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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「12月24日といったらクリスマスじゃなくてアポロ8号だろ!」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「12月24日といったらクリスマスじゃなくてアポロ8号だろ!」

2018-01-03 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/01/03
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    今回は、ニコ生ゼミ12月24日(#210)から、ハイライトをお届けいたします。

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     「12月24日といったらクリスマスじゃなくてアポロ8号だろ!」


     アポロ8号が月の周りを回ったのは、実は1968年の12月24日。
     ちょうど49年前のクリスマスなんですね。

     なので、今日はその話をちょっとしたくて、アポロ8号についてまとめて参りました。
     もう、「宇宙に関してだったら、岡田斗司夫は止まらない!」というやつですね。

     まあ、日本中、どこもクリスマスの話題をやっている中、「12月24日といえばアポロ8号だろ!」なんてやってる人は誰もいないと思うんですけど(笑)。


     アポロ8号を知る上でのポイントは3つです。

     まず、1つ目は「決死の宇宙飛行」。
     実は、かなり危なかったという話。

     2つ目は「大感動の生放送」。

     そして、3つ目は「なぜか訴えられて最高裁判所まで争うことになる」。

     この3つの話をしようと思います。

    ・・・

     アポロ8号というのが、なぜ決死の宇宙飛行だったのかというと、まずこれは有名な話なんですけど、その1年ちょっと前の1967年の1月にアポロ1号というのが火災事故にあったんです。

     その火災事故で、アメリカの宇宙開発の歴史上、初めて宇宙飛行士3人が焼け死にました。

     この火災の原因 自体は今では判明していて、その理由は「宇宙船内で電気がショートして、それが可燃物に燃え広がったから」です。

     アポロ宇宙船の中は、100%の酸素で満たされていたので、あっという間に火が回ってしまったんですね。

     その上、事故の起きる少し前に、「宇宙飛行士のミスによって、ドアが開いてしまう可能性がある」という意見がNASAの中であったので、ドアが開きにくくしてたんですね。

     このドアの件についても、いろんな事情がありました。
     この話については、このニコ生でも今まで何度か語ってるんですけども。


     宇宙船が、まだ“宇宙カプセル”と呼ばれていた時代、つまり、マーキュリー計画の時代には、宇宙船のドアは外からボルトで止められていて、中から外せなくなっていたんですよ。

     しかし、それを見たプライドの高い宇宙飛行士達が「なんだこれは! どんなジェット機にも戦闘機にも、脱出ハッチというのがついているだろ! スイッチ1つでポンっと脱出できるやつを付けろ!」と言ったんですね。

     そうしたら、科学者達はせせら笑いながら、「いや、そんなのいらないよ。宇宙飛行なんて言ったところで、お前らはただ単に実験用の猿に過ぎないんだから、蓋を閉めて飛んで行って、帰ってきたら開けてやるので十分だ。カプセルにはエンジンも何も付いていないんだから、お前らが中で何をしようが、操縦なんてできないようなもんなんだ。だから、中で座ってりゃいいよ」っていうふうに言われた。

     ところが、プライドの高い宇宙飛行士達は、それにマスコミまで巻き込んで、猛抗議しました。

     「俺達はパイロットだ! まず操縦装置をつけろ! 窓をつけろ! ドアをつけろ! ドアには“爆発ボルト”と呼ばれる非常時にスイッチ押すだけで、ボンと爆発してドアが無理やり開く仕掛けをつけろ!」と言ったんですね。

     その運動は成功して、結局、後期のマーキュリー宇宙船には脱出ハッチがつけられたんですよ。

     ところが、そのおかげで、脱出装置の誤作動で爆発ボルトが開いてしまって、宇宙カプセルが1つ失われるという事故が起こってしまった。

     「ガス・グリソム」(コメント)

