多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。(この記事は2月2日にニコ生配信されたものを編集したものです)
――ここ最近炎上が続くシュウさんにいろいろとお聞きします! まず予告ツイートが炎上気味でしたが、マネジメントの方が何か告知や予告をすると「におわせをするな!」と批判される時代になってしまいました(笑)。
シュウ 「におわせ」っていうのは、だいたいどういう意味なんですかね(笑)。
――要するに何か発表があることを意味ありげに知らせる行為ですね。ただ、ファンが過剰に受け取りすぎてることも見受けられるんですけど。床屋に行くと記者会見のサインとか、ネタにして遊んでるうちはいいんですけど、実際に何も発表がないと怒る人も現われたり……。
シュウ そうなんですね(笑)。私のツイートはRIZINの何かだと思われちゃったみたいですが、来週だってONEの大会がありますからね。そこらへんも考えていただければ……。先々週弊社のホームページ(
https://www.otrmma.com/)をリニューアルしましたので、Clientのページをぜひ見ていただければ、と、ここで弊社の宣伝をツッコませていただきます(笑)
――聞いたことなかったですけど、何人くらいマネジメントしてるんですか?
シュウ 80人です。
――80人! あたりまえながらRIZINファイターだけではないわけですよね。
シュウ たとえば「#RIZINのことではありません」とかハッシュタグを付けなくちゃいけないのかなとか思ったり(笑)。
――天心vs武尊発表前、RISEの伊藤代表がハッシュタグで「天心vs武尊のことじゃないですよ」ってあからさまに釘を差しているのに、「天心vs武尊をにおわすな!」って批判されるってことがあったんですよ。たぶん何をやっても怒られると思うので諦めてください(笑)。そもそもシュウさんの場合はマネジメントとして「何か発表されますよ」と言ってるだけだから「におわせ」ではないんですけどね。
シュウ 実際に某選手がケガで試合がアウトになっちゃったんで、バッドニュースとグッドニュースもあるっていう感じでつぶやいたんですけどね。
――どうして「におわせ」に過敏になってるかといえば、シバターvs皇治が揉めてるときに榊原さんが「交渉過程を勝手に明かされると、まとまる話も壊れてしまう」と注意したじゃないですか。それを「裏の話し合いを表に出してはいけない」と捉えられて、ちょっとでも裏情報を表に出す「榊原さんが怒ってるのに!」と騒がれるんじゃないかと。
シュウ 迷惑がかかるような流し方はしてないですからね(笑)。いつも言ってることですが、格闘技にはいろんな楽しみ方があると思いますので、ひとりひとりの反応を気にしててもしょうがないんですけどね。
――というわけで、今回もいろいろとお聞きしたいんですけども。まず平本蓮選手の第2戦が正式決定した件から。RIZIN LANDMARKの鈴木千裕戦。
シュウ 皆さん、どうなんですかね、リアクションのほうは。
――平本ファンもアンチも盛り上がってますね。
シュウ それはよかったです。前にもお話ししたことありましたけど、平本選手の相手としてRIZINさんからは3人の候補者を出していただいて。平本選手は「誰でもいい」って即答だったんですけども、ルーファスポーツコーチのデュークからしたら「優先順位を付けるんだったら誰?」って話になるじゃないですか。逆に私のほうから「RIZINさんとしては誰が一番いいですかね」って聞いてみたんですよ。そうしたら、じつを言うと、こちらの考えと一致したんです。でも、LANDMARKの開催日時がズレたりしたり、鈴木千裕選手が1月下旬にKNOCKOUTで試合があったり……。試合の結果次第という事情があったからこその第2、第3候補だったんですよね。
――第1候補は鈴木千裕選手だったっていうことですか?
シュウ いや、第1候補だったのかな。
――これはもう対戦相手が決まったから言えますが、聞いた噂では大晦日に怪物くん(鈴木博昭)が萩原京平選手に勝ったら最有力候補だったとか。
シュウ そうそう。「大晦日に勝ったら」っていうことだったんですけど、負けちゃったんで。
――第2候補が鈴木千裕選手で、第3候補がドミネーター選手だったとか。
シュウ そうです。よくご存じですね(笑)。
――鈴木千裕選手が第2候補だからそのまま決まったわけではなく、鈴木千裕選手のプランも一度、消えたんですよね。
シュウ キックの試合が決まっちゃいましたからね。LANDMARKがたとえば2月の初めだったら鈴木千裕選手は無理だったと思うんですね。ドミネーター選手の詳しい説明は受けてないんですけども、日時が3月の上旬に決まって、鈴木選手がいい勝ち方をして、ケガをしなかった。こうなるとプロモーターとしても鈴木選手を流れに乗っけて使いたいという思惑もあるんじゃないかなとボクは思うんですよ。ですから最終的には、なかなか相手が確定しないのも平本選手には不利になると思ったんで「もうこっちから鈴木選手で決めてくれと言っていいね?」と平本選手に確認したら答えは「問題ないです!」だったんで。それでボクのほうからRIZINさんに「鈴木選手、ケガしてないみたいですから、これで決めませんか?」と相談したんです。そうしたら、それこそRIZINさんも、まさにいまから鈴木選手でまとめるというタイミングだったのか、すぐに返答がきて決まったんです。
――魅力的なマッチアップになりましたね。
シュウ ファンの方にわかっていただきたいのは、団体にはマッチメーカーって呼ばれる方がいるわけです。要するに誰と誰が対戦するかを決めたり、選手にオファーをするのがマッチメーカーの役目なわけですよ。もちろんボクのほうから「この選手とできませんかね?」と打診することもありますけども。ボクらの意見が通ることもあれば全然通らないこともありますよ。
