世にも奇妙なゲーム内の恋愛関係14選
現実世界でもゲームの中でも、恋愛とは『テトリス』のように時には綺麗にハマり、時にはぶつかるものですが、特にゲームの中の恋愛は奇妙なものが多いようです。
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毎度のように繰り返されるマリオのピーチ姫救出ロマンス（？）も十分奇妙ですが、中には涙あり、血みどろありのの恋愛関係も。
というわけで、米Kotaku選出の世にも奇妙なゲーム内の恋愛関係14選をお届けします。なお、各作品のネタバレが一部含まれていますので、ご注意ください。
■『サイレントヒル2』
ジェイムス・サンダーランドとメアリー・シェパード・サンダーランド
自分の妻から「どこかでランチを食べましょう」という手紙を受け取ることは珍しくないかもしれませんが、それが、妻が死んでから3年後だとしたら、普通ではありません。
ジェイムス・サンダーランドは死別した妻のメアリーから「サイレントヒルで会おう」という手紙を受け取ります。そこから始まるのはホラーゲームの最高傑作、サンダーランド夫婦の悲劇の愛の物語。レイクサイドホテルへと向かうジェイムスを止めることは誰にもできません。たとえそれが恐怖のピラミッドヘッドであっても、街にあふれる化け物達よりも奇妙な妻そっくりな女さえも。
ジェイムスは普通の恋愛関係のベースとなる分別を切り捨て、思考もまたサイレントヒルの霧深い霧の中へ行ってしまったようです。彼の頑なな献身は、苦悩に満ちた最後の決断で終わりを迎えます。皆さんは、愛する人が苦しんでいるとき、どこまで出来るでしょうか？
■『ロリポップチェーンソー』
ジュリエット・スターリングとニック・カーライル
ジェームズ・ガンといえば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督／共同脚本で知られていますが、このゲームでもシナリオを担当しています。
予測できない楽しさがキャラクターたちを愛すべき、地に足がついた、そして完璧ではない存在へと変えていきます。やり過ぎな狂気に満ちたガン監督のホラー・コメディ映画『スリザー』に比べると落ち着いているのではないでしょうか？
『ロリポップチェーンソー』のジュリエットとニックの恋愛関係は、クレジットで流れる「愛しているけど、しばらく俺を放っておいてくれ」という歌詞の曲がよく言い表しています。
ゾンビに感染したニックを、ジュリエットは黒魔術と愛と、斬首で助けます。その後ニックの頭（しゃべる）は、ジュリエットのお尻あたりに、まるで幸運のお守りのキーホルダーか何かのようにぶら下がることに。
彼のコメントは活き活きとしたユーモアに富んでおり、頭だけになっても頭をヒネってジュリエットの戦いを助けてくれます。『ロリポップチェーンソー』では真の愛は死にません。死なずに感情と皮肉の詰まった頭だけの存在になるのです。
■『バイオニックコマンドー』
ネイサン・「ラッド」・スペンサーとエミリー・スペンサー（バイオニック・アーム）
主人公「ラッド」としてワイヤーアクションで飛び回った、そんな子供時代のいい思い出（『ヒットラーの復活 トップシークレット』）をお持ちの方もいるかと思います。しかし、バイオニクスを作動させ、完全にシンクロさせるには、肉体的だけでなく感情的な面での同調も必要でした。
ネイサンの妻エミリーは、良き時も、悪き時も、富める時も、貧しき時も、健やかなる時も、病める時も、彼と一緒にいると誓ったそのときにはこうなるとは知る由もなかったでしょう。彼女はネイサンのバイオニック・アームの中で永遠に生きています。たとえ死ぬ時も、ネイサンの腕からバイオニック・アームを切り離さない限りは一緒です。夜は彼らのどちらにとってもちょっと気まずそうですね...。
■『キャサリン』
ヴィンセント・ブルックスとキャサリン・マクブライド vs キャサリン
恋愛は戦場です。スライド式ブロックパズルに、迷える羊、自らの恐怖の変異体。アトラスの『キャサリン』は、複雑なゲーム、複雑なカンケイ（関係というものはそうなる定めですが）を描いた作品です。
ゲーム中では、Frente!がカバーするNew Orderの『Bizarre Love Triangle』（意味：奇妙な愛の三角関係）のリフが流れます。歌詞の文脈よりも、ゲーム中のビジュアルに則して文字通りですが、「君が落ちるときはいつも、僕は跪いて祈るんだ」。こうしてヴィンセント・ブルックスは三角関係にはまってしまいます。
