私は今大塩平八郎著『洗心洞箚記』を読んでいる。大塩平八郎は、大坂町奉行所の元与力で、天保8年(1837年)に反乱を起こしている。私が大塩平八郎に関心を持ったのは、三島由紀夫の言葉による。
 英国の日本研究学者にアイヴァン・モリスという人物がいる。彼の著書『光源氏の世界』は英国でダフ・クーパー賞を受賞している。ダフ・クーパー賞は文芸評論、歴史等の著作に毎年一名が受賞している。彼は源氏物語に精通している。
 三島由紀夫はこのアイヴァン・モリスに、「もしも西洋人が日本精神の本質を理解したいならば、日本人の持つ勇健精悍なたけだけしい英雄の典型として大塩平八郎を研究したらよい。日本精神とは王朝女官の日記や優雅な歌と歌とをかわすならわし、あるいは儀式的なお茶会などだけで代表されるべきものではない」と述べている。
 私はこの発言に興味を持ち、大塩平八郎を少し、学び始めたのである。
 アイヴァン・モリスは「大塩