先日、米国では待望のザック・シュナイダー監督『マン・オブ・スティール』が公開されました。それを記念して「io9」が、ラリー・タイ氏の『Superman: The High-Flying History of America's Most Enduring Hero』から抜粋したスーパーマントリビアを紹介しています。
初期から現在に至るまでの、スーパーマン関係者にインタビューをして得た情報を元に書かれた本から抜き出した情報なので、一般には知られていないようなネタもあるはず。
それでは、以下から「スーパーマンにまつわる知られざる奇妙な事実10選」をお楽しみください。
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1)スーパーマンの初期バージョンは悪役だった
ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターの初のコラボレーションは1932年。その作品のタイトルは『The Reign of the Super-Man』で、ビル・ダンと言うホームレスの男性が、マッドサイエンティストの実験台となり、秘薬でダンがスーパーマンになってしまうという内容でした。
このスーパーマンには人の心を読み、操作する力が備わっていました。スーパーマンは、すぐさま自分を生み出したマッドサイエンティストを殺し、市場を操作し、競馬で大儲けし、世界を牛耳る程の金持ちになったのです。しかし、能力を失ってしまったダンは、結局ホームレスに逆戻りとなってしまうという、今のスーパーマンとは似ても似つかないストーリーでした。
この作品を作る上で、シーガルとシャスターは、スーパーマンの名前にハイフンを入れるかどうか、そして悪役であるべきかについて話し合ったそうです。
銃を持つスーパーマン
クリプトナイトの名前が初めて登場したのは、1940年のこと。小売業者が、「スーパーマンが悪と戦う時に使った」という名目で「クリプトレイガン」という名前の玩具銃を売り出そうとしたのです。そして、その銃を「スーパーマンの生まれ故郷であるクリプトンで採取される驚きの鉱物」であるクリプトナイトで作られているという設定にしました。
スーパーマンが銃を必要とするのか、また、何故、スーパーマンの弱点と言われるクリプトナイトで作ろうと考えたのかは知る由もありません。それらの明確な答えは語られていませんし、コミックでも言及されていません。
ちなみにジェリー・シーゲルは、1940年にスーパーマンが故郷からやってきたスーパーマンの力を奪う「Kメタル」に遭遇し、ルイスを救出する上で、彼の秘密の力の存在を明かさなければいけない......という脚本を書きましたが、出版元が、スーパーマンがルイスに秘密を明かすという設定を却下したので、厳密にはクリプトナイトの存在は1949年になるまで語られていません。
3)スーパーマンとバットマンがダブルデートしていた
キャラクターではなく、その原作者達が、というオチですが......。
『スーパーマン』の作者であるジョー・シャスターは、『バットマン』のライターであるジェリー・ロビンソンや『バットマン』の原作者であるボブ・ケインと、頻繁にダブルデートを楽しんでいたそうです。ケインは、「ジョーとのダブルデートは楽しかったよ。女の子達に、『君らはバットマンとスーパーマンとデートしてるんだよ!』って言えたんだから。」と語ったそうです。
スーパーマンが暴露?
1945年、まだ、アメリカが極秘に原子爆弾を開発していた時のことです。新聞の続き漫画だった『スーパーマン』に、スーパーマンが原子粉砕加速器(サイクロトロン)を訪れるという内容が掲載されました。これを知って政府は大変慌てました。極秘開発だったはずの原子爆弾が、新聞によって情報が明かされてしまったのですから。
すぐさま、DC側に原稿の差し止めを命じましたが、既にほとんどの新聞社が掲載してしまった後でした。その後FBIは、ジェリー・シーガルにコンタクトを取りましたが、このストーリーはジェリーの作品ではなく、ゴーストライターのアルビン・シュワルツが描いた物だったのです。
情報漏洩疑惑をかけられたシュワルツですが、調べた所、彼には原子爆弾の知識などは無く「ポピュラーマガジン」から得た知識を元にストーリーを構成したということが判明。このストーリーは、「ファニーページ」に掲載されていたにも関わらず、時代背景によりおおごとになりました。
スーパーマンは声だけでも強い?
