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記事 12件
  • 「春の便り」

    2017-04-28 07:00  
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     群馬の見城さんから今年も春の便りが届いた。山菜の女王と呼ばれている春の味覚「こしあぶら」だ。山菜というと野山に自生する草花のイメージがあるけれど、林業が衰退し、人々が里山の手入れをしなくなったことで天然の山菜は希少なものとなりつつある。市場流通している山菜のほとんどが今や農家の手で栽培されているものだ。昔は雑草と言われていた春の七草が農家の手で栽培されているのと同じように。
     

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  • 「弱虫で腰抜けの僕は海を見ながら考えても仕方のないことを考えてしまう」

    2017-04-26 07:00  
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     海は静観していた。目に見えない緊張が夢の中の出来事だと思えるような美しい朝を描き出していた。娘は昨日からまた離乳食を食べてくれるようになった。スプーンに載せた粥を食べ終えたところに、もう一本のスプーンに載せた粥を差し出すという二本のスプーンを交互に手渡すコンビネーションで、気持ち良いくらいに完食してくれるようになった。妻の実家に一泊したのが娘にとっても僕にとっても良い気分転換になったのか。あるいは娘の食べ方が上手になったのか、僕の食べさせ方が上手になったのか。はたまたそのどちらもなのか。とにかく互いに憑き物が落ちたように「食べない(食べたくない、食べられない)」「食べてくれない」というストレスが消え失せ、笑顔になれた。
     

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  • 「憧れは美しいけど、嫉妬は醜い。」

    2017-04-24 07:00  
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     僕に限ったことじゃないと思うけれど、唐突にそういう言葉が脳内で短い文章になっていることがある。たとえば海沿いを走っている時だったり、ビール片手に浜辺を散歩している時だったり、シャワーを浴びている時だったりと、ぼんやりしている時であることが多い。論理的に導き出した言葉ではないので、誰に対するものなのかも、意味があるのかどうかも分からない。何か言っているようで実は何も言っていないのかもしれない。ひょっとすると誰かを傷つけてしまうかもしれない、とても無責任な文章だ。 
     

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  • 「僕なりの匙の投げ方」

    2017-04-21 07:00  
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     2017年4月20日現在において一番の問題なのは、北朝鮮の核・ミサイル開発でもなければ、米軍の圧倒的な軍事力による圧力でもない。ましてやそんな一触即発の危機的状況すら追い風にこの国が戦争のできる独裁国家への道を着々と突き進んでいるように思えてしまうことでもない。申し訳ないけれど今、一番の問題は
     

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  • 「2017、夏の始まり」

    2017-04-19 07:00  
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     冷たいビールが飲みたい。潮風に吹かれた瞬間、久し振りにそう感じたのは、それが風の中に夏の匂いがしたからだろう。冬は内臓を冷やしたくないのでビールを始めとする冷たいアルコール類は殆ど口にしなくなっていた。
     

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  • 「軍港の風に吹かれて」

    2017-04-17 07:00  
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     三浦半島をぐるりと一望できる衣笠公園はさくら百選にも選ばれている桜の名所だ。
     

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  • 「いまさら何を話せばいいんだろう」

    2017-04-14 07:00  
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     気がつくと、父と二人きりだった。灰色の壁に夕陽が射し込んでいた。顔を背け合い互いの気配を伺っていた。長い沈黙に押しつぶされそうになる。金縛りにでもあったみたいに身動きが取れない。18歳で家を出てから30年近くまとまった話をしたことのない父親と、いや、一緒に暮らしていた時だって母親と比べれば何のコミュニケーションも取っていなかった父親と、今更何を話せばいいのかが分からないのだ。いつしか僕は、子供のように大声で泣き喚いていた。 

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  • 「足跡が残るこの大地の上で、広い空を見上げて」

    2017-04-12 07:00  
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     鈴木三枝子さんという美容師について教えてくれたのは、渋谷のラジオで毎月お世話になっている美容文藝誌「髪とアタシ」の編集長ミネシンゴさんが手掛けた初の単行本だ。
    『道を継ぐ』(佐藤友美著 アタシ社)
     2000年代のカリスマ美容師ブームを牽引した存在でもあるヘアサロン「MINX」創業者の妻にして、「鈴木さんに憧れて美容師を目指した」というフォロワーが日本中にいるという伝説の美容師・鈴木三枝子さんについて、彼女と関わった人々の証言を取材し綴られたノンフィクションなのだけれど、
     

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  • 「本当は同じじゃないのかもしれない」

    2017-04-10 07:00  
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     ゆで卵の白身は食べられるけど、目玉焼きは黄身しか食べたくない」と言って「わかる、それ」という人に会ったことがない。だいたいが「同じなのにどうして?」と質問責めにされるのだけど、その理由を未だにうまく言葉にできないのが子供の頃からの唯一の悩みと言っていいかもしれない。
     

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  • 「愛国心ってなんだろう?」

    2017-04-07 07:00  
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     すべての黒人が歌やダンスが上手いわけではないのと同じように、すべての日本人に愛国心があるわけでもない。しかも日本人は世界的に見ても愛国心が希薄だと言われているという。僕自身もそうだ。この海や川がとか、この山がみたいな自然に対する愛着や慈しみはあるし、郷土愛みたいなものはあるけれど、それは僕が今考えている愛国心とは似て非なるものだろう。 

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