12月に入った。例年になく長かった今年ももう1ヶ月を切ったが、元日までは波乗りと一緒だ。今日、東京は急激に寒さを増し雨が降った。アレッサンドロ・ミケーレがグッチを退任。

 

 1980年代なら、むしろパーティー日和だ。クラブカルチャー全盛期よりも少しだけ前の、初期ヤッピーのパリピ文化。彼らは雨や寒さなど気にしなかった。毛皮とプラスティックがマテリアルの服を纏い、ポップグループやリップリグ&パニックで、あるいはマイケルジャクソンで踊る。

 

 タクシーに乗ってシートベルトを刀を抜くように、大きく引っ張ってロックする。「青山通りの、行列ができるドーナツ屋の前。で分かります?」と笑いながら聞くと、異様に恐縮した感じで「すみません住所を、、、、」と言われた。「ですよね笑」

 

 ドーナツ屋さえ行列はなく、青山はブルーヴェルヴェットだった。加齢のせいで、角膜がおかしくなったのかも知れない。クラブゼロの階段を降りるともう新音楽制作工房の藤井くんが先に入っていて、かなりパセティックな歌モノでサウンドチェックをしている。彼がまだDAW初心者だった頃とは別人である。


 人が育つというのは恐ろしいほどだ。無邪気で乱暴で、何も知らないでいられる時期は短い。それは巷間「短い」とされる人生より短いのだ。