もし火星でコスプレするなら、何のキャラクターになりたいですか?
アメリカの女性コスプレイヤー、マギー・ダックワースさんは、人類で初めて火星に降り立つ可能性を持った方。そして、もしそれが叶えば、火星に最初に降り立つ人類はコスプレイヤーとなるかもしれません。
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なぜなら、マギーさんは「マーズ・ワン(Mars One)」という非営利団体による、人類火星移住計画の人選で、20万人の応募者の中から選ばれた内の一人なのです。
こちらがマギー・ダックワースさん
2024年より、2年毎に4名の永住希望者を火星に送り出す「マーズ100」計画。私たちの知らない間にそんな話が進んでいたなんて驚きですよね。映画『レッドプラネット』が現実のものとなるのも、もうすぐでしょう。
マギーさんは、宇宙への興味をこう語られています。
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小さなころから宇宙にまつわることが大好きで、ずっと外の世界を探検してみたいと思っていたんです。もし動機のきっかけのひとつを挙げるとしたら、80年代に両親と観ていた『新スタートレック』でしょうね。宇宙を身近に感じさせてくれた番組で、あの世界へ飛び出したくなりましたよ。
同じモチベーションが、私をファンタジーと空想科学の世界へと導いたんです。そこからコスプレの道へ行きましたし、その後は電気工事技師の仕事に就きました。マーズ・ワンが候補者を募集していると知った時、これはずっと憧れていた冒険の中に身を置くという願いが叶うだけでなく、私の人生すべてを注いでウッカリ培ってきた技術を発揮できる、素晴らしい機会だと思ったんです。
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地球外の惑星に移住するにあたり、本当に必要なのは科学者や医師、および何かしらの専門知識やサバイバル能力に長けた人材でないといけませんよね。コスプレなんて、火星移住にとっては必要ないスキルなわけですが、電気工事技師であれば確かに不可欠な人材です。
ご本人はウッカリだなんておっしゃっていますが、元を辿ればマギーさんに志を植えつけた『スタートレック』は間違いじゃなかったってことになります。
2013年までは、コスプレ用のパーツや衣装を販売する仕事で生計を立てていたマギーさんですが、空軍に参加し、電気工事技師に転身したことで、移住計画の候補者100人に残ることができたようです。しかし......?
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多分ですけど、色んな種類のプロフェッショナルな帽子を被ることが出来る能力を持っていたのが、ここまで落ちずに残っている理由じゃないかと思うんです。
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と、ジョークなのか謙遜なのか照れ隠しなのか、こんなコメントを残しています。実はこのプロジェクトで重要な役割の一つが、なんと「人々を楽しませる事ができる人材」。
日々の生活を繰り返しながら現地での植民地化に精を出すだけでは、退屈極まりないのはもう火を見るより明らか。私たちが人間である限り、何かしらのエンターテイメントが絶対に必要なのです。
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この必要事項には驚かされました。私たちは楽しまないといけないのです。この計画で協力する必要があります。そして、私たちは火星までの7ヶ月間の移動時間だけでなく、現地に到着してから生涯を終えるまで、創造性豊かかつ生産的でなければいけません。
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手練の彼女が持つコスプレの技術と経験を持ってしても、地上でコスチュームに着替えるのと宇宙で着替えるのとでは勝手が違うことでしょう。それに、宇宙船に持参出来るものは限られており、重量がキッチリ計測されるため、コスプレ関係のアイテムは一切火星に持っていけないそうです。
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とはいえ、きっと布地を繕う道具は何かしら持っていくと思います。針と糸がある限り、向こうで何もクリエイティブなことが出来ないなんてことはありませんよ。
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現実的に、現代人なら何かしらの衣服は着ないといけませんし、現地でも衣服の補修や新しいユニフォームの生産など、何か縫製にまつわる作業は出てくることでしょう。そんな時に、マギーさんのコスプレで身に付けた技術が役に立つだろうと考えているそうです。
現地のメディアに出演された時の一枚
そして、火星に行くからと言って、コスプレの夢が無くなったわけではありません。移住して何年か経てば、何かを作れるチャンスがやってくるかもしれないので、一旦お休みという形になるだけとのこと。
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火星でキャラクターを完全再現するのはムリかもしれませんが、私はファンタジーとSFの精神を忘れません。それらのデザイン・センスを持っていれば、私は向こうで落ち着いてから何かクリエイティブなことをするかもしれませんしね。
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簡単に「落ち着いてから」なんて引っ越しのように言っていますが、実は計画が実行されるまでにまだまだ多くの問題をクリアする必要はあります。それは計画の資金繰り、現地での自給自足による食料調達手段確保、宇宙船に乗り込むまでの訓練の数々がまだ8年も続きますし、候補からの脱落や計画の頓挫などの可能性だって大いにありえるのです。
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もちろん、こんな壮大な計画について疑問視するのは自然なことです。かつて人類は大西洋を渡ることだって否定的でしたし、月まで飛んでいけるかどうかだって不安に思っていました。
私が初めて車で旅行に出かけた時だって、両親は物凄く心配したものです。一見して不可能に思えても、成功したらそんな不安はなくなります。現段階では、人類が火星に行ける可能性は0パーセント。でもそれは、まだ0パーセントの人しか試していないからですよね。今われわれに必要なことは、行動を起こすことです。たとえ「マーズ・ワン」が成功しなかったって、それが人類の火星行きを諦める理由にはなりません。
コスプレイヤーとしての視点で見たとしましょう。仮にそこには夢にまで見るようなコスチュームを作ってみたいとしても、今の私にその技術がないからって、「コスプレをするべきではない」ってなりますか?
もちろんそんなことはありませんよね。それはまず大量の下調べをして、時間を費やして、成功も失敗も含めていろんな経験を積まないといけないわけです。もしかしたら、それはたった1つのイベントのために作りたいコスチュームかもしれません。それにもしかしたら、翌年のイベントまで完成しないかもしれません。それでも最後には完成できるんです。もしかしたら想像した通りにはならないかもしれませんが、それは出来るんですよ。
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最後に、マギーさんの「もし最終的に火星に行けるようになったとして、現地に持っていける/現地で作るコスチュームがあったとしたら、何になりますか?」という質問への答えをどうぞ。
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火星で空気や重力の問題などがなかったと仮定して...全力を注いで『マスエフェクト』のシェパード少佐かレギオンのコスチュームを作るでしょうね。もしあっちで再現出来たとしたら最高です。以降ずっと着ているでしょうね。
もし私たちが最終的に到達できたら、そしてもし私が火星の地表に『マスエフェクト』のジャケットを着て立てたら、その時「そもそも、どうしてこれが不可能だったと思ったのか?」って不思議に思えてくるんじゃないかと思います。
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なるほど、ぜひとも夢を実現させてほしいですね。応援したくなった方は、ぜひともマギーさんのウェブサイトとfacebookもチェックしてみてください。
なお、マギーさんの自己紹介ページにある、立候補の時に撮った動画は以下。ご自分でコスチュームを作っている様子も映っています。
A Cosplayer Might Be One Of The First People On Mars[Kotaku]
(岡本玄介)
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