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<菊地成孔の日記2022年1月9日 / 午前9時記す>
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<菊地成孔の日記2022年1月9日 / 午前9時記す>

2022-01-09 13:00
  • 35

 今年、「正月がなかった」のは僕だけではないのではないだろうか、多くの芸能人がハワイで正月を過ごし、年末年始番組の多くは撮り溜めであって、ホノルル空港やワイキキの5つ星ホテルの前にはテレビクルーが待ち受けていて、という光景は、そうでなくともアウトオヴモードになりかけていたとはいえ、ここ数年は構造的に無理になったままだ。

 

 もちろん僕がいかにハワイを愛していても(恥ずかしながら初めて書くが、僕は二度目の結婚式はハワイアンヴィレッジーワイキキビーチで最も偉大なレトロホテルーで挙げ、パーティーはハワイでも有数な、新興おしゃれ地区の、かなりイカした巨大なカフェ空間で行なった。思い出すに我ながらーというか、2人目の、女優の様に美しく聡明な妻が全部仕切ったのだがー腹が立つほどお洒落なパーティーだった。ブルータスが取材に来てもゼクシィが取材に来てもなんら問題はなかったと思う。というか、両誌にとって、かなり有益な記事になった筈だ)、正月をハワイで過ごすほど儲けていない。というか、正月は東京に限る。

 

 僕は、とにかく東京の正月が好きである。東京が好きで正月が好きなのでワンプラスワンがいくつにカウントされるのかわからない。伊勢丹で10月には節を予約し、知人の酒造りから最高の純米吟醸無濾過を一升便で送ってもらい、行きつけの寿司屋から鯛の塩焼きをやって貰って、丸鶏1匹から清湯を作って雑煮にし、東宝60年代のDVDを見ながら数日ゴロゴロするために生きているのだな、と思う時さえある。

 

 しかし今年は違った。僕は「新音楽制作工房」の立ち上げに際してPCLINEまで搭載し、「岸辺露伴」のオンエア日にチャンネルを立ち上げるべく奮闘し(僕以上に奮闘したのがあのギルドのメンバー達だが)、大晦日のDJのために選盤とサバールの練習をし、正月は、セブンで売っている、よく知らないビオワインでモスチキンを食いながら2日間だけゴロゴロし、「お正月」は高速で通り過ぎていった。<疲れて2日ぐらい何もできず、ぐったりしていた>という、半年に1回ぐらいやるアレと何も変わらない。

 
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他25件のコメントを表示
userPhoto 菊地成孔(著者)

>>28

 多ジャンルのアーティストの方にお褒めいただけると望外に嬉しいです!我々も一つの神を崇めているギルエヴァンスのオーケストラ作品に「フラミンゴの飛翔」というアルバムがあって、ものすごい数のフラミンゴが一斉に羽ばたく描写があります。もし絵が描けたらぜひお送りください!

No.32 27ヶ月前

差し支えありと判断して23消しました。
レスありがとうございました。

No.33 27ヶ月前
userPhoto 菊地成孔(著者)

>>33

 まあその笑、「来年をお楽しみに」という感じで、要するに東急さんですら、考えることはエンドユーザーと同じ、ということですね笑。迅速で賢明なご判断に感謝します笑。

 皆さんも、記憶を抹消してください笑。大企業は僕になんか仕事を任せません!笑(NHKドラマ班は大企業じゃねえのかよ?とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、規模が違う、、、、と、、、、思いますよ多分笑)

No.34 27ヶ月前

ブルーノートの金曜セカンド、会場で拝見しておりました。…2階の覗き穴の様なスペースから笑 
『ルペべレスの葬儀』を聴きながら、「ああ、自分の葬儀の最後がこの演奏で送られるなら、それは良いなぁ」と不意に思った次第です。(配信買い逃したのは不覚だったなぁ…)

ところで、菊地さんはディナージャケットの第2ボタンまで留めてらしていましたよね?
無意識なのか意識的なのかと、あれ以来どうにもそこが気になっております笑
(ご教授頂けたら幸いです!)

