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いよいよ公開間近! 予告編にも登場する『アベンジャーズ』の名シーンを作った、クリーチャー・デベロッパーの山口圭一さんにインタビューしてきました!
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いよいよ公開間近! 予告編にも登場する『アベンジャーズ』の名シーンを作った、クリーチャー・デベロッパーの山口圭一さんにインタビューしてきました!

2012-08-13 15:30

    8月14日(火)に公開となる、この夏最も熱い映画『アベンジャーズ』。さまざまな映画史の記録を破る世界的ヒットとなっている一大エンターテインメント作品が、ついに日本でも上映されます。 Kotaku JAPANではこれまでにも『アベンジャーズ』の話題を数多く扱ってきましたが、この度はその制作に携わる方へ取材をして参りました。公式サイトで公開されている予告編でも一際印象に残る、トニー・スタークがビルを落下中にアイアンスーツを装着するシーン。あの部分のCGの作成者は、実は日本人なんです。 世界で活躍するクリーチャー・デベロッパー・山口圭一さんへのインタビューは以下より。
     
    【大きな画像や動画はこちら】
     

    『スター・ウォーズ エピソード2』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』、『アイアンマン』、『トランスフォーマー』シリーズなどの作品の制作にも参加してきた、アメリカで活躍するクリーチャー・デベロッパー・山口圭一さんは、『アベンジャーズ』において、スタークタワーでの歩きながらのアイアンスーツ脱着シーン、そして予告編にも登場するビル落下中のアイアンスーツ装着シーン(上の動画の1:48~)のCGを作成しています。 そこで今回は、山口さんがCGを制作するにあたって影響を受けたものなどを中心にインタビューさせていただきました。
    Kotaku JAPAN編集部(以下:K):『アベンジャーズ』の中で自分がなりたいと思うヒーローはいますか? 山口圭一さん(以下:):なりたいとは思わないけど、作っている時はなりきってましたね。特に人に近い動きを作っている時は。 K:もし自分がアイアンスーツを装着するなら、というのを考えながら作ると。 :そうですね。ビルから落下しながらアイアンスーツを装着するシーンは、自分の頭の中で「もし自分がビルから飛び降りたらどれくらいの風圧を受けるか?」とか「止まりたいと思った時に自分の体はどうなるのか?」とか、自分がやっている気持ちになって作りましたね。 K:落下しながらアイアンスーツを装着するトニー・スタークになりきっていたと。 :アイアンマンじゃなくて、アイアンスーツになりきってました(笑)。 K:今のご自分の仕事に影響を与えたアニメ、漫画、ゲーム、映画などの作品はありますか? :これだけははずせないといったものはありませんが、全般的に子供の時に見たものは頭の中にアベレージで入ってますかね。 K:ロボットもの、変身ものといったものが多いんでしょうか? :『アベンジャーズ』のような仕事をする際には、やはりそういったものの影響が濃く出ますね。 K:今回担当された2種類のアイアンスーツの装着シーンでは、具体的な作品の場面が浮かんだりしましたか? 参考にした作品などはありますか? :『破裏拳ポリマー』とか『新造人間キャシャーン』とかですかね。ミサイルは『超時空要塞マクロス』が浮かんだり。あの動きまくるミサイルは「板野サーカス」と呼ばれるやり方で、それを流用しました。 K:そういった影響を受けた作品に対する敬意を、ご自分の作品に出したいという気持ちは常にありますか? 意地でも入れてやりたいと思います。もし自由にできる場所があったら、はめ込みたいですね。 K:では今回担当されたシーンに関しては、けっこう自由があったからこそはめ込められたということでしょうか? 無我夢中でやってそうなりましたね。最初にもらった時には本当に白紙で、どうしたらいいのか自分も周りの人間もわかっていない、そして締め切りは近づいていく...といった状況でした。失敗したらまあクビにはならないだろうけど、アメリカは評価を上げられないとやっぱり実力主義なので怖いですよね。無我夢中で自分の頭で考えたり、Youtubeで探してみたり、あーしたいこーしたいってやりました。 K:その結果、作品の中でも印象的なシーンが生まれたわけですね。 :色んな人にそれ言われるんですけど、自分はもう何千回も、それこそ飽き飽きするくらい見ているので、わからないんですよね(笑)。この短い秒数を毎日毎日見ていると、やっぱり麻痺してくる。でもこうして見てくれた方々に褒めてもらえて、良かったなあと思いました。 K:これだけ短いシーンでも多くの方にその凄さは伝わっていると思います。 :そういえばアニメーションチェックの時も「オーッ!」てみんな喜んでくれましたね。でもその後はもう同じですよね。「あそこはありえない」とか「あそこは3フレームずれてる」とか言って、直していくうちにみんな麻痺していきました。 K:最初の「オーッ!」はどこかへ(笑)。 :逆に「すごい!」って思うのは自分が担当してないショットですよね。他のショットを見る余裕はほぼないので、たまに見ると素直に「わーすげー!」って思いました。 K:こういった細かい作業が壮大なエンターテインメントを支えていると考えると、やはり大変な仕事ですよね。 :CGはやっぱり一個一個全部作らないといけませんからね。そこが厄介です。なんでもできるけど、元はゼロですから。 K:山口さんは実在させることのできないシーンなどをCGで作成しているわけですが、実際の物体、フィギュアやプラモデルなどで集めているものはありますか? :アニメーターは千~万、おかしいんじゃないかっていうくらい集めていますが、自分は集めてませんね。作品の参考に、例えば馬を作るのであれば、馬の解剖のプラモデルを組み立てたり、粘土で作ったりといった、リファレンスのために使うものは買います。一応その仕事が終わったら持ち帰りますが、家にはただ置いてあるだけで、集めているという感覚はないですね。 K:今後山口さんのような仕事に就きたいと考える人はどんどん増えてくると思うのですが、そういった夢を持っている方に何かアドバイスがあれば、お願いします。 :まず海外で働くということを考えると困難が伴います。ただ、「やりたい」と思ったら恐れずにその道を進んでてほしいですね。 K:元々ハリウッドでは特殊メイクなどで活躍している日本人の方が多いと思いますが、ご自分の仕事に関して「日本人に向いているな」と感じる部分はありますか? :やっぱり日本人は細かい作業が得意ですよね。細かく、なおかつ疲れる作業を文句を言わずに黙々とできる人が多いK:では今後この業界に貢献できる日本人は多いと思いますか? :うちの会社で働いている日本人もやっぱり黙々と作業する人間が多いですし、貢献できると思います。アメリカ人って「あー疲れた」ってすぐに遊びに行っちゃいますからね(笑)。 K:細かい作業を黙々と行えて、なおかつやる気と持続力と集中力さえあれば可能性は十分にあると。 集中力は一番重要かもしれませんねK:日本的な職人魂のある人は向いてそうですね。山口さんはきっと第一人者の一人として大きく貢献されると思いますので、今後のご活躍にも期待しています。本日はどうもありがとうございました!
    映画『アベンジャーズ』は、8月14日(火)に3D/2D同時公開です。「日本よ、これが映画だ。」のキャッチフレーズが定着してきましたが、筆者個人としては「これがエンターテインメントだ。」と言い切りたいくらいの素晴らしい内容なので、是非劇場で山口さんの担当シーンも含め、堪能してみてください。 なおギズモード・ジャパンでは、より山口さんのシーン制作の模様に迫ったインタビューと、武井壮さんがヒーローたちに挑戦する特集記事もあるので、そちらも是非ご覧ください。
    アベンジャーズ|Avengers] (スタナー松井)
    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2012/08/the_avengers_keiichi_yamaguchi_interview.html
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