――よくツイッターとかで、選手同士が「やろうぜ!」とアピールしたから決まるわけじゃなくて、まず団体側の思惑があるわけですよね。
シュウ そうです。それは企業として当然のことだと思うんですよね。RIZINさんだって、選手によっては複数試合契約で押さえて、それなりのお金を払って、PRのためにスタッフが一生懸命動いてるわけですから。
――複数回契約を結んでる中で何試合目なのかもマッチメイクでは重要ですよね。
シュウ はい。プロモーターだって投資をしているタレントを簡単に潰したくないんですよ。それなりに育てて、団体の利益が出るような選手になってほしいわけじゃないですか。厳しいのはスポーツの世界だからクリアな結果が出ちゃうんですよね。なのでプロモーターは勝った場合、負けた場合を考えるんです。マッチメーカーの仕事はビリヤードに少し似てると思います。ビリヤードはパチンって打ったあとに、どこにボールを残すかっていうことが大切じゃないですか。でも、理想どおりにボールが残らないこともあると考えてやってるんですね。
――「○○が負けたから団体の計画が崩れて困るはずだ」なんて皮肉を言う人もいますけど、逆の目が出る可能性ももちろん考えてはいるという。
シュウ あとは単独試合契約で抑えている選手のマッチメイクは違ってくるわけじゃないですか。そういったいろんな要素がマッチメイクに関わってくるので。ツイッターで選手同士がやりあったら「試合でやれ!」みたいに盛り上がるのはわかるんですけども、必ずしも団体側のプランに合わないこともあります。いまやったらビジネス的にもったいないから、もうちょっとお互いに盛り上げてから……っていう考えもありますし。たとえば平本選手は朝倉未来選手とツイッターでよくやり合ってますけども、未来選手といますぐやるのが団体やビジネスにとってもいいのか?と考える部分もあると思うんですよ。
――RIZINからすれば、今回の鈴木千裕vs平本蓮はどっちに転んでもうまく使えるカードですね。
シュウ ボクもそう思います。それは団体としてビジネスとして考えるときにあたりまえなんじゃないですかね。その場かぎりでマッチメイクをやってるだけでは次の流れを作ることはできませんから。
――平本選手は試合が終わったらアメリカに戻るんですか?
シュウ そうですね。彼はこの試合が終わったら、すぐにアメリカに戻ります。ビザ申請してから取れるまではそれなりに時間を要するんで、次回も3カ月ぐらいしか行けなくて。また戻ってくる頃にはビザの申請が通って長期滞在できると思うんですけど。
――榊原さんが次回LANDMARKをアメリカでやりたいとコメントしてましたが、アメリカにいる平本選手がそのまま出るのも面白いですね。
シュウ それは全然ありですよね。それこそアメリカでやるならベラトールの選手も出やすいと思いますし。ベラトールの別ブランド、たとえば「ベラトールLANDMARK」としてもいけるんじゃないかと思っちゃいますよね。それで少し調べたんですけど、アメリカのランドマークがある州のアスレチック・コミッションって、そんなに値段が高くないところが多いんです。ただ問題は会場だと思います。屋外でできるのか?または都合よくそのランドマークの近くにMMAの大会を開催できる会場があるのか?
――まあ日本のRIZIN LANDMARKもそこまでランドマークにこだわってるわけではないので(笑)。
シュウ そうですね(笑)。ただよく日本のアーティストのPVとかでも、グランドキャニオンで歌ったりするじゃないですか。あれを見ると、できるんじゃないかなと。北米のファンが見たことないことをやって度肝を抜いてほしいなと思ってます(笑)。アメリカ版巌流島の戦いですね。独立戦争開戦になった舞台と言われているマサチューセッツ州コンコルドとか。アメリカで教育を受けたら必ず知っているのに、それ以外の国のファンからしたらあんまりピンとこない歴史的に有名な場所でやるとか。それでその新しいブランドの中でRIZINとの対抗戦をやることになれば、北米では画期的なことだと思いますよ。
――ベラトールはPPVイベントをやったことがありますけど、そこまでいい成績を残せてないんですよね。試合数限定で日本からの購入も見込める対抗戦形式は面白そうですね。
シュウ この前のLANDMARKの朝倉未来vs萩原京平はPPVがけっこう売れたらしいじゃないですか。RIZINにはそれなりの数字を持ってる選手がいるということですから。たとえば堀口恭司選手はベラトールのトーナメントを控えているから、いまは厳しいと思いますけど。いつか出ることになれば、絶対にPPVが売れると思うんですよね。平本選手、萩原選手、皇治選手、金太郎選手とか、PPV払っても観たいと思ってくれるファンがついてそうですし。そういうビジネス的可能性を期待してます。やっぱりMMAという競技をやってるわけですから、UFCの頂を目指すのもいいんですけども、他にもいろんなチョイスがあることは、業界にとってすごくいいことだと思うので。
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コメント
コメントを書くキッズMMAの背景は知らなかった。知れて良かったです。キックのように防御に特化したキッズ競技として成熟してMMA版那須川天心が現れるといいなあ。
キッズMMAの是非を試合内容詰める段階でなぜスポーツドクターにも相談しなかったのか不思議でしょうがない。他のコンタクトスポーツは初めから頭部外傷を狙ってるわけじゃない。成長しきってない子供への頭部打撃をトライアンドエラーで済ます、本当に人の親ですか。信じられない。