No.35 27ヶ月前
userPhoto 菊地成孔(著者)

>>35

 会場でのご鑑賞ありがとうございます!「2つボタン1つ掛け」のマナーに反しているのはどうして?というご質問が、いつ来るかいつ来るかと思いながら、二十年ぐらい来なかったんで笑、変な話ですが「やったー!」と思いました笑

 あれは(ご指摘の通り)一種の無作法です。第一の理由としては無作法がしたい。というのがあります。配信をご覧になった方ならお分かりだと思いますが、僕はアンコールの時、全力疾走し、バンドネオンの位置でジャンプして、サックスの前に着地していますが笑、あんなデリケートで「走ったらダメ(下手に着地したら、最悪ハープが横転しますし笑)」な場所で走ったり飛び上がったりしたいんですね笑。これがまあ、やんちゃな理由としては一つあります。

 あれは、サウンドチェックの後、周到に練習しています笑。サントリーホールでは、はっきりと「舞台上を走らないでください」という注意書きがあるんですが、アンコール後の退場時に、スキップしてから全力疾走して舞台袖まで走り込みました笑。

 もう一つはジャズ界の伝統で、ビッグバンドジャズのサイドメンはディナースーツやタクシードというより、ユニフォームとしてスーツを多く着用していて、多くはボタンは全掛けです(3ボタン全掛け。というユニフォームもあります)。この伝統にひっそり乗っていたいな、という、隠しトリビア(&リスペクト)もあります。

 調子に乗って、ぺぺの衣装について書きますが、ぺぺは活動三年目からジャズやラテンのビッグバンドと同じく、完全なユニフォーミティを標榜していて、少なくとも男性は、同じブランドの、同じタクシード(採寸したフルオーダー)で、ボウタイが義務付けられていました。女性も、パンツルックはNGでした。その時は、スーツ側の作法に則り、下ボタンは外していました。演奏する上でも、こっちの方が楽なのは言うまでもありません。

 が、フルオーダーあるあるで、主に肥満によって笑、入らなくなってしまった。というメンバーが、自前でスーツを用意し始め(おかげさまでと言うかなんと言うか、僕はそこまで肥満していませんが)、タイドアップも義務ではなくなってきました。大儀見は、配信のセット以外はノータイで第一ボタンも開けています笑(地方のホールとかだと、ジャケット脱いじゃって腕まくりして、刺青見せまくっています笑)。

 本当は僕は、またフルオーダーのユニフォームに戻したいのですが(胸にバンド名入れたりして笑)、完璧にやっちゃうとスカパラさんみたいになっちゃうし(スカパラは一番好きで尊敬しているダンスバンドなので、彼らを批判しているわけではありません)、ジャズではなく、ラテンのビッグバンド、例えばファニアオールスターズなんか見ると、バラバラなんですよね。なので、「一見、ユニフォーミティなんだけど、よく見るとバラバラ」というラティーナな現状を良しとしながら、ジャズのビッグバンドへの隠しリスペクトを続けています。

 配信で着ていたのは、スーツもインナーもシャツも(映らない)シューズ全部同じ、アレキサンダーマックイーンのセットアップです。でもそれは、ショーで見たときにノータイがかっこよかったので、ノータイにしています。「なんで菊地さんだけタイドアップしないんですか?」という質問は、未だに頂いていません笑。ある意味、お客様は「それどころではない」のかも知れませんが、まあなんと言うか、自己満足的な遊びですね。ご質問ありがとうございました!

 

No.36 27ヶ月前

ラテアメリカの多くの首都が高地に作られているので、イメージに反して、暑い国というのはほぼ適用されない。どちらかというと、常春の国が多く、シャツだけで通年過ごすということが殆どだ。だが、冬になると一日の中での寒暖差が20度を超え、1日の中に四季があるとも言われる。そこまで気温差があれば、浮遊感を生活しながらも感じる。またその高地というのは、2000メートル以上の場所が殆どなので、僕らの心臓は本来の働きよりも大分少ない。血を巡らせるために、より強い鼓動が必要になる。

色々な衝動がある。死にたい、叩きたい、切りたい、踊りたい、愛したい、食べたい、などなど。だが、それは世界の色んな場所で上手く発散できたり、出来なかったりする。

祖国に帰るたびに思うのは、日本は、働きたいという衝動の発散がうまい、よく循環していると感じる。世界中のどこの都市にも、ここまで勤勉で効率的で働く快楽を発散させている人々を、僕は見たことがない。それは、とても幸福なことだと思う。誰かに何かを求められて、それを遂行する。つまり、相手に喜んでもらうということだ。ここでいう、働きたいとは、労働とは違う。ただの、働きたい、という欲求だ。そこには、誰かがいる。

何十回目のNavidadを当国で過ごし、年末年始を越した。国の中に、楽しみたい、という衝動が満ち溢れているのを感じる。そして、それを上手く発散する。楽しみたいという衝動と、その遂行に迷いも衒いも何もない。こちらで日々行われる陰惨な暴力さえも、根源にその衝動を感じる。何故なら、楽しみ方は、人それぞれだからだ。
楽しみたいということに対して、国も誰も何も咎めない。僕らは、放っておくし、おかれてる。
これまでもこれからも。
誰も何も言わない。
誰にも何も言わせない。
もし言ったら、殺す。
文字通り、本当に殺す。これまでそうしてきたように。

