第404号 2021.7.27発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…東京オリ・パラの開会式で作曲を担当していたミュージシャンの小山田圭吾が、過去に障害のある同級生に対して筆舌に尽くしがたい残虐行為を行っていたことを、雑誌のインタビューで自慢げに語っていたことが問題視され、開会式の4日前に辞任した。ポリコレ棒で人材を抹殺していく最近の風潮は間違っているが、この件はそれとは明らかに異なり、辞任はやむを得なかっただろう。ここで問題なのは、なぜこんな吐き気がしそうなほど非常識な「いじめ自慢話」が複数の雑誌に平然と掲載されたのかということだ。これは、90年代のサブカル界隈で流行っていた「鬼畜系」というものを知らなければ理解できないのである。「鬼畜系」とは何なのか?何故こんなものがブームになっていたのだろうか?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…アメリカ在住の日本人医師が半数を占め、厚労省によるファイザーワクチン解禁と連動して活動している『こびナビ』。運営メンバーで副代表の峰宗太郎医師(米国メリーランド州在住)は、ワクチンに対して警戒心を持っている少数派の人間を、徹底的に「非国民」扱いしたいようだ。今回は、『こびナビ』が広く宣伝している「ワクチンの有効性」について、事実はどうなのか、ファクトチェックしてみたい。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!人気YouTuberが河野大臣と一緒に動画を出しているのをどう思う?コンビニスイーツと従来の洋菓子店和菓子店、どっちが美味しい?「表現の自由」において、ムハンマドの風刺画とユダヤ人虐殺を揶揄はどう違う?トランスジェンダーの選手の競技参加(公平、不公平)についてどう考える?東京五輪の開会式の演出をどう思った?ニコニコ動画がYouTubeに勝つために必要なことは何?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第428回「常識の逆襲にあった鬼畜系」
2. しゃべらせてクリ!・第360回「沙麻代ちゃん!スマホばっか見らんで、ぽっくんを見てクリ~!の巻【後編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第222回「ここがヘンだよ“こびナビ”~『ワクチン95%効く』は本当?」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第428回「常識の逆襲にあった鬼畜系」 開催前日まで「中止にしろ」だの「選手入場だけにしろ」だのと叩かれまくった東京オリンピックの開会式だが、フタを開けてみれば実に素晴らしいものだった。
そして柔道の阿部兄妹など日本人選手のメダルラッシュが始まると、世の中はつい最近まで世論の8割が「中止」または「延期」を求めていたことなどケロっと忘れて、歓喜の嵐である。そんなもんだ、民意なんてものは。
オリンピック・パラリンピックは大いに盛り上がってほしいが、そうなるとたちまち忘れ去られそうな話題もあるので、今回はそれについて書いておく。
東京オリ・パラの開会式で作曲を担当していたミュージシャンの小山田圭吾が、過去に凄惨ないじめをした経験を雑誌のインタビューで自慢げに語っていたことが問題視され、開会式の4日前に辞任した。
問題とされた記事は主に「ロッキン・オン・ジャパン」1994年1月号と「クイック・ジャパン」1995年8月号のもので、小・中・高一貫校の和光学園の学生時代、障害のある同級生に対して「全裸にしてグルグルに紐を巻いてオナニーさしてさ、ウンコを喰わしたりさ。ウンコ喰わした上にバックドロップしたりさ」等々、筆舌に尽くしがたいいじめ、というより「残虐行為」を行っていたことを、笑いながら「武勇伝」のように語っていた。
小山田は長文の謝罪文を発表したが、その謝罪を本気で受け止めた者はいなかった。なぜなら問題の記事は26~27年も前のもので、この件はその後もネットで何度となく蒸し返され、炎上していたのに、小山田はそれを一切無視していたからだ。
本当に過去の自分の言動を反省し、謝罪する気持ちがあったなら、その機会はいくらでもあったにもかかわらず、小山田はその全てをスルーし続けていた。それを今になって謝罪文を出したところで、オリ・パラの作曲から降ろされたくないという「保身」にしか見えなかったのは当然である。
これは決して「過去」の問題ではなく、小山田は現在に至るまでこれを悪いことだとは思っていなかったと解釈されても仕方がない。
ポリコレ棒で人材を抹殺していく最近の風潮は間違っていると思っているが、この件はそれとは明らかに異なり、辞任はやむを得なかったとわしは思う。
むしろ、小山田の身障者いじめ自慢の件は、音楽業界では知らない者がいないほど有名な話だったのに、それをオリンピックのみならずパラリンピックの音楽担当にまで起用した人間が、どうかしていたとしか言いようがない。
さてここで問題なのは、なぜこんな吐き気がしそうなほど非常識な「いじめ自慢話」が複数の雑誌に平然と掲載されたのかということだ。
これは、90年代のサブカル界隈で流行っていた「鬼畜系」というものを知らなければ理解できない。
「鬼畜系」とは、わざと世の良識に背き、欲望のまま徹底的に下品で残酷なものを楽しみ、悪趣味な行動や発言をしようという、今となっては理解のし難いムーブメントである。
当時の状況を、「週刊SPA!」1996年12月11日号はこう書いている。
若者のファッションや音楽において「渋谷系」というジャンルが席巻したように、若者カルチャー界で今、急速にその足場を固めつつあるのが「鬼畜系」だ。死体写真やフリークス写真に軽~いノリの文章を添え、ハードなスカトロなどの変態の世界を嬉々として笑い飛ばす。さらにドラッグやレイプ、幼児買春といった犯罪行為の情報も満載。このタブーなき欲望追求カルチャーは一体どこへ向かうのか?
