岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/04/25
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/04/08配信「映像作家・庵野秀明の本質に迫る!特撮視点のアニメ『エヴァ』と、アニメ視点の特撮『シン・ゴジラ』を比較研究!」の内容をご紹介します。
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2018/04/08の内容一覧
- 追悼・高畑勲監督
- エヴァンゲリオン解説、前回のおさらい
- エヴァンゲリオン・スタイル「不必要なほどに多いカット割りの理由」
- 『シン・ゴジラ』でさらに磨きが掛かったカット割り
- 庵野秀明はレイアウト主導
- 主役主義の『エヴァ』と、無能のいない『シン・ゴジラ』
- エヴァンゲリオン・スタイル「実相寺アングルの秘密」
- ただのオマージュではない『エヴァ』
- 『ガンダム』へのオマージュ
- 「O-9システム」という用語の由来は?
- 「イメージの共有」こそが『エヴァンゲリオン』の中心テーマ
- エヴァへのお便り
- 次回は『火垂るの墓』を解説
庵野秀明はレイアウト主導
庵野秀明というのは、絶対に、照明よりもカメラを大事にするんですね。
もちろん、照明も大事なんですけど、それよりは自分のカメラ位置とか、「この画角のレイアウトを!」というのを守らせることを大事にしているんですよ。
この辺は、宮崎駿と高畑勲の違いにも繋がります。
宮崎駿というのは、自分で絵が描けちゃう人だから、レイアウトも自分で描いちゃうわけですよ。「こういう構図で」みたいなものを。すると、自分で描けるもんだから、宮崎駿のレイアウトには必ず、矛盾というか誤魔化しが生まれるんですね。
ある部分をわざと大きく描いたり、もしくは、パースを取る時の三点透視を誤魔化したりする。もちろん、その分、魅力的な絵になるんですけども。
それに対して、高畑勲は、そういうのを嫌って、すごい正確なパースというのを要求するんですね。
なので、高畑勲のレイアウトというのは、もう本当に「ミリ単位でレンズの位置が決まっている」と言われています。
「畳の上の高さ5ミリの位置にレンズがあるから、この位置で撮りなさい」というような指定が、高畑勲のレイアウトにはある。だけど、宮崎駿はそうではなく、自分で考えたレイアウトだから、「こういうふうに作画してくれ」という指示になる。実写的というよりは、よりイラスト的なんですね。
そういう意味で、僕が『シン・ゴジラ』を見ていた中で「ああ、これはレイアウト主導なんだな」って思ったのが、このシーンなんですけども。
(パネルを見せる)
さっき紹介した会議のシーンの最後のカット。水蒸気爆発みたいなものがスクリーンに映し出される場面で、その様子を閣僚たちが見てるんですけども。
あのね、普通の映画監督だったら、この場面を取る時に、絶対にカメラの位置をあと50cm上げるんですよ。
実は、この会議室って、すごくデカいですよね。奥にスクリーンがある中、細長い机が並んでいて、その一番手前に主人公がいるんですよ。
こんな場面を取る時というのは、「いかにこの部屋に多くの人がいるのか」ということを見せたくなるのが人情なんですよ。そして、カメラ位置をもう少し、あと50cmも上げれば、もっと会議室全体の様子がはっきりわかるんですよ。
ところが、固定カメラの方が圧迫感がある画面が作れるということで、あえてカメラワークをさせないんです。
おそらく、これがハリウッド映画だったら、クレーンカメラを使って、低い位置から段々と上にカメラを移動させて、角度のついたショットを撮っちゃうはずなんですよね。「絵に動きがある = 緊迫感が出る」っていうふうに思っちゃうから。
ところが、そんなことはしない。カメラワークではなくレイアウトだけで緊張感を出すというのが、庵野秀明の演出なんですよ。
このカット、実はすごいことなんですよ。『エヴァ』で散々やったからこそ身についたことなんです。『エヴァ』であんなに実験していなかったら、このセットを組んで、思い切ってこの構図を選択することは、絶対にできないんですよ。
かなり無茶な構図です。だって、画面中央の一番手前にくる人物は、主人公ですらないんですからね。
主人公じゃない人を真ん中において、そいつらが後ろのモニターの半分くらいを隠していて、周りの閣僚についても、お互いがお互いを隠してるという構図。
凝ってるんだけど、メチャクチャ難しい構図です。
と、いうように、「エヴァンゲリオン・スタイル」というのは、より進化して『シン・ゴジラ』に受け継がれています。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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