暗い歴史の影が、僕らを夜の世界に押しやり続けているのかもしれない。少なくとも、昼の世界では、僕らはあまり息をしていない。

マチョとエンブラは、そんな僕らと世界を繋ぐか細い架け橋のようなものかもしれない。


ニューラテンクォーターで一番出たのはラーメン、というのは素晴らしいですね。こちらでは、間違いなく、チャモロになると思います。チャモロをどう煮るのか?ここが各店舗の勝負どころです。

もし日本にそうした踊りの殿堂が復権したならば、一生、尊敬します。いや、帰国も検討するほどですね。是非、行ってみたい。

最後の曲素晴らしかったです。
踊りたい私と踊りたくない私、踊りたいあなたと踊りたくないあなたの4名のプレーヤーのせめぎ合いが良かったです。

大儀見さんが、サンテリアのコジャールを付けられてましたね。Yemayáの日まで、あともう少しです。

東京の正月は雪だったのですか。素晴らしいですね。私も、僅差で正月が一番好きです。

No.37 27ヶ月前

はじめまして。
このメールでペペのことを知り、大急ぎで配信チケットを買って聞かせていただきました。
家に帰るバスの中で聞き、2曲目でバスの中なのに泣いてしまいました。
家に帰ってからも配信の期限が切れるギリギリまで何回も聞かせていただきました。
このところ忙しく、疲れ気味だったのですが、演奏を聞きながら気づいたら田中さんや大儀見さんの動きを見よう見まねでまねしていて、つきものが落ちたようなすっきりした気持ちになりました。先日菊地さんがお話されていたサバールも、こんな感じなのでしょうか。

今日、祖母が亡くなったのですが、それを乗り越える力を与えるために配信があったのだと、妙に納得した気持ちでいます。
そのことがあったので、久しぶりに今日の一曲の そして僕は途方に暮れる を聞いたのですが、5小節目の時点で号泣し、小さい頃のことや祖母のことを思い出しました。

いつも素晴らしい音楽を届けて下さり、ありがとうございます。
いつか、ペペのライブを生で聞きに行きます。

No.38 27ヶ月前
userPhoto 菊地成孔(著者)

>>37

 これは何度か過去に発言したり書いたりしてきているのですが、僕は自分の体が動くうちに、グランドキャバレーの経営者になりたいですね。っていうか、頓挫しましたが、ブルーノート東京の株を買い占めようかと本気で思った事があります笑。

 チャモロは流石に「東京のが美味い」とは言えないソウルフードの一つですね。日本でほぼ唯一の本格的なブラジリアンBBQのチェーン「バルバッコア」の裏原宿店の店員にペルー人がいて、賄いのチャモロがすごくうまい。という都市伝説を聞いた事があります(キラースメルズから笑)。

 「最後の曲」というのは「ルペべレスの葬儀」ではなく、アンコールの「大空位時代」の事ですよね?あの曲だけメジャーキーなんですよ。関係あると思いますね。あけましておめでとうございます。

No.39 27ヶ月前
userPhoto 菊地成孔(著者)

>>38

 配信でのご鑑賞ありがとうございます!演奏家の動きを見よう見まねでやっているうちに憑き物が取れる。というのは非常に健康的な事です。赤ん坊は親の動きの真似をします。大人は「動きを真似る」に際して、かなりの自意識が入ってくるので、ライブを見るのはそういう効用もあります。サバールは動画があるので笑、おヒマでしたらどうぞ。

 お祖母様子だったのですね。知己なく無礼ギリギリですが、ご冥福をお祈りいたします(屈折したお爺ちゃん子として)。
「5小節目」というのはコード進行的に泣きのスイッチというかヒットポイントですね、和製の耳がよろしいとお見受けしました。

No.40 27ヶ月前

>>36 おお、やったぁ! なんか嬉しい笑
まぁでも普通は聞かないっすよ。
野暮天っぽいから笑

全力疾走も、サントリーホールの時から「えらく大袈裟な動きで入ってくるなぁ」と不思議に思ってたので、これまたスッキリ。

シューズまで揃えてるのは、ちょうど席の角度的によく見えたので、気づきましたよ。
ジャケットと同じくスタッズ?付きでしたか。
(あのラペルの飾りならタイは無しでも良さそう、とか。)

ところで、フルオーダーとすると、座って演奏する方々は「立った状態」と「座った状態」どちらに合わせて採寸するんですかね笑
テレビ観てると、座ってボタンをとじるせいで、ジャケットの肩周りガタガタに浮いてる人が多くて… あれは美しくないと、つい目がいってしまう笑





No.41 27ヶ月前
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