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by 高森明勅
産経新聞、面目丸つぶれ。 何しろ10月4日に、1面トップで報じた 皇室典範改正「断念」 とやらの政府「方針」が、 翌日あっさり政府自身によって完膚なきまでに 全否定されてしまったのだから。 同じ系列のフジテレビのニュースでさえ、 橋本寿史編集委員が前日の産経新聞の記事を否定する 内容の解説を行った。 マスコミの歴史に残る大誤報だろう。 だから、産経新聞が今日どんな記事を載せるか 興味を持った人も、少なくないはずだ。 で、蓋を開けてみると、 1面トップ、2面の「主張」、5面、 21面にズラリと関連記事が載った。 「敗戦」処理に必死懸命の体だ。 しかし、一番肝心の典範改正断念の政府 「方針」はどうなったかと言えば、 こんな記述でお茶を濁している。 「政府は皇室典範など関連法改正について 来年1月に召集する通常国会 (高森注、正確には国会を召集するのは政府ではなく天皇陛下) での提出を断念する方針を固めているが、 藤村氏は『必要ならば提出する』と述べた」。 ??? 何が言いたいのか。 文章の前段と後段が、 真逆のことを主張している。 奇っ怪この上ない文章だ。 言うまでもなく、 藤村官房長官は政府の方針を公式に伝える立場にある。 その藤村氏本人が「必要ならば提出する」と明言しているのだ。 ならば、「提出を断念する方針」など一体、 どこから出てくるのか。 もし、そんな「方針」が実際にあると、 あくまで主張したいのなら、 藤村氏は公式の記者会見の場で嘘八百を並べたと、 疑問の余地なく証明しなければならない。 だが「論点整理」の内容は、 公表する前に天皇陛下にご覧頂いて、 ご説明も申し上げている。 陛下にまで嘘をついたと言うのだろうか。 さらに、政府は国民の声を求める、としている。 このテーマに、そうしたやり方が相応しいかはともかく、 「断念」したなら、こんな呼びかけを行うはずはあるまい。 常識的に考えて、「嘘」が介在する余地はない。 嘘が証明出来ないなら当然、 嘘をついたのは産経新聞ということになる。 潔く誤報を認め、「お詫びと訂正」を行うことが、 読者の信頼を繋ぎ止める唯一の方法だろう。 にも拘らず、上記のような支離滅裂な記事で、 誤魔化そうとする。 不誠実極まりない。 そうした態度を改めない限り、 今回の誤報は、 産経新聞に末長く「十字架」を負わせ続けることになろう。
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