自分の決断の積み重ねが招いた結果であり、ゲーム内の宗教的象徴主義に満ちた世界では、彼の決断が、キャサリンと結婚する道を選ぶか、キャサリンとの闇の道を行くか、それとも我が道を行くかの選択に繋がります。自己満足的なとても人間臭い話ですが、一歩道を踏み外せば死へと真っ逆さま。
『キャサリン』が素晴らしいのは、プレイヤーを「自らのモラルを探る旅」へと送り出してくれるゲームだという点。グッドエンディングもバッドエンディングもそうでないものも、プレイヤーがヴィンセントとして決断を下していった先にあるものです。それはそこに行き着くまでの旅への気付きであり、関係の複雑な選択全て、そして真実が、このゲームを奇妙で素晴らしく、真に恐ろしいものにしています。
作品内での奇妙な関係は確かな将来を保証するものでも、別の世界でのそれを保証するものでもありません。きっとプレイヤーがヴィンセントとして関わるその関係は、自分自身の内面を反映したものなのでしょう。
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
ソニックとエリス
なぜ彼らの恋愛はこうも憎しみを生むのでしょうか？
超有名な擬人化されたハリネズミが、体に悪者が封印されたお姫様と付き合って何が悪いんでしょうか？ 彼女は泣くこともないんです、だって泣いたら世界が終わるかもしれないんですから。
少なくとも彼女は典型的な王子キャラと恋に落ちることはなく、代わりに我らが青いヒーローと恋に落ちました。奇妙な恋ではりますが、もっと応援してあげてもいいのではないでしょうか？
■『逆転裁判3』
成歩堂 龍一と美柳 ちなみ
成歩堂龍一の過去にまつわる事件を知ると、かつて彼は殺人者の魅惑的な笑顔の奥に隠された本当の目的に気づかず、言いなりになっていた馬鹿な男だったことを理解します。
しかし、プレイした誰もが知るように、物事も恋愛もそう単純ではありません。何十にも重なった真実には、毒のトッピング、チャネリング、冤罪、驚きの死、友となった敵、複数の物語が明らかになります。ようやく成歩堂の愛の話と殺人ミステリーの幕が閉じる頃には、17杯目のコーヒーを飲み終えていることでしょう。
■『Braid』
ティムとプリンセス
典型的なロマンスに思えるお話ですが、ティムはプリンセスを救いたかったのです。『Braid』の素晴らしい点は、役回りが逆転していること。プレイヤーは姫を救う「マリオ」ではなく、姫を捕らえた「クッパ」を操作します。そう、モンスターはあなたなのです。これは、実際のところ誰しもがモンスターであるということ。
時間を巻き戻して遊んでいく中で、複雑に入り組んだ記憶と理解。愛する人に対して後悔することを言ったことの無い人が果たしているでしょうか？ なお、この作品は原子爆弾の暗喩だという人もいます。
■『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』
カーフェイとアンジュ
このカップルのマスクは一番使えないマスクな上に、手に入れるには時間が掛かるものの、「噛み合わなくなってしまった彼らをつなげる、というサブクエストは本作で一番心に響く」と米Kotakuで言われた「めおとのお面」です。
カーフェイはスタルキッドに呪いをかけられて子供にされてしまいます。太陽のお面を無くした恥ずかしさもあり、結ばれることのない二人。もしリンクが3日間以内に助けることにすれば、カーフェイを操作して太陽のお面を取り戻すことができ、残された時間はわずかながらも彼らはまた結ばれる事ができるのです。文字通り世界の終わりですが、彼らが結ばれるのなら気分も晴れ晴れ。
しかし、数分後には彼らは月によって破壊され、リンクは時間を巻き戻します。そして、ごめんね、もうマスクはとったから！ とカーフェイとアンジュをくっつけるクエストのことはどうでも良くなってしまうのです。
■『ファイナルファンタジータクティクス』
ディリータ・ハイラルとオヴェリア・アトカーシャ
多くの隠れたプロットと死にゆく多くのスプライトの中に、悲劇と裏切りのクライマックスが存在しました。
必要とあらば同盟を組む『ファイナルファンタジータクティクス』のキャラクターたちの中で、ラムザと彼の妹との関係が一番純粋なものであるのは間違いないでしょう。しかし、戦争の中でラムザと親友のディリータの関係は薄くなっていきます。
