1:事実関係
(1)中国側動き
中国国防省は23日、沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海に「防空識別圏(ADIZ)」を設定したと発表した。
防空識別圏は各国が不審機の接近時に緊急発進(スクランブル)を実施する基準として、領空とは別に設定する空域。中国国防省の報道官は「中国の自衛権行使に必要な措置。特定の国に向けたものではなく、関連する空域における飛行の自由には影響しない」と主張した。一方で、同日から新たな識別圏のパトロールを開始したと述べた(24日CNN)。
中国側説明
「1950年代に米国とカナダが他国に先駆けて防空識別圏を設定、20数カ国・地域が後に続いた。防空識別圏は通常、海に面した国や地域が海空の防衛・安全保障上設定する特定区域で、実質的には早期警戒区域であり、国際空域の正常な航行と通過の自由への影響はなく、他国への脅威にはならない。
識別圏には
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日本側サイドに立てば、孫崎さんのご投稿どおり、中国の事前説明が欠けているといえる。
問題は、中国サイドに立って日本の動きがどのように映っているかである。尖閣問題を発端として、日本全体に中国脅威論が80%を超えている。中国脅威論を国民に強く植え付け、米国との結びつきを一気に強固な体制にしようと、日本国民の意志は全く省みないような日本版NSC,特定秘密法の法律化が、今日にでも成立しようとしています。推測ですが、このような日本の急激な動きに対して、中国が防空識別権の設置を一方的に発表したともいえる。
問題は、中国とのあいだに話し合い解決のルートがなく、また、安倍総理自身が対中国と対立し直接会話が出来なくては中国との関係は緊張関係が深まるばかり、米国依存が極度に強まるのでしょう。オバマ大統領は中国と話し合いの出来る環境にあり、最後は米国に巨額な交渉金を要求されるのでしょう。
中国も(中国ネトウヨ風に言えば“やっと今頃”)防空識別圏を設定した。尖閣問題に疎い外国人が中国国防部発表の東シナ海の地図を眺め、日本の防空識別圏の範囲を重ねて見ると、何か中国の言い分は妥当で控えめにさえ見え、日本の空域は欲張りに見えるかも知れない。1960年代に米軍と日本が一方的に設定した日本の防空識別圏は中国沿海部から130キロの距離まで迫り、自衛隊機と米軍機は射爆場もありこの海域を我が物顔で飛び回ってきた。中国の軍用機は少しでも目の前の日本の防空識別圏に入れば即自衛隊のスクランブル発進を受け、目障りでイラついていたに違いない。最近とみに増強された中国の海、空軍力を考えれば、日米に占拠されたこの空域をそろそろ取り戻したいと考えるのは自然だろう、これは日米の既得権益に対する中国の挑戦である。一方日本側は絶対に受け入れないと息巻いて日本の航空会社に飛行プランの提出を止めろと言っている、大丈夫か?日本は本当に中国と戦争する気なのか?何故非難合戦を続けるのか、何故この機に領土国境問題として話合おうとしないのか?アメリカも領土主権について立場を取らないと言いつつ既得権益を手放そうとしない。イギリスのフィナンシャルタイムス(FT)は社説(日経転載)で「日中両国は問題の解決を将来の世代の知恵に任せて棚上げし、以前の状態に戻すよう努めなくてはならない。その上で、漁業権や石油探査権など天然資源の共同管理を目指すべきだ。」と言っている。日本にその気はあるのだろうか?強気に出れば中国は折れてくれるのか?それともこのままずっと睨み合いを続け不毛の時間をつぶす気なのだろうか?