第362号 2020.6.23発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…新型コロナに関してさんざん恐怖を煽り、日本の社会・経済・文化に甚大な被害を及ぼしたテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」。無制限なPCR検査の拡大を主張したこともそうだが、さらに問題なのは「医療ではなく、社会政策のために隔離」というのがとんでもなく恐ろしい主張であることに、一切気づいていないところだ。仮にもリベラルを名乗る人間が「隔離」という恐ろしい言葉を、ハンセン病者の隔離の歴史を一切連想もせずに、全国放送のテレビで毎日軽々しく連呼し続けたことが全く信じられない。今一度、ハンセン病の歴史を振り返り、隔離政策の恐ろしさを学べ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…延々とコロナの恐怖を煽り続け、この恐怖を解決するには「自粛と検査と隔離だ!」と主張しつづけてきた『羽鳥慎一モーニングショー』だが、このところ、コロナの女王・岡田晴恵教授の出演シーンは激減している。だが、番組ではこれまでの所業について振り返ったり、反省したりする様子はまだなく、あまりに白々しい偽善と自己愛が渦巻いているのだ。マッチポンプ商法『羽鳥慎一モーニングショー』を絶対に許してはならない!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!都知事選、小池圧勝は変えられない未来なの?これを機にベーシックインカムを制度化せよ、という意見をどう思う?一部分を注意されただけなのに、自分を全否定されたと感じる人が増えたのは何故?山尾志桜里議員はグローバリズム支持では?来年予定のオリンピックは開催すべき?中止すべき?日本女子大がトランスジェンダーの学生を受け入れる方針を決めたことをどう思う?なぜ安倍政権はイージス・アショアの計画を撤回したの?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第378回「ハンセン病に学ぶ【隔離】の悪法」
2. しゃべらせてクリ!・第319回「御坊家の徹底健診!今日も健康に不安なしぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第172回「偽善と自己愛のマッチポンプ商法『羽鳥慎一モーニングショー』」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第378回「ハンセン病に学ぶ【隔離】の悪法」 新型コロナに関してさんざん恐怖を煽り、日本の社会・経済・文化に甚大な被害を及ぼしたテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」は、今ごろになって批判逃れ、責任逃れに向かおうとし始めているが、それは決して許されない。
特にPCR検査をできる限り全国民まで拡大して実施し、新コロ感染者は無症状者も含めて全員隔離せよと主張し続けた罪は極めて重い。
番組では玉川徹や岡田晴恵や、その他日替わりで登場した医師や研究者が「検査して隔離」「検査して隔離」と3週近くにわたって毎日毎日繰り返し、番組のほぼ全部をそのプロパガンダに費やしたことも何度もあった。
それはまさに「PCR真理教」とでも言うしかない有様だったが、その影響力は絶大で、本庶佑や山中伸弥といったノーベル賞学者までがこれを支持し、全国の知事たちもこれに同調し、政府もことあるごとに「PCR検査の拡充」を言わなければならない状況となっていた。
実際には、無制限なPCR検査の拡大には反対する専門家も数多くいたが、羽鳥モーニングショーはそれを全て無視した。
そもそも日本の場合、まずCTスキャン検査をして、肺炎と診断された患者に対して、肺炎の原因を確定させて有効な治療をするためにPCR検査を行うという手順が定着しており、病気の症状もない人まで全員検査などしても、何の意味もないのだ。
しかも、たとえPCR検査で陰性だったとしても、それは検査した時点で感染していなかったことを示すにすぎず、検査の帰りに感染することだってありうる。
そのうえPCR検査の精度は70%で、3割はウイルスがあっても陰性が出る(偽陰性)のだから、これは全く予防医療の役には立たないのである。
玉川徹はこのような批判には一切反論ができず、あろうことか「PCR検査は『医療』のためではなく、『社会政策』としてやるのだ!」と言い出した。
どこに感染者がいるか知れず、いつ自分もうつされるかわからないという状態では、安心して経済を回すことができない。だから、できる限り全国民を対象に週に1回、もしくは2週に1回PCR検査して、徹底的に感染者をあぶり出し、残らず隔離して、感染者と非感染者を完全に分離し、感染者がただのひとりも存在しない社会をつくる。そうすれば、みんな安心して外に出てきて経済活動をすることができる。
だからこれは医療ではなく、安心して経済を動かすための社会政策としてやるべきことなのだ…と言うのだ。
狂っている。1億2千万の全国民を週1回検査するなんて、現実的にできるかどうか考えなくてもわかることを、本気で言っている時点でアウトだ。
だが、さらに問題なのは「医療ではなく、社会政策のために隔離」というのがとんでもなく恐ろしい主張であることに、一切気づいていないところだ。
医療上の必要がない隔離を「社会政策」のために行うって、一体何の法律に従えば、それができるというのか?
