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記事 13件
  • 「夏の終わりの宇宙人」

    2023-08-30 07:00  
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     夏休み最後の日曜、家族で夕暮れの海を歩いた。暑さは峠を越えた。肌を焼く陽射しも白い雲に遮られている。涼風の中に増していく秋の気配に名残惜しさを感じた。永遠に夏休みが続けばいいのにという非現実的な願いが人生の選択に直結していた父親としては娘が夏休みの最終日に何を考えているのかが少し気になるところでもある。
     

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  • 「打ち上げの花火」

    2023-08-28 07:00  
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     夏休み最後の一週間、娘は短期の水泳教室に通っていた。妻と相談して夏休みの総仕上げをすることに決めたという。夏休みの始めに行ったぼくとの旅で掴み掛けた泳ぎを少しでも確実なものにしておきたいと思ったのだろう。娘の付き添いで地元体育館の市民プールに行ったぼくも毎日1時間泳いだ。泳ぎながら向こうのレーンで久し振りに会うクラスの友達と一緒に泳ぎを教わっている娘の様子を見ていた。
     

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  • 「ビーチクリーン活動を休んでしまおうかと思った日」

    2023-08-25 07:00  
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     浜辺を散歩するたびにトング片手で5ミリの海洋プラスティックを拾い続けてきた。
     

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  • 「旅するように暮らしている」

    2023-08-23 07:00  
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     三浦半島にはいくつかの天然温泉がある。観光地らしく宿に併設された海の見える温泉もあるけれど、多いのは古くから生活者に寄り添ってきた銭湯のような温泉だ。ぼくの暮らす秋谷にもかつてはそういう温泉があった。「大楠温泉」。秋谷が熱海のように海水浴場として賑わっていた昭和30年代。前田川の上流にある源泉から3㎞ものパイプで自然流下させてオープンした内湯のみの銭湯のような温泉だったそうだ。漁師や農家も多い地元の人たちの日常的な憩いの場となっていたそうだ。夏祭りの後なんかは神輿の疲れを癒やしながらの語らいの場になっていたのだろう。地域コミュニティの拠点のひとつだったのだろう。残念なことにぼくが移住してくる一年前に老朽化と人口減少により閉鎖されてしまった。
     

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  • 「2023年が”茄子の夏”になった理由」

    2023-08-21 07:00  
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     海辺の町で暮らすようになって環境の変化に敏感になった。環境の変化が暮らしに与える影響が都市部に比べて大きいからだと思う。
      今年、里山の菜園では夏野菜の代表であるトマトが高温障害を起こした。雨が少なかったせいでキュウリもゴーヤも生育が悪かった。が、ナスだけはいつも以上に収穫できている。地元の農家さんも揃ってそうだったので直売所では大量に袋詰めされたナスが投げ売りされている。価格破壊を起こしている。
     

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  • 「みんなの世界」

    2023-08-18 07:00  
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     台風が近づくと立石公園の駐車場が閉鎖になる。いつもは釣り人が咥え煙草でのんびりと糸を垂れている堤防を荒々しい波が何度も叩き、穏やかに凪いでいた海面で高波が踊り出す。そして、ランニング姿の子供たちもボールを追い掛ける犬も姿を消した海岸にサーフボードを手にした者たちが姿を現す。
     

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  • 「あさとよるのてがみ」

    2023-08-16 07:00  
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     仕事で数日間家を空ける日の朝、娘に手紙を貰った。「朝と夜に一回ずつ読んでね」 一通ずつが小さく折り畳まれて菓子袋に数日分入っていたその手紙は薬包紙に入った粉薬みたいだった。
     

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  • 「初めての瞬間」

    2023-08-14 07:00  
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     強制的に仕事から離されるのが旅の良いところだ。夏の娘との旅。締め切りを抱えていたのでノートブックと小型ワープロの両方を持って行ったのだけれど結局書けなかった。いや、書かなかった。
     

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  • 「歴史に学ぶ」

    2023-08-11 07:00  
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     ぼくが暮らす海辺の町は集落のすぐ後ろに山が聳えている。土砂災害警戒区域に指定されている土地も多い。歴史に学んだことだ。
     

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  • 「蝉時雨」

    2023-08-09 07:00  
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     蝉時雨が最盛期になるといつも心の片隅にある茫漠とした不安が疼き始める。78年前の傷。それは生まれながらに背負っていた遺伝的な心的外傷なのか。それとも生まれ育った時代や環境による後天的な傷なのか。
     

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