プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回はノアの節目で起きる小島聡のGHC挑戦です!



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――
サイバーファイトフィスティバル2022が間近に迫っていますが、メインで潮崎豪選手のGHCヘビー級王座に挑戦する小島聡選手は「史上最大のX」という煽りからノアにサプライズ登場。小島選手は現在新日本所属ですが、ノア中継の解説をされている小佐野さんも「史上最大のX」の正体はご存じなかったんですか。

小佐野 知らなかった。たぶんノアの関係者以外は誰も知らなかったんじゃないかな。

――
ノアを統括するサイバーファイト取締役の武田(有弘)さんのツイートによれば、配信したABEMAチームも、その正体を知らされずに「史上最大のX」の煽り映像を制作したみたいで。

小佐野
 要するに「史上最大のX」というイメージだけで映像を制作したってことだよね。少なくともマスコミのあいだでも「Xは誰なのか」はまったく見当はついてなかったのは事実。

――
よく漏れなかったですね。小島さんは会場入りしても人目につく場所には行けなかった。

小佐野
 いまのマスコミは昔と違って控室は自由に出入りはできないし、行けるのはインタビュースペースだけでしょ。小島が注意することは試合前、なにかのついでにマスコミがいるインタビュースペースに姿を現さないことだよね。

――
マスコミや関係者すらも騙すというか、伏せておくのは面白いですね。

小佐野
 最近の大きな発表はみんなそうなってるよね。唐突にパッと発表する。新日本とノアの対抗戦もそうだったでしょ。いまは外部に漏れないように細心の注意を払ってやってるよね。

――
昔のプロレス界はまずマスコミにスクープさせるという流れがありましたよね。いまはどこにも噛ませず、いきなり発表のパターン。

小佐野 昔と違っていまは団体が自ら発信できるから。自分たちだけでもニュースはすぐ広まるから。昔は新聞や雑誌を買ったりしないと情報は入ってこなかったけど、いまはスマホを見れば情報が入ってくる。それに極端なことをいうと、プロレスに力を入れて報道しているのは、『週刊プロレス』と東京スポーツくらいでしょ。

――
小島さんが「史上最大のX」だったことについてはどう思いました?

小佐野
 「あ、小島なんだ」って意外性はあったと思う。いろんな反応はあったけど、想像する遊びは提供できたのかなって。小島本人は「史上最大のX?いや、それほどでも……」みたいな感じで(笑)。意外に小島本人がいちばん緊張したんじゃないかって。

――
こうなってくるとレスラーによっては枕詞として「史上最大のXの俺様が!」とかネタとして転がしていってもおかしくないんでしょうけど(笑)。

小佐野
 それこそIWAジャパンに出てきた高野拳磁みたいに「Xで~す!」みたいに(笑)。

――そのエピソードはファンを限定しますね(笑)。小島さんは性格的にそういうタイプではないですね。

小佐野
 そこが小島聡らしさだと思うけどね。

――
1月の新日本とノアの対抗戦が何もなかったことになっている雰囲気の中、全日本にタイガーマスクが上がることになったり、新たな交流のかたちが始まってますね。

小佐野
 いま新日本は所属選手を外に出しているけど、なによりいちばん大きいのは潮崎vs小島聡がサイバーファイトフェスティバルのメインイベントを張るわけでしょ。もともとこのイベントって、サイバーファイト系が新日本を追い抜いて業界第1位を目指すために開催した。そのメインを新日本の小島が張るってことは、なかなか考えるところがあるよね。

――
新日本vsサイバーファイトの対立構造があったわけですが、業界の雰囲気が変わっていきそうですね。新日本のリングではある意味、やり尽くしたとこあるけど、他のリングではまた違った選手とも戦えて、それがまた新鮮だったり。

小佐野
 せっかくいいもの持ってるんだったら、それを最大限に生かせる場所に行くのがいちばんいいわけだから。とくに小島なんかは第3世代の中でもコンディションがいいわけだし、ポストに置けばなんでもこなせる。それにグランドスラムを狙えるというか、潮崎に勝てばメジャー団体のシングルを制覇できる。

――
IWGP、三冠に続いてGHCも。

小佐野
 意外に小島がノアに上がるときっての節目なんですよ。小島はいままでGHCに2度挑戦してるんだけど、1回目が2012年12月の両国大会。そのときは森嶋猛に挑戦してるんだけど、その大会で小橋建太が引退を発表して、その大会前に秋山準、潮崎、青木篤志、鈴木鼓太郎たちが退団することが先に報道された。殺伐とした中のメインだった。

――
カオスな興行を締めたんですね。
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