現行法では、感染症患者の隔離は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に定められている。
強制入院(隔離)については第19条で、一類感染症(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱)の蔓延防止のために必要とされる場合、都道府県知事が指定医療機関への入院を勧告することができ、勧告に従わない時には、強制的に入院させることができるとなっている。
エボラ出血熱のような毒性の強い感染症の蔓延防止という医療目的でも、まずは「勧告」なのだ。
それなのにたかが新コロで、しかも医療ではなく「社会政策」のために隔離するなんてことに法的根拠があるわけがなく、それをやったら完全に憲法違反で、刑法220条の逮捕・監禁罪で、違法行為である。
そもそも仮にもリベラルを名乗る人間が「隔離」という恐ろしい言葉を、ハンセン病者の隔離の歴史を一切連想もせずに、全国放送のテレビで毎日軽々しく連呼し続けたことが全く信じられない。
感染症法は、明治30年(1897)制定の伝染病予防法に代わって平成10年(1998)に制定された法律だが、これには新たな感染症の出現などと共に、平成8年(1996)に、それまでハンセン病者の隔離を合法化していた「らい予防法」が廃止されたことが大きく影響している。
だからこそ感染症法の前文には「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である」と特に明記して、「感染症の患者等の人権を尊重」すると書かれている。
たとえ一類感染症患者でも、その隔離の際はまず「勧告」ということになっているのも、そのためである。
ハンセン病者隔離についてはVol.357「隔離という人権無視」でも少し触れた。
コメント
コメントを書く玉川徹にこのspa!を読ませて「ある程度は感染する可能性がある社会にしておかないと将来欧米みたいになるぞ」と言ったら、どう反論してくるだろうか。
>>287
>>280
どうもすいません。東京に住む私の父は、小池さんに入れました。
でもね、止められなかったんですよ。
父も小池さんに不満を持ってます。でも、それ以外の21人の候補どれをとっても小池さんよりマシな気がしないんですよ。
「Noを突き付けるために、他の人にしたら?」
と言ったら
「それで、その人が当選したら、どうするんだ!」
と怒られました。
昔、自民党に苦言を呈するつもりで民主党の候補に入れて当選し、政権交代したのがトラウマになっているようです。
こういう人は、とても大勢いると思います。
父は決して自粛派ではありません。八十歳代ですが独り暮らしなので、マスクせずに毎日買い物に行ってます。子供達の声が聞こえないのは、寂しい、と言っていました。首都の夜の街が、賑やかでなくてどうする、とも言っています。
でも、小池さんに入れるしかなかったのです。
どうか勘弁してやってください。
お邪魔致します。
豪雨被害被災地のひとつ“球磨人吉地方”が在る熊本県民です。
ここでのご心配のコメントを頂戴しました皆様、感謝致します。
当然と言えば、当然の如くこちらローカルのメディアでは(追いきれないところはあるにせよ)災害の詳報流れております。
悲しむべき自然災害ではありますが、ここで人が真に立ち向かうべき「生命を脅かすもの」は何か?(そのひとつに過ぎませんが)
そこにこそ人心が開眼してくれればと思います。ソーシャルディスタンスなど言っている場合では無いと考えます。
「コロナ」の日々の感染者数の報道などあまりに“呑気”の極みです。
今、羽鳥モーニングショー見返してるんですけど……
8時54分に筑後川氾濫の速報入ったとき「チッ……」と舌打ちしてませんか?、どなたですか?。
「先入観」です(笑)玉川でないですよね?
「決めつけはいかんよ、決めつけは!」……なんかオウム事件で聞いたようなセリフですが。
>>297
謝られるとは、なんか困っちゃったなぁ。
>>217
やっぱり。レジ袋有料化、なんだかモヤモヤするなーと思ってたんですよね。参考になる情報ありがとうございます!
次号配信前に今号の感想。
羽鳥モーニングショーのコメンテーターは、何故過去の教訓に学ばないのでしょうか。
人権や差別に敏感な番組が実は一番人権を無視して差別を助長するという、笑えないオチに呆れます。
熊本・鹿児島から福岡・大分にまで広がった九州の豪雨と土砂災害。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
それなのにコロナに時間を割くメディアは何を考えているのか!
豪雨災害のが重要でしょ!
感染者数にこだわるマスコミ、正気の沙汰じゃないね。誰かが言っていましたが、「他人を見たら感染者と思え」とは…
狂ってる。
もう何もかもが狂っています。
頭のネジをどこかに置き忘れたかのように。
しかし、こう書いておられるのは、小林よしのりライジングがあるおかげです。
もしライジングがなかったら、私は正気を保てたかどうか…
次号配信を楽しみにしてます!
>>217
レジ袋有料化について、私もモヤモヤしてました。
環境問題は捨て方の問題であり、レジ袋有料化が解決策だとは思えないです。
私はレジ袋をゴミ袋として使っているので、有料になっても、安価で手に入るスーパーのレジ袋を購入します。
ゴミ処理場で燃やす時も良い燃料になるそうですし。
>>287
本当そうですね。
本来行政の誤りを追及する筈の野党にしても、コロナに怯えておとなしくなる、というか青菜に塩をかけたように萎びており、情けないです。
国政では、枝野幸男には失望するばかりです。
このような時こそ国民に希望を与える政策を独自に打ち出すチャンスなのに、旧社会党の体質を引き継くように与党の揚げ足取りに終始するとは、本当に情けないの一言に尽きます。
遅ればせながら、お二方にはいつもエエ記事をありがとうございます。