現在では考えられない話だが、昔だったら「変態」と蔑まれ、マニア向けの専門店にひっそりと置かれていたはずの情報が、当時は「鬼畜系」という言葉で「危なく下品」だけど「明るく楽しくオシャレ」なものに化け、一般書店で堂々と平積みされていたのだ。
そして「鬼畜系ブーム」は若者カルチャー界をも越え、凶悪殺人犯を1冊に1人特集し、犯行現場の死体写真なども満載した「マーダーケースブック」という週刊誌がデアゴスティーニから発行され、テレビCMまで打たれて結構売れるという現象まで起こった。
その背景には90年代の世相がある。
コメント
コメントを書くお詫び
本来よしりん企画の皆様と書くところを目薬をさし忘れたせいか吉臨企画と書いてしまいました。
申し訳ございません。
Yahoo!の「リアルタイム検索で話題のキーワード」で先ほどまで「倉持先生」=倉持仁医師の名が1位になってました。
ざっと見たところ菅首相・小池知事批判をした事で溜飲が下がった人たちが多かったようですが、私には増長してるようにしか思えません。
>>303
あはは(笑)コロナ脳の専門バカの方の倉持ですか。倉持弁護士にいい迷惑ですね。まぢでこのクソ素晴らしいですか?
>>304
Twitter見に行ったら想像以上に……何というか……ヤバい事になってました。
この発言とか↓
https://twitter.com/kuramochijin/status/1422459764789841924
分銅三郎さんが>>286で書かれてたように、心理的に追い込まれてる事の裏返しなんでしょうかね。
(分銅さん、前回のライジングコメント欄で、お通夜の法話でお坊さんが「コロナは怖くない」と発言してた事を報告した者です。レスありがとうございました)
※すみません。1回コメントしたんですが書き直しました。
>>306
Twitter見ました。色々意味でクソ素晴らしい発言で頭イカれてることがわかりました‼️
>>306
ご丁寧にありがとうございます。
私も毎日ログインしているわけではないので、見逃してることがあったらご容赦を。
この先生のツイッターのフォロワーが、それこそ『信者』という方々なんですね。この人のいう事を一字一句正しいという、それが彼の増長の原因にもなっています。医者としての良心があるなら、もう一度それを思い出してもらいたいですが、金と権力に目がくらんだらどうしょうもないですね。
ツイッターで自分の悪口を言ったものを『開示請求』するといって脅しているようですが、これは他の煽り屋も同じですね、本当はすごく気が小さいのでしょう。
我々が信者とは違うのは、自分の頭で考えてるから、頭を鍛えるのがゴー宣道場です。
お疲れ様です。
毎回、勉強させて頂いてます。
私は、某県警に奉職してる身ですが、意味の分からないまん防に辟易してます
お疲れ様です。
毎回、勉強させて頂いてます。
私は、某県警に奉職してる身ですが、意味の分からないまん防に辟易してます
ゴー宣「常識の逆襲にあった鬼畜系」を読みました。とても、とても面白かったです。物語ですね。
小林先生のような生き方は、とても、とても面白い物語になるのですね☆♪
その物語の主人公を実際にリアルタイムで体感しながら生きている先生は、何てえダイナミックでエキサイティングな人生を送っているんだ!! しかも脚色も自分だから、思った通りに展開を変えてしまえるのも自分自身。何てえ素晴らしい人生なんだ☆☆☆
でも、これって、相当な覚悟や勇気、胆力、忍耐力、継続力、努力などが必要で、生半可な気持ちでは絶対に出来ない。
そういう勇気や覚悟、勤勉さを持ちさえすれば、先生のようなトンデモなくエキサイティングで面白い人生が、送れるのでしょうね。
当時、鬼畜系と言うブームがあったのは憶えていませんが、ミョ~に常識外れの奇抜なことをやって目立とうとしてたヤツって、宅を筆頭に居ましたね。
旧ゴー宣で先生が描かれていた、平凡な人間が目立とうと奇抜なことばっかやろうとして結局歳だけとっていく場面と、常識の柱にロープを付けてどれだけ飛べるかとおっしゃっていた場面を思い出します。
トンデモ見聞録「ここがヘンだよ“こびナビ”~『ワクチン95%効く』は本当?」を読みました。
世論調査と同じ手法ですね。そもそも日本で解禁される前に欧米での治験段階で死んだ人が大勢居ると、あのモーニングショーでも言ってたと思います。それで、95%効くなんて言われても、『何がどう効くんだよ!?』『どういう計算したんだよ!』『本当なのか?』『めちゃくちゃウソくせえぞ!』と思うのが普通の感覚かと思います。
数字が並ぶと、前頭葉が悲鳴を上げてしまって…。
ただ、マジックの正体は理解出来ました。
峰宗太郎って権威主義なだけの、ど~しよ~もね~ヤツですね。この肩書きは、何でしょう。会員とか研究員って、会社員ってことと同じで殊更強調するようなことじゃないフツーのことのような気が。
肩書きしか頼るモンがなく、中身スッカラカン野郎だと思います。変なのも、痴性なんて書いて知性ないのも峰だとあっという間に分かってしまいます。同情はしませんが。