J・J・エイブラムス監督がメガホンを取ること、旧三部作のメインキャラクターたちが出演することが発表されて以来、ファンは『スター・ウォーズ エピソード7』のティーザーの公開を首を長くして待ち望んでいました。
【大きな画像や動画はこちら】
そして、先日、遂に映像が公開されました! ネットの住民は盛り上がり、早速レゴでティーザーを再現してみる強者まで登場。
そんな中、TOYBOXはこのティーザーの公開を記念して、『スター・ウォーズ』シリーズの全ティーザーを振り返ってみたようです。(中には、私たちが知っている『スター・ウォーズ』の世界観をぶち壊す強烈なティーザーもあり、ちょっとした感動を覚えるかもしれません。)
■『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』 1977年
『新たなる希望』が公開されたのは、今から約40年前のこと。
当時にしては珍しいサイエンス・フィクション。愛すべきキャラクター達に宇宙船...。しかし、これを見た人たちは、このティーザーの映画が後の映画史に残る名作サイエンス・フィクションだと想像できたのでしょうか?
(メディアの盛り上がりを考えれば、相当なインパクトがあったことは想像がつきます。しかし、実際の『新たなる希望』とこのティーザーはかけ離れているので、私たちが本作に抱く感情とは違うものだったであろうということは想像に難くありません)
「広く無秩序な宇宙での暴動とロマンスのサーガ」というナレーションは格好いいとは言えませんが、ダラダラと見せるのではなく、短い尺で小気味よく画面を切り替えるこのティーザーは現代的な印象を与えます。宇宙でのアクションはあまり映らず、またシリーズを通して語られる人間関係にも触れられていません。
興味深いことに、このティーザーではルークとレイアの関係ばかりに焦点が当てられています。また、ふたりの登場尺が比較的長く取られている一方で、メインキャラクターであるハン・ソロのスクリーンタイムは短いのが気になるところです。
しかし、どのような形であれ、多くの人々にとって、このティーザーが「遠い昔、はるか彼方の銀河系で」起こる壮大なストーリーの初お目見えであったことは間違いなく、良し悪しに関わらず非常に貴重で興味深いものと言えるのです。
■『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』 1979年
期待を激しく裏切る『帝国の逆襲』のティーザー。1979年に公開された、『スター・ウォーズ』ファンが愛してやまないシリーズ史上最もダークな作品のティーザーは、暗さの欠片もないイラストとキャラクターのスチール紹介で構成されていたのです。
名作に相応しいティーザーを期待して動画をクリックした人は、イラストで度肝を抜かれ、ナレーションのトーンで居心地の悪さを感じ、ランド・カルリシアンの笑顔で吹き出し、前作のティーザーの最後を飾った爆発が再び登場したところで脱力したのではないでしょうか。
『新たなる希望』のティーザーは、漠然としか内容を映しませんでした。しかし、『帝国の逆襲』は、ダース・ベイダーとルークの死闘に至るまでほとんどの重要なイベントを(イラストで)見せてしまっています。これを見る限り、「トレイラーでネタバレ」というのは決して最近の手法ではなかったことがわかります。
こんなティーザーですが、ジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ』のテーマが効果を最大限発揮しているため、迷走しつつも辛うじて纏まっているように見えます。ジョン・ウィリアムズがこのシリーズの成功にどれほど貢献しているのかというのを思い知らされます。
このティーザーの最も興味深いと感じられるのは、何と言っても、『スター・ウォーズ』キャラクターの生みの親であるラルフ・ マクァリー氏のコンセプトアートで前半が構成されているところでしょう。
そして、そのコンセプトアートはストーリーの重要な部分を全て見せてしまっているようで、実際の映像は全く映し出されていない上に、本作において重要な人物であるヨーダのアートは公開されていないのがポイントとも言えます(ダゴバは紹介されていますが)。
■『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』 1982年
『スター・ウォーズ』ファンの中では常識とも言える知識ですが、『エピソード6』のティーザー公開時のタイトルは『Revenge of the Jedi』でした。「Revenge」が「Return」に変更されたのは、ルーク・スカイウォーカーのような平和を愛するジェダイ騎士に「復讐」という言葉は相応しくないというジョージ・ルーカス監督の判断があったからです。
(1983年に日本で公開された時には『ジェダイの復讐』という邦題が付けられましたが、2004年以降『ジェダイの帰還』と変更されました)
『帝国の逆襲』とは異なり、『ジェダイの帰還』のティーザーはコンセプトアートではなく実際の映像が使用されています。しかし、所々に完成映像とは異なる点が見られます。例えば、ルークのライトセーバーがブルーであったり、守護霊加工されていないオビ=ワンが映るといった具合です(これは多くの人を混乱させたに違いありません)。
この『Revenge』版のティーザーの1番のポイントとなる部分は、後に変更された『Return』版のそれとは異なり、本作が三部作の完結編であるということを殆ど匂わせていないということです。