1946年、スーパーマンのラジオドラマで、全16話構成の「Clan of the Fiery Cross」が放送されました。これは当時流行していたクー・クラックス・クラン(以下KKK)をターゲットにした内容でした。
プロデューサーのロバート・マックスウェルは、KKKに紛れ込んだ内通者のステットソン・ケネディから、内部の情報を入手。KKKを批判し、小馬鹿にするようなストーリーを作成したのです。ケネディのお陰で、マックスウェルは、KKKで使われているパスワード等を織り込んだストーリーを毎週のように放送することができ、KKKは毎週パスワードを変更しなくてはならない事態になったそうです。
ちなみに、この話はベストセラーとなった『ヤバい経済学』にも取り上げられていたのでご存知の方も多いかもしれませんね。
6)オリジナルTV版のジョー=エルは、『フラッシュ・ゴードン』のお古だった
1951年に制作されたテレビ番組は、低予算で制作されていたため、多くの衣装がリサイクルされていました。ジョー=エルが着用していた衣装は、バスター・クラブのフラッシュ・ゴードンの衣装です。また、キャプテン・マーベルと映画版『キャプテン・アメリカ』の衣装も使われました。
ジョージ・リーブスは、灰色と茶色のウールで出来たスーツを毎日1時間かけて着ていました。そのスーツは大変重く、なんと9キロもあったとのこと。そして、その疲れとストレスを癒すためか、午後になるとリーブスはマティーニを飲むことを習慣としていたそうです。
「スーパーマンの速度は事実に基づいている」
MITのクラスが、『スーパーマン』の編集者であるモート・ウェイシンガーに、アインシュタインからとして「スーパーマンは光よりも速い速度で飛ぶことは出来ない」と断言した手紙を出しました。しかし、ウェイシンガーはアイザック・アシモフに意見を求め、「アインシュタインの主張は仮説から来ている。しかし、スーパーマンの速度は事実に基づいている」と応えたそうです。
8)映画『スーパーマン』の脚本はアルフレッド・ベスターが書くはずだった
プロデューサーのイリヤ・サルキンドは、『分解された男』で知られるアルフレッド・ベスターに脚本を頼みたいと考えていました。しかしイリヤの父親であるアレクサンドル・サルキンドが、ベスターのアイディアに難色を示したことに加え、ビッグネームを起用したいと考えていたため、マリオ・プーゾを雇うことになりました。
そのプーゾが書いた脚本は、スケールが大きく、映像化するには約1000億円かかるだろうとされていました。最終的に、プーゾの脚本はそれほど使われませんでしたが、大々的に名前が掲げられたのだそうです。
9)ダースベイダーがクリストファー・リーブを指導した
リーブは、スーパーマンを演じるに当たって、早急に体を強化する必要がありました。そこでプロデューサー陣は、ダースベイダーを演じたデビッド・プラウズに依頼し、リーブスに食事と1日に5~6杯ものプロテインを飲むように指導させたそうです。結果的に、リーブスは6週間で13kgの増量に成功しました。
10)ダースベイダーと言えば...
プロデューサー陣は、ダースベイダーの声を担当したジェームス・アール・ジョーンズに『新スーパーマン』のペリー・ホワイト役を演じさせたかったそうですが、スタジオ側と広告主がこれを拒否。理由は、当時のアメリカでは、黒人のペール・ホワイトはまだ受け入れられなかったから、だったそうです。
タイ氏の本には、、スーパーヒーローの歴史の他にも、数十年の間でスーパーマンがどのように変化し、また再考されていったのかにも触れています。また、スーパーマンが人々にとってどのような存在なのか、そして何故、彼が愛され続けるのかのヒントも与えてくれています。スーパーマンファンの方は、お手に取ってみてはいかがでしょうか。
[via io9]
(中川真知子)
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