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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 3 】ちゃんと “いい人アピール” をするのが良い市民」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 3 】ちゃんと “いい人アピール” をするのが良い市民」

2018-09-20 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/09/20
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    今回は、ニコ生ゼミ9月9日(#247)から、ハイライトをお届けいたします。

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     【評価経済を現実化した中国の芝麻信用 3 】 ちゃんと “いい人アピール” をするのが良い市民


     ということで、マネー経済から評価経済へ流れる中で、芝麻信用というのは、「社会的評価を気にしない人は敗北者であり、これからの中国には不必要な “下級市民” だ」という考えに至ってしまったんですね。

     “上級市民/下級市民” というのは、そういう意味なんですよ。

     「これからの中国に必要なのは、もっと市民がマナーを守ること = 他人からの見た目を気にする民族であらねばならない。でないと、延々と外国に行って恥をかく」という考え方が基になっているんです。

     なので、好感度のランキングも変動することになりました。

     芝麻による信頼度ランキングでは、こんなふうになってしまったんですね。

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    ――――――

    1.自己アピールの強い善人(社会評価を気にする)
    2.偽善者(社会評価を気にする)
    3.知られざる人徳者(社会評価を気にしない)
    4.自己アピールの少ない正直者(社会評価を気にしない)
    5.自己アピールの少ない犯罪者(社会評価を気にしない)
    6.自己アピールの強いチンピラ(社会評価を気にする)

    ――――――

     ここで最も評価されるのは、「自己アピールの強い善人」なんですよ。

     次に「偽善者」ですね。

     そして、3番目が「知られざる人徳者」、4番目が「自己アピールの少ない正直者」と続きます。


     まあ、下の方はしょうがないとして、なぜ偽善者が人徳者の上に来るのかというと、少なくとも偽善者は「自分はいいことをした」とTwitterでつぶやいてくれるからです。

     そうすると、少なくとも、それを見ていた3番や4番の社会評価を気にしなかったり自己アピールの少ない人たちが、ついつい偽善者の真似をして、マナーを守るようになる。

     そうなれば、中国人というものが、全体的にマナーがよくなってくるし、「借金を返すのは当たり前だ!」というふうに国民全部が教育される。


     あの国というのは、本当に何億人もの人口を抱えているし、人が山のようにいるもんだから、放っとくと “野蛮” な方に傾いていく傾向にあるんですよ。

     かつては “孔子の教え” とか “孟子の教え” みたいな人徳者教育というのがあったんですけど。ところが、毛沢東の革命以来、そういう宗教的な主柱というものすらなくしてしまったんですね。

     なので、一時期の中国は、アメリカ人以上にプラグマティック(実利的)になっていました。


     もう1つ言われているのが「10億人の競争力」。

     つまり、日本とは桁違いの人口がいるので、本当に “恥も外聞もなく” やらなければ、上に登れないわけです。


     日本というのは、所詮は1億人ちょっとしか人口がないので、そこそこ頑張れば、そこそこの評価を得られるんですけど。

     みなさん、僕、ちょっと今回は持って来なかったんですけど、中国の美術大学の入学試験の写真とかを探して見てください。

     中国で美術系の大学の入学試験というと、ありえないほどデカいドームみたいな場所に、縦も横も1000人ずつくらい学生が並んで、一斉にデッサンしてるんですよね。

     「この中で上手いヤツだけが大学に通る」っていうんだから、もう、僕らが考えている人間同士の競争というのとは、全く次元が違うんですよ。


     なので、メンタリティーも変わってくるし、自己アピールの強い偽善者、もしくは善人というのも、率先して前に出て、自分たちの社会的スコアを上げようとする。

     その結果、彼らがどんどん大袈裟につぶやくことによって、徐々に社会がよくなっていくんですね。

    ・・・

     さて、このランキングが変わったことによって、どうなるのかっていうと。

     たとえば、この1から6の人が、一斉に日本に旅行したとします。

     すると1番の “自己アピールの強い善人” が何をするかというと、「俺はちゃんと日本でのマナーを守った。 他の中国人も俺みたいに守って欲しい」とつぶやくわけですね。

     2番の人は “偽善者” ですから、上と同じ。

     「ちゃんとマナーを守った」というんですけど、実は守ってない。薬局とかで割り込んだりするんですけど、「俺はマナーを守った」と嘯くわけですね。

     それに対して、3番とか4番は、マナーは守るんですけど、つぶやいてくれないんですよ。

     5番は、マナーを守らないけど、そもそもつぶやかない。

     6番は、マナーを破った上で、それを自慢する。「日本に行ってこんな文句つけてやったぜ!」とか、「日本に行って落書きしてやったぜ!」とか書いちゃうわけですね。


     芝麻信用というのが導入されると、1番とか2番の人ばっかりが目立つことになるわけです。

     6番の人にも、一部には賛同する人もいるんですけど、芝麻信用のスコアはゆっくりと下がっていく。

     元々は、「このようにして、中国という国家全体の体を整えていく」という目的で始まったというふうに言われてます。


     この仕組を見れば「そんなことしても、偽善者が増えるだけ」という指摘が、ピント外れなことがわかるかと思います。

     偽善者の方が露悪的なやつよりずっとマシだし、それどころか、社会評価を気にしない人と比べても、実は “システムとして” まともである。

     つまり、法治国家の日本に当てはめると、「法律というのをいやいや守っている偽善者の方が、正直者なんだけれど、時々、法律違反を犯すような人よりはずっとマシ」ということになるわけですね。

     「中国全体の信用度を上げるため、中国人同士のビジネス道徳を向上させるためには、多少の偽善は許す。 その方が国民の民度が上がる」という判断で作られているわけです。

    ・・・

    「守らないでしょ、偽善者は」(コメント)


     いや、この芝麻信用というスコアがあれば “守らざるを得ない” んですよ。

     これについては、この後、詳しく話すんですけど。

     芝麻信用というのは、基本的に「自分は本当は何という名前の人間で、どこに住んでいて~」という情報を公開すればするほど、スコアが上がりやすく出来ているんです。

     SNSと連動している恐ろしさが、ここなんですよ。


     本当にいいことをしていれば、その人の周りにいる実名で登録している人も「そうだよね。お前、いいことしてたよね」と言うものなんです。

     そして、そういった周囲の同調が全く見られない人間というのは、スコアがあんまり上がらないように出来ているわけです。

     
     恐ろしいですよね(笑)。

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