     そう。今、コメントでも出た通り、ガス・グリソムの事件が起こった。

     なので、アポロ宇宙船では、もう一度、わざわざ宇宙飛行士が開けにくいドアに変えちゃったんですよ。

     こんなことが起こらないように。

     しかし、その結果、同じガス・グリソムが、アポロ1号の本番前のテストで、純酸素を満たした宇宙船の中に他の2人の宇宙飛行士と乗っている時に火災事故が起こり、脱出できなかったこの3人が死んでしまった。

     この火災事故のおかげで、アポロ計画というのは大幅に遅れたんですね。

    ・・・

     アポロ計画というのは、ジョン・F・ケネディが「60年代のうちに人類を月に送る」と約束してしまったせいで、どうにかして69年のうちに月に送らないといけなかったんです。

     そのために、マーキュリー計画から始まって、ジェミニ計画、アポロ計画というふうに3つ目の計画までポンポンと進んでいたんですけど。

     しかし、火災事故のせいで、この計画が大幅に遅れてしまった。

     そして、計画が大幅に遅れてしまったので、このアポロ8号の打ち上げでは、初めてのことが多過ぎだったんです。


     アポロ1号が事故を起こしてしまった。

     続く、アポロ2号、アポロ3号というのは欠番です。

     そして、アポロ4号は、“サターンロケット”の初めての全力試験です。
     このサターンV型ロケットっていうのは、ちょっとここに簡単なおもちゃを持ってきたんですけども。
     
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     (ロケットの模型を見せる)

     まあ、これがサターンⅤ型ロケットですね。

     直径10m長さが110mの「人類が作った最も巨大なロケット」と言われてました。
     これのエンジン全開テストというのをやってなかったんですね。


     アポロ4号では、このサターンⅤ型の全開テスト、つまり「1段目を吹かして飛んで切り離して、2段目吹かして飛んで、3段目を吹かして飛んで~」というのを、全部やろうとしてやったんですよ。

     結局、飛行中に、燃料がタンクの中でガーッと動いてしまうなど、いろんな事故が起こって、3段目の点火まではできなかったんですけどね。


     おまけに、発射した時の衝撃が、予想していた計算結果よりも遥かに大きくて、発射場から6km離れた…

     …6kmですよ?
     6kmって、かなりの距離なんですけども。

     6km離れた場所で生中継を行っていたビルの報道ルームが壊れはじめて、解説を行っていたウォルター・クロンカイトという有名な解説者が、生放送の最中に窓ガラスが割れないように押さえていたという本当の話が残ってるくらいなんですよ。

     NASAも、まさかそんなことになるとは思ってなかったんで、「これはエラいことだ」と、以後、発射台の下に水を張って衝撃波を吸収するようにしました。

     それくらい、わけがわからない中で行われたのが、アポロ4号の打ち上げです。


     その次のアポロ5号でも、まだ、ロケットの先端に収めている月着陸船の無人の打ち上げテスト。
     6号でも、まだ無人です。

     そして、アポロ7号で初めて、「この巨大なロケットのてっぺんに人を乗せて、宇宙空間に持っていっても大丈夫か?」という試験をした。

     その次が、アポロ8号なんですよ。
     1968年の12月に飛んだのが。

     ・・・

     アポロ8号の段階では、もう計画は遅れに遅れていた。

     おまけに、グラマン社が作っていた月着陸船が「NASAのみなさんが言っているようなスケジュールで、アポロ8号の月着陸船は作れません! 間に合いません!」とギブアップ宣言をした。

     なので、本来は月着陸船まで飛ばすはずだったところから、ロケットの先端に付いた、全体比からしたらほんの僅かなこの部分のアポロ宇宙船しか、宇宙に打ち上げられないことになった。
     
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     どうしようということで、NASAのスタッフが考えたのが、「じゃあ、せめてこれを月の近くまで持って行って、月の周回軌道に乗せよう」と。これが、1968年の計画でした。

