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記事 10件
  • 「未来は過去にある」

    2024-05-22 07:00 18時間前 
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     「猿の惑星」を最初に観たのは小学生のときだ。厚木基地の米軍機が昼夜問わず団地の上を爆音で飛んでいた。米ソの冷戦も続いていた。「ノストラダムスの大予言」では世紀末に核戦争が起きて世界は破滅すると書かれていた。そういう時代背景で観た「猿の惑星」は単なるノンフィクションとは思えない衝撃をぼくに与えた。そこに描かれていたのは紛れもなく今と地続きの未来だった。かつて日本人の捕虜となった経験のあるフランス人作家ピエール・ブールの小説に大きなアレンジを加え、人種差別。軍拡競争。そして核兵器を手にした人類―――いや、はっきり言えば核兵器を崇拝するアメリカという国家の愚かさに対する強烈な風刺。それをアメリカの映画界が描いたことにぼくは子供ながら震えていた。
     

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  • 「淋しかったけど、楽しかった」

    2024-05-20 07:00  
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    「さびしかったけど、たのしかった」 娘が学校で書いた作文をそんな一文で締め括ったことに対して先生からこんな赤字が添えられていた。
     

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  • 「田舎暮らしってのんびりしているんでしょう?」

    2024-05-17 07:00  
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     田舎暮らしってのんびりしているんでしょうとよく言われる。田舎暮らしと呼べるほど田舎に住んでいるわけでもないのだけれど。海辺の町で暮らして14年目。実感としては都会で暮らしていた頃より忙しい。 
     ある日の行動をそのまま書いてみる。
     

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  • 「母の日のもうひとつの意味」

    2024-05-15 07:00  
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     妻が娘に「いつもありがとう」と母の日のプレゼントを贈られている姿に今年も目頭が熱くなる。
     母の日。子供の頃は当たり前のように子が母に感謝するだけのものだと思っていた。ところが同じものでも視点が変わると違う意味が見えてくるように自分が親になってからは違う意味合いを感じるようになる。
     

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  • 「青春スキップ」

    2024-05-13 07:00  
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     子供ってどうしていつもスキップしているんだろう――と、うっかり主語が大きくなってしまった。娘の話だ。彼女はぼくの前を歩くときいつもスキップししている。ポニーテールを左右に揺らしながら飛び跳ねるように歩いていく。
     

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  • 「時間が馴染ませてくれること」

    2024-05-10 07:00  
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     14年振りに神戸に来ることができた。新長田の駅を降りる。被害が大きかった町のひとつだ。震災後に建てられたビルの向こうに再建された商店街が伸びている。学校帰りの高校生たちが屯している広場では復興の象徴として建てられた等身大の鉄人28号が夕陽を背に受けて輝いていた。
     

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  • 「波紋を生まないように」

    2024-05-08 07:00  
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     娘が相変わらずトットちゃんに夢中だ。「窓際のトットちゃん」を読み終えた後すぐに「続・窓際のトットちゃん」に突入した。あんまり夢中で読んでいるので妻が気を利かせて買っておいてくれたのだ。続編を42年待っていた人も多い中、たまたま手に取ったタイミングがトットちゃんと同じ学年で、かつ続編が発売されたばかりというのは運命の巡り合わせとしかいいようがない。
     

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  • 「どこへも行かない」

    2024-05-06 07:00  
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     ゴールデンウイークのある一日、朝から娘と妻とビーチカヤックをした。家から歩いて数分のところにある浜辺だ。134号線を歩いてレンタルショップまで行く。娘が渋滞の車列を見て「運転もしなくていいから良かったね」と言ってくれた。昨晩遅くに仕事先から帰ったばかりだった。車を運転して一日掛かりで海に行かなければならなかったらちょっと躊躇していただろう。そもそもカヤックをしようと決めたのも数日前の話だ。天気予想と半日休みがうまい具合に重なったのだ。
     

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  • 「きのうごはんなにたべたの?」

    2024-05-03 07:00  
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     父親が仕事で地方に行くことを世間では出張と言うらしい。ぼくが仕事で数日間家を空けていることを娘が友達に話したら「そうか、パパ、出張なんだね」と言われたんだそうだ。  だが、ぼくは出張ではなく、旅と呼びたい。
     

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  • 「言われなくても分かっていることを親に何度も言われるほど子供にとって苦痛なことはない」

    2024-05-01 07:00  
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     朝ごはんに時間が掛かる。いや、朝ごはんが遅い。正確に言うと娘が朝ごはんを食べるのが遅い。省略しているのはぼくと妻もだし、娘自身もそう言っているからだ。
     毎朝「早く食べないと学校に遅れるよ」と妻やぼくに急き立てられている。言っている方も言われている方も憂鬱な気分になる。早起きして用意してくれている妻には本当に申し訳ないのだけれど、つい朝ごはんがなかったら朝は平和なのになとすら思ってしまう。まあ、こんなことで頭を悩ませていること自体がかけがえのない平和なのだけれど。
     子供の頃、朝会の整列中に倒れる子がいた。低血糖や貧血。大抵は朝ごはんを食べていない子たちだった。朝ごはんはしっかり食べさせて下さいと学校からのプリントにも書いてある。でも朝ごはんをしっかり食べていると遅刻してしまう。妻は早く食べられるようおむすびにしてくれたり、噛まずに飲み込める雑炊にしてくれたりもする。時には娘が自分で味噌

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