もしかすると、このティーザーを作っていた時、フォックスは、直ぐに続編が公開されるだろうとファンに期待を持たせようと考えていたのかもしれません。
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』 1998年
『ジェダイの帰還』から16年が経過し、満を持して公開された『ファントム・メナス』。このトレーラーが公開されたときの興奮は言葉では表現できません。訳者も映画館でそのトレーラーを楽しみましたが、行儀よく鑑賞することで有名な日本の映画ファンですら興奮を隠しきれずに館内がザワザワとしていたのを覚えています。
『ファントム・メナス』のティーザーは、 『ウォーターボーイ』、『マーシャル・ロー』、『ジョー・ブラックをよろしく』の3本の映画の前と限定され、アメリカ国内にある75の映画館でのみの公開だったのです。
数千人のファンがティーザーを見るためだけに列をなし、見終わるとともに映画館を後にしました。当時、インターネットはそこまで一般的でなかったことから、これらの映画のチケット販売数に多大なる影響を与えることとなり、トレーラーが公開された週末の売り上げが跳ね上がったのでした。
しかし、満を持して公開された『ファントム・メナス』は、残念ながらファンが望むような内容ではなかったのは皆さんもご存知の通り。
とはいえ、この2分に渡るティーザーは、重要なイベントこそ見せていないとは言え、本来のティーザーの役割である「焦らし」の意味がないのではと思えるほどに、ファンに情報を提供しています。
新しい惑星、ポッドレース、ダース・モールの姿、そしてライトセーバーに新キャラのジャー・ジャー・ビンクス! (公開後、ジャー・ジャーは随分と嫌われましたが...)ファンが大喜びしたのも納得です。
■『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』 2001年
迷走気味だった『スター・ウォーズ』のティーザーに、やっと「ティーザーらしい」ティーザーがやってきました。ジャンゴを含むキャラクターやイベントが次々と断片的に映し出されており、観客をしっかり「焦らし」ています。また、レーザーに焦点をおいた構成も昔ながらのファンが喜ぶものになっています。
そして、『ファントム・メナス』で紹介された純粋無垢で悪を知らなかったアナキン少年と、観客が知るアナキンの運命のギャップを埋めるがごとく、全体的に不吉な雰囲気を漂わせていて決して穏やかなロマンス編ではないと伝える事に成功している編集技術も見事です。
ベイダーの象徴的な呼吸を全面に出すのもアイディアもなかなかです。ただ、そのアイディアが最も効果的に現れるのは『帝国の逆襲』や『シスの復讐』であって、『クローンの攻撃』ではなかったのではないでしょうか。名案だったはずのベイダーの呼吸が、残念ポイントになってしまっているのが悔やまれるところです。
■『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』 2004年
新三部作並びにシリーズの完結編(と当時は言われていた)のティーザーは、『新たなる希望』の「フォースのテーマ」と、アナキンがダークサイドに堕ち、ジェダイ騎士団が壊滅したことを語るオビ=ワンのナレーションが流れる、とてもノスタルジックな仕上がりでした。
ストーリーの大まかな内容を観客が既に知っているからでしょう。このティーザーからは、重要なイベントを隠そうという気はあまり感じられず、アナキンとオビ=ワンの最後の対決シーンや、アナキンがベイダーとして蘇るシーンまでもが見せられています。
また、旧三部作の完結編である『ジェダイの帰還』(「Revenge」版)のティーザーは、ストーリーの完結を思わせないように編集されていましたが、新三部作の完結編である『シスの復讐』は全面的に「これが最後だ」というメッセージが全面的に押し出されているのが面白いところと言えるでしょう。
『スター・ウォーズ エピソード7』 2014年
そしてこれが先日公開された『エピソード7』のティーザーです。タトゥイーンらしき砂地にサッカーボールのようなドロイド、ランドスピーダーとスピーダーバイクを足して2で割ったような乗り物、今までとは違うデザインのライトセーバーが登場する様子が映し出されています。
また、新しいキャラや乗り物だけでなく、旧三部作のファンが手を叩いて喜ぶような場面も。水上を滑走するXウィングとミレニアムファルコン号です。
ティーザーの作りとしては『ファントム・メナス』が近いでしょう。それだけでなく、10年という月日を経て再び動き出す『スター・ウォーズ』シリーズに対して観客が抱く不安や大きな期待も、『ファントム・メナス』のティーザーを見たときに感じたものと近いのではないでしょうか。
それにしても、出演が確定しているとはいえ、マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ハリソン・フォードの姿を見せないというのは随分と焦らしています。ファンは彼らの姿が見たくて、今か今かと次のトレーラーの公開を待ち望むことになるのでしょう。
Looking Back At The History Of Star Wars Teaser Trailers[via io9]
(中川真知子)
関連記事
- 諦めていた深剃りと肌への優しさの両立。ブラウンの最高傑作ならこう解決する
- デキる男はやっている。タブレットで「持ち運べる書斎」を作ろう
- まずは始めてみなきゃ! オンライン英会話スクールに真打ち登場「DMM英会話」