『公明』二月号は山本吉宣元東大教授の「世界秩序の変化と日本」を掲載している所、その主要点。
(1:最近の動向)
・世界秩序は大きく変化。英国のEU離脱、トランプ大統領の出現、欧州におけるポピュリズムの拡大。
・トランプ大統領、WTOへの批判的発言TPP、パリ協定、イランとの核合意、INFからの脱退。貿易政策においては、二国間の結果重視の相互主義
・これらの動きは、自由で、開かれた世界秩序の根底を揺るがしている。
・力の分布の大きな変化。
冷戦後、米国の圧倒的な軍事力、米中心の西側諸国の圧倒的な経済力。しかしグローバリゼーションの進行の中で新興国は急速に力をつける。GDP先進国は冷戦終結直後60%以上、今や50%以下。
同時に先進国の貧富の差拡大。
急速に台頭する新興国に権威主義的、国家主義的
・中国は米国のGDP60%(注:購買力平価ベースでは
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「米国と中国の経済戦争の中で、中国がAIIBを推し進め、米国がアジアの国々に同調を求めれば、東アジアの中で分岐、分裂を高める」と言っておられるだけで、では日本はどのように対処していくべきかは、このご投稿では語られていない。
平成27年2月25日に「アジア太平洋新秩序研究会」があり、委員の一人として、講師となって講演しておられる内容は現時点でも通じる内容を含んでいる。
①パワーバランスは、WestからEastに移行し、リベラル(ポストモダン)秩序とモダン秩序の対抗
②米国の影響が強く中国の民主化が進み、リベラル秩序と支配が継続維持される。
③両者の競争的併存(イデオロギー対立とバランスオブパワー)
*相互浸透的覇権あるいは非相互浸透的覇権
④モダン秩序が支配を維持し、ポストモダン国家(米国、日本など)がモダン国家に移行
最後にリベラル秩序とモダン秩序の併存が現実的方向性とみるべきと言っておられる。
現在も同じと言えるのではないか
元東大教授の観方ですから権威があるのでしょうか。でもこういう観方を歓迎するのは安倍氏とそのお友達及び米国の戦争屋ではないでしょうか。
この文章の結論である「米国が他国に同調求めれば、世界、東アジアの分岐分裂を高める」とは私には思えませんね。米国が求める同調に前向きに応じるのは日本だけではないでしょうか。日本のアベノミックスは米国の世界金融支配をサイドから強く支えるもので米中一心同体ととも呼べるスゴイコミットメントですよ。しかし、一方で日本の企業の相当部分が中国の巨大市場に依存しています。日本の前向きに同調するとは言え、両方の足を米国に掛けるわけには行かないのです。限定的にならざるを得ないと思います。
ヨーロッパ諸国、アジア諸国、南米諸国、アフリカ諸国は中國を脅威とは受け止めていません。寧ろ良い印象を持って居ると言えます。
経済的に中国を封じ込めることはかなりのコストが米国にかかります。それを負担する余裕が米国にあるでしょうか。4000万人のプアホワイトを食べさせるだけでもトランプは四苦八苦しているのですよ。
もう一つのポイント、この元教授氏の文章にロシアに触れたところが無いのに違和感があります。ロシアを巡って、西欧諸国の態度が米国の態度と少しづつずれてきているのです。今、日本を騒がしているゴーンさんはロシアに自動車工場を建てる動きをして米国の秘密機関にお目玉喰らってシュリンクしたことは有名。しかし、それは昔のこと。ロシアに対する経済制裁の不条理にヨーロッパ人は気が付き始めているのです。とりわけ、ロシアからの天然ガス供給はヨーロッパの利益につながることは否定出来ないのです。ロシアのガス供給に対して米国が繰り出す妨害行為は早晩返上されるでしょう。
米国は大英帝国が滅びたように、又、ソ連が滅びたように、崩壊のプロセスに入っているのではないでしょうか。トランプの米国ファーストはその前触れだと私は観ています。
>>2
追加、ロシアはウクライナのネオナチクーデターをめぐって米国の怒りを買い、経済・金融で窮地に陥ったが、中国の支援を得て、今や、その関係は中ロ同盟と呼べる固い絆で結ばれている。中国を語る場合、ロシア抜きでは語れません。