尖閣諸島問題では日中双方が領有権を主張している。国際的にみても米国は「領有権問題については日米いずれ側の立場もとらない」という態度を1971年以来続けている。この中で双方が自己の主権を確立しようとする行動をとれば、どこかで軍事衝突が起こる。その中で「棚上げにする」ことにすれば緊張は避けられる。
そしてそれは1972年の田中角栄首相と周恩来首相、園田外務大臣と鄧小平副首相の間で合意している。しかし政府、外務省は合意がないという立場をとっている。
しかし、合意はある。
これが一番の問題だ。何故、日本政府と外務省は嘘をついているか。
日中国交回復交渉で、周恩来と田中角栄会談に参加したのが、橋本恕氏(元大平外相時代の中国課長)である。彼が『去華就實 聞き書き・大平正芳』(平成12(2000)年6月12日発行)で次のように記述している。
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コメント
コメントを書く天皇陛下が、記者会見で、今までの人生を振り返り、「一番大きな記憶は、若い命をたくさん失った戦争である」と、述べられた。平和憲法にも、先人の努力にも触れられているのは、我々国民にとって極めて心強いお言葉でした。
尖閣問題の棚上げは、時の中国課長の話を聞くまでも無く、米国も領土問題は二国間の問題といっており、暗に未解決といっています。また、当たり前のことながら、何等かの妥協がなけければ日中友好条約が結べるはずが無かったでしょう。このような明らかな事実認識を拒否するのであれば、とてもこれから出てくるであろう微妙な外交交渉は何一つ出来ないでしょう。尖閣周辺で確かに中国漁船などが襲来してもめていたことは確かであるが、子供の喧嘩に大人が入ったような対応は、日本には外交が無く「イエス、ノウ」が明確に出る問題しか解決しないし、また、解決しても、あとでそんなことは言わなかったとか、無かったなどと、過去、歴史を無視するような発言が出てくるようでは、中国、韓国から批判されても当然ではないか。外交で信義が失われたら、国家の基盤が成り立たない。国際社会で孤立化するばかりでしょう。
それにしても、孫崎さんの尖閣問題をとりあげた本が発行できないのは残念です。原資の問題であれば、私は寄付しますが、同じ様な人が多く居られるのではないか。真実は多くの方に知っていただく、知らせる義務が必要な気がします。諦めず、何らかの方法で発行していただきたい。
つい、今年元旦のNHKスペシャルで対米隷属の重鎮、岡本行夫氏とやり合っておられた場面を思い出しました-
岡「孫崎さんは、棚上げ論と仰ったけれども、日本が実は棚上げに同意したことはないんですね。鄧小平さんは、次世代の智恵に委ねましょうと言ったけれども、日本がそれをイエスと言ったわけではない。反論はしなかったですけれども。それで、その棚上げ論が百歩譲ってあったとしても、それを最初に破ったのは中国ですよ。1992年に領海法という法律を制定して、『尖閣は中国の固有の領土である』と言って、中国領土に組込んじゃっているんですね。それで、日本が今度、いわゆる国有化で、『貴方たちが合意を破った』とか言ってますけれども、とんでもない言い掛かりだと私は思っています」
孫「これはね、非常に重要なことを仰っているんですね。歴史の事実を曲げてますよ。ほ・んッ・と・う・に残念です。日中の間で、棚上げの合意というものについては、確かに、文書というものはない。
しかし、文書にはなっていないけれども、政府間の合意があったことは事実である。
それを、現在の段階になって、無かったというような言い方は非常に良くないし、棚上げということを、やっ・て・い・くということが、紛争を避けるということを、やっていかなければならない一つの足掛かりだから。その足掛かりを『無い』という形でやるのは良くない。そして、私は...」
岡「それは、でも、日本政府の公式の解釈でもあるんですよ」
孫「だから、問題だって言ってるのッ!」
沖縄密約さえ「無かった」と言い切る岡本氏には付ける薬なし。
尖閣で武力衝突が起きれば、一番に被害を受けるのは八重山群島であり、沖縄だ。今なら中国と戦っても勝てる、と豪語する自衛隊幹部がいるという。沖縄の被害だけで戦争を終わらせることができるとの腹だろうが、結局、沖縄は、またも捨て石にされるということ。尖閣問題で日中、竹島問題で日韓が争って利を得るのはどこか。安倍首相がASAN諸国との交流を深めても中韓との関係改善がなければ東アジアの安定はない。東アジアの不安定化で利を得るのはどこか。利を得るのは米国であることを、日本人は理解しなければならない。
冒頭部分で、この領有権について「米国は、日米いずれの立場も…」と書いてあるのは「日中」の誤りですね。
この問題では、当時「将来世代に…」と大きく報道されていたのは事実なので、当時の新聞を見れば簡単に確認できるはずです。それをしない新聞社は、外務官僚に諂っているためだと思います。
6月9日の朝日新聞「声」欄に、「尖閣棚上げ、野中発言に信頼性」という投書が出ましたが、その際、「声」欄担当の記者は、当時の新聞で確認し、事実だったと話していました。
外務省は「尖閣付近で油田が発見されたから、中国が領有権を言いだした」というのもウソで、油田があることはもっと前から解っていましたが、米国の統治下では領有権は言い出せなかったのです。
なるほど、大手出版社が孫崎氏の「小説外務省 - 尖閣問題の虚構(仮題)」の出版を断る訳だ、政府の圧力の有無は別としても、右翼勢力の脅迫や世論の”国賊”などの猛烈な非難・バッシングに耐える覚悟が無いって事ですかね。そして相も変わらず岡本氏の様な御用学者が今や安部政権の私的メディアとなった来春のNHKスペシャルでものうのうと自説を繰り返し、方や孫崎氏の出演は見送る若しくは発言機会を与えない。それにしても政府が嘘をつくってどういう事よ。政府外務省の誰が何の為にこの嘘を主導しているのでしょうか?証拠は?そしてその結果今後の日本と日米中関係はどうなるのでしょうか?国民としては充分な説明を求めたいですね、詳しい(納得のいく)説明の出来る人はいるのでしょうか?