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 平坂読さんの新シリーズ『〆切前には百合が捗る』の第一巻が発売されたので、さっそく購入、読んでみました。しばらくまえから小説投稿サイト「カクヨム」で連載されていることは知っていたのだけれど、本になるのを待っていたのです。

 ドストレートなタイトルからわかる通り、「ライトノベル作家×百合」もの。田舎の高校にかようある女の子が、ついつい自分がレズビアンであることをカミングアウトした結果、そこに居づらくなって家出、東京に飛び出して美貌の女性作家の家に居候することになるところから始まるストーリー。

 いやー、さすが平坂読、今回も安定して面白い。よくできている。冒頭からすらすら読めてひっかかるポイントがない。これね、ラノベならあたりまえであるように思えるかもしれないけれど、なかなかできることじゃないのですよ。

 ぼくは自分の文章力をどうにか鍛えた結果、最近は一定水準以下の拙劣な文章を受けつけない哀しいカラダになってしまったのですが、平坂さんの文章には拒否感が出ません。乱暴に書いているように見えて、きちんと基本を押さえているということだと思う。

 平坂作品のフォントいじりのページなどを取り上げて「これだからラノベは」とかいい出すダメなアンチもいるようですが、それはまったく無意味な意見だと思いますね。

 だって、平坂さん、ふつうに文章が巧いもの。わからないんですかね。わからないんだろうなあ。

 まあ、シロウトに文章の良し悪しがわからないのはしかたないとしても、そのレベルで他人の文章力を語らないでほしいのはありますね。それがインターネット、といえばそれまでですが。

 で、この『〆切前には百合が捗る』で面白いのは、先述したように主人公がはっきりと「レズビアン」としての性自認を持っていることです。

 わりと百合作品では自分が同性愛者なのかどうかあいまいな認識のキャラクターが多くて、それはそれで良いのだけれど、この作品では主人公ははっきりと「わたしは同性愛者だ」と認識していて、それが物語に関わってきます。

 ある意味では当然のことながら、同性愛者に対する差別や偏見も登場する。通常の百合作品ではわりと避けられがちな生々しいところに踏み込んでくるあたり、いかにも平坂さんらしいな、という気がしますね。

 平坂さんはぼくが新作が出るたびにかならず買って読んでいる数少ないライトノベル作家のひとりなのですが、ライトノベルの常道からは少しずれたところがあるかもしれません。

 もう話が「大人の世界」に足を踏み入れていて、そこら辺の生々しさが避けられなくなっているのですよね。

 ちなみに『〆切前には百合が捗る』は前作『妹さえいればいい。』と共通する世界が舞台で、同じキャラクターも少しだけ出て来ます。あまり大きな関係はないかもしれませんが。

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 さて、この作品もそうなのですが、この頃、ライトノベル界隈における百合ものの躍進は目覚ましいものがあります。少しまえには「女性主人公のライトノベルは売れない」とかいわれていたのがウソのよう。

 まあ、すでに『スレイヤーズ』とかあったわけで、この手の「定説」とか「常識」って、ほんとうにまったくあてにならないなあと思ってしまうわけですが……。

 さて、いま、百合はラノベのなかのワンジャンルとして完全に定着した感があります。アニメ化された『安達としまむら』などもそのひとつですが、やはり何といってもみかみてれんさんの活躍が目立つところでしょう。

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 いままで