの人が驚いて感心してた。

まあ、この話はさ、おととしも本に書いた後、この手紙で伝えたけどね。

それでね、僕がヒデちゃんと話すのをメンバーの中で一番最後にしたのが、ヒデちゃんがメンバーもファンもXっていうバンドも、みんなちゃんと広い心と優しい目で見つめていたからなんだ、って説明してね。

だから僕とメンバーの様子も黙ってちゃんと見つめていて、YOSHIKIやTAIJIと繋がり始めたから、任せていて大丈夫、そのうちに話す時が来たら自分が話すってヒデちゃんが思ってるのを、僕がわかってたからなんだけど。

僕さ、気がついたんだよね。

ヒデちゃんがどうしてあんな風にメンバーやファンのことを、黙って見つめて包むみたいに理解してくれてたのか。

きっとヒデちゃん、みんな自分のことみたいに感じてたんだね。

ぜんぜん他人ごとじゃなくて。

お酒飲んで二人で話してる時もよく、誰々がYOSHIKIのことわかってない、とか、ファンの気持ち考えたらかわいそうじゃん、とか、悔しそうに話してたでしょ。

ヒデちゃんにとっては、みんな自分のことみたいに感じて真剣だったし辛かったんだな、って思った。

僕はさ、そういうのって一番優しいと思う。

それで、一番強いんだと思う。

ヒデちゃんに、優しくて強いんだね、ってあの頃伝えられなかったのが残念。

僕もまだあの頃はわかってなかったんだね。

でも、だからここで伝えようと思った。

僕もいろいろなことを自分のことのように感じることがあって、それがすごく大切なんだ、って今はわかってる。

それをきちんとしてたヒデちゃんがすごいな、って思った。

それに、ヒデちゃんが暴れてる時もね、僕は得意ですぐにヒデちゃんのそばに行ったでしょ。

あの頃は本能で、ヒデちゃんの気持ちがわかるからそばに行ってたんだけど、ああやって暴れるヒデちゃんも、結局いろんなことを自分のことみたいに感じてるからだったんだね。

いろんな人のことをわかって辛くなって、できること全部やって、たくさん助けて、でも誰も傷つけなくて、その代わり、たくさんのことを自分のことみたいに感じてたから、時々暴れちゃってたんだろうな、って今は思う。
やっぱり、ヒデちゃんが優しいのは、ヒデちゃんが強いからなんだよね。

あの頃は言えなかったけど、今は言える。

そういうヒデちゃんのこと、僕は尊敬してる。



今はネットでいろいろな動画を観ることができるから、作品だけじゃなくてアーティストの人柄なんかがよくわかるんだけど、やっぱりヒデちゃんの優しさと強さは映像からすごく伝わってくる。

その姿に勇気づけられたり救われたりするファンやクリエイターがたくさんいるのが、僕は嬉しいよ。

最近は、あまりに情報が多過ぎて、みんな何が正しくて何が素晴らしいのか分からなくなってきてしまっててね。

でも、そんな時にヒデちゃんの姿を観ると安心するんだ。

これからもたくさんの人たちに光を見せてね。

ありがとう、ヒデちゃん。

ヒデちゃん、本当にありがとうね。



2021年5月2日

津田直士


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(株)津田直士事務所スタッフからお知らせ

☆ Xにまつわる著書が御座います。この機会に是非お買い求めください
・『伝説のライナーノーツ』
 「BLUE BLOOD」や「Jealousy」に書いた文章とその背景を描いた最新刊
・『美しい記憶』
 「BLUE BLOOD」リリース30周年のために書き下ろした新刊
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 Xとインディーズから東京ドームまでを共に駆け抜けた記憶を描いた代表作
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☆ 2017年夏、津田直士が寄稿した記事
 イミダス時事オピニオン「X JAPANが世界で評価される理由」

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【津田直士プロフィール】音楽プロデューサー/作曲家
Sony Music在籍時に「BLUE BLOOD」「Jealousy」「ART OF LIFE」
のCo ProducerとしてX JAPAN(当時はX)をプロデュース
インディーズ時代から東京ドーム公演までをメンバーと共に駆け抜けた記憶
の一部は、映画『WE ARE X』の中、インタビューという形で語られている。
また、自署「すべての始まり」にはその記憶のすべてが描かれている。