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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「全編ワンカットの映画『バードマン』のすごさ」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「全編ワンカットの映画『バードマン』のすごさ」

2018-05-05 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/05/05

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2015/04/19配信「Apple Watch買うならグランカルビーのポテトを買うよ!」の内容をご紹介します。
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    2015/04/19の内容一覧

    『バードマン』全編1カットの仕組み

     ちゃんと『バードマン』見てきました。『バードマン』ね、先週期待してるって言ってたけども前言撤回ですね。
     3回寝ました。悪い映画じゃないんですよ。
     これアカデミー取るわっていう映画なんですけれども、全編1カットなんですね。ヒッチコックでも昔そういうような映画あったんですけれども。全編1カット、もちろん全編1カットって言っても、フィルムの交換とかも──今フィルムで撮ってないのかな──あるだろうから、そんなわけないんですよ。
     たぶんすべてのシーンをおそらく5分か10分くらいカメラ回して、それごとに切り替えてて、前の絵との繋ぎをうまくやってるだけだと思うんですけれども。
     それよりも全編1カットふうで2時間以上ある映画撮ってるんですね。

     通常の映画は1カットあたり6秒ぐらいっていうふうに言われています。アニメの場合は1カットあたり、それより少なくて平均3秒くらいというふうに言われてるんですよ。
     なので2時間ぐらいの映画だったら、まあだいたい2000カット、2000のフィルムの繋ぎで出来ていると思って。
     それがですね、そう長回しってカットは、長回しっていうのはカットが長いことなんですよね、相米慎二監督とか、日本では相米慎二監督だし、アメリカでも長いカットで有名な人はいるんだけども、全編1カットで撮るっていうのはヒッチコックが昔ちょっと実験的に撮ったのがあって。
     途中で黒い背広の人の背中のアップになるとか、廊下に出てちょっと真っ暗になるってその一瞬でフィルムを入れ替えてて1カットふうに見せてるんだけども。
     『バードマン』はそれがもっとナチュラルになって、全編1カットで撮っているように見えるですよ。
     つまり1カットっていうのはカメラの切り替えがまったくないっていうことだよね。

     これが何でアカデミーの対象になるのかっていうと、それで絵作りしなきゃいけない。つまりカット切り替えてたら、さっきも言ったように「裁判長」「はい弁護人」「異議あり」っていうのをどんどん重ねていって、絵を作れるんだけども。
     そんな、それごとにカメラをびゅんびゅんびゅんびゅん回してたら、見ている人が不快で見れない、酔っちゃうような映画になる。なので、何人もが言い合ってるシーンではカメラの動きをどういうふうにするのかが問題になると。
     で、映画っていうのはね、これ真上から撮ってるところを見たとしたら、ここに人間がいて、ここにテーブルがあって、これ真上から見てるとするよ。ここに人物がいるとすると。
     こいつらが言い合ってるのを撮る時っていうの普通、ここにカメラがあって、ここにカメラがあって、ここにマスターショットって言って全部を撮るカメラがあって、ちょっとこいつのアップを取るためにここにちっちゃいカメラがあってみたいなものを、それぞれこういうふうにやるわけだよな。
     で、こうやって撮るんだけども、これ演技をずってやっててこの5台のカメラで一度に撮るわけじゃないんだ。
     全部バラバラで5回同じ演技をやらせて撮るんだ。
     なんでそんなことをするのかっていうと、こいつのアップの時にはこいつだけの照明を当てなきゃいけない。つまりここには照明機材がいっぱい並んじゃってるわけだよな。こういうふうに照らしてるんだよ。こいつを照らしている。こいつを撮る時にはこちら側に照明機材があってこいつを照らしている。
     この2人が並んでいる絵をこのカメラで撮る時はここに照明機材があって、こういうふうに光で照らしているわけ。
     なので、僕らが普通に映画館の中とかドラマで観る時に、ごく普通になんでもないシーンっていうのは全部バラバラに撮って、それをそれごとに照明切り替えたりと、それやらないとやっぱ役者さんによってはライティングがベストの状態じゃないと魅力が出ない人もいるし、女優さんによってもやっぱハイライト強い目でないと、もう50歳越えて肌衰えてるから無理っていう人もいるから、そういうことはすごい現場では気を使うわけ。

     ところが全部1カットで撮ってると、どうなったのかっていうと、今の例で話すよ。
     そうすると、テーブルを挟んでお互い向かい合っている人間が喧嘩しているとか言い合っているだけのシーンのはずなのに、こいつを撮って次こいつを撮ろうと思ったら、カメラどうしても回ることになるんだよね。で、ぐるぐるぐるぐる、そういうシーンしょっちゅうあるんだよ。
     『バードマン』なんかではここにドアがあって、ドアからこの人物が入って来て、それをカメラが後ろから追いかけて来て、こういうふうに喋ってるのをぐるぐるぐるぐる回って追いかけて、こいつがまた怒って出て行くところを後ろから追いかけてっていう絵作りになってる。
     なので、この絵を撮ること自体はできるよ。
     それはレベルの低い絵として、ドキュメンタリー風に照明あんまり気がついてないっていうのでは撮ることはできるんだけども、『バードマン』ってこれやりながら、ちゃんと照明が効いてるんだよ。ちゃんと演出してるっていう絵を作ってるんだよね。
     おまけに動き回る奴だから、ほとんど手持ちカメラで固定カメラがない状態。ビルの外にカメラ出て行くシーンもあるから、もちろんドローン撮影とか超大型のクレーンとか、色々使ってるんだけども。
     まあ撮影大変で。
     おまけにこの1カットしかない、全部で映画1本が1カットっていうのを生かすためのシナリオっていうのを書かれてるんだよね。
     こういう不自然な話っていうのは全部映画1本を1カットで撮りましただけだったら。
     さっきコメントで「ヒッチコックの『ロープ』」って書いてあったけど。そうそう。
     ヒッチコックの『ロープ』っていう映画が、もう50年ぐらい前に実験としてやっているからさ、大したことないと言えば大したことないんだけども。
     だってヒッチコックって今よりもっと不完全な機材で似たようなことやってるわけだからね。

     ただこの『バードマン』がすごいのは、こんなことをやりながらカメラ1台でなければ確かに撮れないようなお話であり、内容であり、演出なんだよ。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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