     この時点で、アポロ4号の発射時に3段目の点火が出来なかった理由というのもやっとわかったところだったんですけども。

     そういった、何もかもが無理無理の状態で打ち上げられたのが、アポロ8号だったんです。
     これが、「決死の宇宙飛行」ということです。

     もちろん打ち上げている最中にも、いろいろな事故が起こりました。
     なので本当に命がけで、なんとか月まで行ったんですね。

    ・・・

     では、2つ目の「大感動の生放送」という話です。

     1968年の12月23日、つまり、49年前の昨日、ようやっとアポロ8号は月の周回軌道に乗りました。
     そこから先は、もう、観測するしかないんですね。

     そして、観測している中で、月という星が、もう本当に“死の世界”であるとわかった。

     そこで、宇宙飛行士達はアドリブを考えたんです。


     その翌日の24日の夜の生放送で、例の窓ガラスが破れないように押さえていたアメリカで1番 有名なニュースキャスターのウォルター・クロンカイトと通話することがあったんですけど。

     「こちら宇宙のアポロ8号です。月からみなさんにこの状況をお知らせします」ということで、色々と話した後で、最後のクライマックス、生中継の視聴率が最も上がる所で、いきなり宇宙飛行士3人が“創世記”の引用を始めたんですね。

     旧約聖書の創世記の、「はじめに光があった。混沌しかなかったところに光が溢れ、この世界は光と闇に分かれた。神はそれを良しとされた。2日目、神は天と地を作られた」という一説を読んだ。

     これでまあ、アメリカ人は大感動したんですね。


     1968年というのは、アメリカの建国以来の歴史の中で最も暗い年といわれていました。

     ベトナム戦争はもう末期で、おまけに国内でもテロ事件が多発していて、ケネディ大統領だけでなくて、その弟まで暗殺されて、その上、黒人の暴動事件も起こるという、すごく暗い1年だったんです。

     それがアポロ8号が月から旧約聖書の一説を読むという、この感動的な出来事のおかげで、アメリカの国民の心が1つにまとまった。

     このアドリブは、後に「68年という年は、この3人が救った」と言われるような出来事になったんですね。

     これが、「大感動の生放送」です。

    ・・・

     ところが、そのおかげで、3つ目の「訴えられ、最高裁判所へ」ということになったんです。

     この3人の朗読は、たしかに大感動を呼んだんですけども、それだけで収まらない人がいたんですね。


     無神論者という、「神なんかいない! 宗教なんか、全部 嘘だ!」というような人が、まあ、いっぱいいますよね。

     そんな無神論者のマダリン・オへアという女の人が、この直後にNASAを、というよりは、アメリカ政府を訴えたんですよ。

     なぜかというと、当時、宇宙飛行士というのは、全員“アメリカの政府職員”だったんですね。

     「そんなアメリカの政府職員が、宇宙という公の場所で聖書を読んだということは、国家が特定の宗教を国民に押し付ける行為に他ならない!」というようなことで宗教裁判になったんです(笑)。
     
     これが、もう、大揉めに揉めて、最高裁にまで行ったんです。

     結果、最高裁において、この訴えは棄却されたんですけど。


     この後、NASAはこういった宗教がらみのことについて、ものすごく神経質になりました。

     後に、アポロ11号が月に着陸した時に、バズ・オルドリンという人が、「自分の宗教であるキリスト教の長老学派に法ったミサを執り行いたい」と言ったんですけども、NASAの方は「ダメだ」と言いました。

     でも、バズ・オルドリンとしては、「いや、例の訴えは、最高裁で棄却されたじゃないか。だからミサをやってもいいはずだ。ミサの道具も、俺が持っていく、1人当たり持ち込みが許可されている、40gとか50gという荷物の中に十分収まる」って言ったんです。

     だけどNASAは「それでもダメだ」と言いました。

     結局、どうなったかというと、バズ・オルドリンはミサをやったんだけど、「その様子は絶対に生放送しないし、後で口外しない」という約束で、こっそりやることになりました。

     そんな、最高裁で争うまでの騒動になったというのが、今から49年前の12月24日を中心に起こった事件ですね。

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