「『自分はまだダメだ…』を武器にする技術」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7)
このシリーズでは、私たちの人生の満足度を下げちゃうインポスター症候群について触れております。ざっくり言うと「自分の成功を実力と認められず、偶然や運の結果だと思い込んでしまう心理現象」のことで、こいつをこじらせると、いつまでも達成感を得ることができず、人生の満足度がダダ下がりしちゃう可能性が高まるんで、心当たりのある方はぜひ注意しておきたいところです。
ということで、今回はその第8弾。インポスター症候群の対策として、ステップ8「インポスター“症候群”という言葉を捨てる」とステップ9「全員を救えないと知る」の2つを見てみましょう。
インポスター症候群改善ステップ8.「インポスター“症候群”」という言葉を捨てる
さて、ここまでさんざん「インポスター症候群」って言葉を使ってきたのに恐縮ですが、このステップでは、インポスター症候群って言葉を忘れる作業をしていただきます。というのも、人間ってのは、何かに名前がついた瞬間、それを“固定された属性”のように扱い始めるからです。
たとえば、「燃え尽き症候群」「学習性無力感」「愛着障害」みたいな名称は、確かにある種の傾向を把握する役には立つんだけど、一方でその言葉がラベルとなり、自己定義になっちゃうリスクもあるんですよね。たとえば、
- 「HSPだから、人付き合いが苦手で当然」と思い込んでしまう
- 「私はADHDだから、先延ばしを直せない」と行動改善を諦めてしまう
- 「発達障害の傾向があるから、チームでの作業には向いていない」と役割を避けてしまう
といった問題がありまして、特定の名前が「呪い」になっちゃう例はよく見かけるところです。「インポスター症候群」もその一つで、この言葉を初めて聞いたとき、「ああ!自分には問題があるのだ!」と感じちゃう人は多いんじゃないでしょうか。この他にも、
- 「インポスター症候群ってことは、自分はずっとこのままなんだ」と思い込んでしまう
- 「インポスター症候群なんだから、成功体験を受け入れられないのは当たり前」と思ってしまう
- 「インポスター症候群のせいで、自信がないんだ」とすべてを病名のせいにしてしまう
みたいなパターンが考えられますね。こうした感覚は、自分の感情や行動を“変えられるもの”ではなく“仕方のないもの”と見なす態度につながってしまうことが多いんですよ。
事実「症候群」って言葉は、割りと昔から心理学の世界でも問題視される傾向がありまして、以下のような心理的な影響があるとされております(R)。
- 不治感の喚起:症候群って言葉を、病名や障害名と並んで使われることで、「長く付き合わなければならない状態」「治りにくいもの」みたいな印象を与えちゃう。
- 自己同一化:「私はインポスター症候群だから」と言ってしまうと、それが自分のアイデンティティの一部のように扱われ、「症状」ではなく「属性」として固定されちゃう。
- 行動の抑制:「これは“症候群”だから仕方ない」と思うと、それを乗り越える行動を起こしにくくなっちゃう。まあ、このようなラベリングには「納得感が生まれる」ってメリットはあるんだけど、その一方で「自分で自分の限界を決めてしまう」ってリスクも持ってたりします。
いずれもなかなか手ごわい問題でして、「今の自分」を受け入れることと、「これからの自分」を縛ってしまうことは紙一重なのだと申せましょう。人間の心理ってめんどうですね。
「症候群」を「ギャップ」として再定義してみよう!
では、この問題をどうすりゃいいのかってことですが、多くの研究者は、「インポスター症候群を、“病”ではなく“ギャップ”だと定義せよ!」と言っておられます。どういうことかと言いますと、そもそもインポスター症候群ってのは、「自分が達成したこと」と「自分が感じている自己評価」のあいだにあるズレ(=認知ギャップ)のことを指すのであって、それは不治の病ではなく、行動と経験によって埋めていける“差分”にすぎない……みたいな考え方です。
こんな感じで、「インポスター症候群」をギャップとして捉えることにより、こいつをただの「一時的な成長課題」へと変換していくわけです。なぜこれが効くのかと言いますと、「ギャップ」って考え方には以下の働きがあるからです。
- 「ギャップ」は動詞で埋められる:ギャップってのは、「今の地点と理想の地点の間の距離」を意味しております。なので、これは学習、経験、練習によって埋めることができるわけです。たとえば、「専門家のように話せない」なら「説明トレーニングを週に2回」すればいいだろうし、「質問に即答できない」なら「想定質問を10個書き出して模擬練習」すればいいだろうしって感じで、「症候群」ではなく「ギャップ」と考えれば、「これをどう乗り越えるか?」に意識がシフトして、いらぬ罪悪感に悩まされなくなるわけっすね。
- 「ギャップ」は一時的である:「ギャップ」は成長とともに変化するのが前提なので、固定されないのがよいところ。これは常に「いまここ」の課題であり、「永遠の属性」じゃないんですよ。なので、インポスター症候群をギャップだと思うことで、「これは今の自分の課題なだけで、未来の自分はちゃんと成長していく存在なんだ」と思えるようになるわけです。
- 「ギャップ」による不安は「成長すべきポイントがある」というサインである:インポスター感情とは、「私はもっと上手くなりたい」「もっと価値を届けたい」という思いの裏返しで発生することが多め。もし何も成長を望まなければ、そもそも「バレるかも」なんて恐怖は起きないですから、これは向上心がある人だけに現れる副作用なのだと言えるでしょう。その点で、「この不安はギャップによるものだ」と思うことができれば、「インポスター感は病気ではなくポテンシャルの裏返しなのだ!」って発想になるんじゃないかと。
ここらへんのメカニズムが働くと症候群が一気にギャップに変わりますんで、ぜひとも心がけておきたいところです。
が、そうは言っても、なかなか気持ちを切り替えるのも難しいと思いますんで、ここではいくつかの対策をまとめておきましょう。
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