勢力争いの中、力を増すディリータの王への野心が政略結婚と向かったのは当然のこと。また、ディリータの婚約者が自らを守るために彼を刺し殺そうとし、殺されてしまうのも当然。二重殺人（？）に散る花々、ディリータに微塵も愛されていないと知ったオヴェリア、そして力への野心に駆られたディリータの行いには、その代償以上の価値があったのか？ 悲しい話です。
■『To the Moon』
ジョン・ワイルズとリヴァー・ワイルズ
うさぎたち、『インセプション』、JRPG風のスプライトの混ざり合ったものから得られるものはなんでしょう？ それは、ゲームの歴史の中でも一番感動的なものの一つです。
月に行くことが何故そうも特別なのか？ 知りたかったら、本作をプレイするしかありません。
■『忍者龍剣伝』
リュウ・ハヤブサとアイリーン・ルー
ファミコンソフトである本作で描かれているのは、CIAのエージェント（アイリーン・ルー）と龍の一族の忍者リュウ・ハヤブサの、二人の恋愛であるといっても過言ではないでしょう。
殺人、裏切り、生贄、悪魔との戦い、銃創、刺し傷に切り傷、そんな中で時たま交わされるセリフは、当時ゲーマーたちを驚かせたドラマチックな美しい背景を前に展開されます。リュウのデートは世界中を飛び回りながら、何度も殺されそうになるというもの。バラを彩るのは血と地獄からのチョコレートです。
■『メタルギアソリッド2』
雷電とローズ・マリー
雷電「ローズ、すまない。今日が何日なのかはわからない。世界を救うミッションでちょっと忙しいんだ。」
ローズ「今日が何の日かわからないですって？ 忘れるなんて信じられないわ。」
雷電「ローズ、テロリスト集団が大統領を誘拐して、俺も狙われてるんだ。血をすすり、水の上を走る奴もいる。弾が避けて飛んで行く、強運な女はポータブル・レールガンを持ってる。今日が何の日かっていう話は別の時にしないか？ 銃を持った奴らに俺が追われてない時とか。」
ローズ「いいえ雷電。今日が何の日か思い出してちょうだい。」
雷電「今日はバレンタイン・デーだ。ちょっと待て、オマエそもそも本物か？」
■『キャッスルヴァニア』
レオン・ベルモンドとサラ・トラントゥール
男性主人公が愛する人を生贄にして強力な武器を得る...『バイオニックコマンドー』とやや被りますが、『キャッスルヴァニア』ではそれはレオン・ベルモンドと彼が愛する女性サラの話。
サラの死で伝説の武器ヴァンパイアキラーが完成するわけですが、なにか別の方法はなかったのでしょうか？ この奇妙なロマンスを探る中で、奇妙な事実が明らかになります。ゲームの主人公は男性が多いということもあり、女性側の視点でロマンスが語られることは少ないです。もし、もっと女性の視点から語られたら、どれだけ深みが増しただろう？ と感じるゲームは少なくありません。
少なくとも女戦士を主人公に、男を犠牲に武器ができる作品があってもいいと思いませんか？
■『Transistor』
レッドとトランジスター
前述の続きですが、実は少なくとも一つあります。それが『Transistor』。このゲームは女性が男性を武器として振るう作品です。男性を犠牲に作られた武器でもなければ、無慈悲な武器というわけでもありませんが、これは新鮮な風を吹き込んだ複雑なSFゲーム。
序盤、トランジスターはプレイヤーを混乱させます。「果たしてレッドは自分勝手な決断を下してこうなったのか？」と。しかし、プレイしていくうちに、互いに互いを守りある必要性からこうなったということがわかってきます。
レッドの恋人は彼女の声となり、彼女に襲いかかる敵を倒す武器となり、そして彼女の意思が力となり、二人の復讐が進むのです。しかし二人の関係が彼女にとらせた選択は、二人が永遠に一緒に居られるようにすること。その永遠がどれだけ続くかはわかりませんが......。
いかがでしたか？ 「『はーとふる彼氏』が入ってないじゃないか」とか、「愛に満ちた下着ブランドの脱衣ゲームはどこだよ」、「彼氏はやっぱり熊がいい」なんていう方はご不満かもしれませんが、そういう方もそうでない方も、もう一度ゲームの中で「愛とは何か？」を探す旅に出かけてみると、新たな発見があるかもしれません。
［via Kotaku］
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