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「『自分はまだダメだ…』を武器にする技術」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6)

 

このシリーズでは、私たちの人生の満足度を下げちゃうインポスター症候群について触れております。ざっくり言うと「自分の成功を実力と認められず、偶然や運の結果だと思い込んでしまう心理現象」のことで、こいつをこじらせると、いつまでも達成感を得ることができず、人生の満足度がダダ下がりしちゃう可能性が高まるんで、心当たりのある方はぜひ注意しておきたいところです。

 

ということで、今回はその第7弾。インポスター症候群の対策として、「『白帯に教える白帯』理論」を見てみましょう。

 

 

 

「教える側」になるのはめっちゃ大事なのに、ついそれが怖くなっちゃう理由とは?

 

インポスター症候群に悩む人がよく抱く思考パターンが、 「私には教えるほどの知識がない!」 「間違ったことを伝えてしまったらどうしよう」 「もっと実績のある人に任せたほうがいいのでは?」みたいなやつです。これらの思考ってのは、ぱっと見は慎重で謙虚そうな態度っぽく見えるんだけど、

 

  • 知識が“完全じゃない”ことを理由に、誰にもアウトプットできなくなる
  • 自分の知識や経験を「他人より劣っている」と感じて、情報の貢献から離脱してしまう
  • 教える機会を避け続けることで、かえって知識の定着や理解が進まなくなる
  • 「自分は教える資格がない」と思い込んで、チャンスを他人に譲り続けてしまう
  • 完璧主義と自己否定がループして、自信の回復がますます難しくなる

 

このような問題が起きるのは、「教えること」そのものに対する誤解が含まれているのが大きな原因であります。というのも多くの人は、「教える立場」になる条件として、以下のようなものを必要だと考えているんですよ。

 

  • 実績:一定の成功経験
  • 完璧な知識:質問に即答できるレベル
  • 絶対的自信:他人に教えて恥ずかしくない自分

 

確かにいずれも「あって損はない」要素ではあるんですが、ここで大事なのは、これらのポイントは理想ではあって必要条件じゃないってところです。むしろ「教えること」そのものが“理解を深める手段”であるという逆転の発想が重要なんですよ。武道の世界でも「黒帯になる必要はない。白帯に教えられるレベルで十分価値がある」みたいなことをよく言うんですが、このマインドセットを育てるのがインポスター症候群を解決する基本になります。

 

実際のところ、近年の教育学や学習心理学では、「教えること」自体が知識の“定着”と“深化”をうながす最良の学習法だってことがわかっているのはご存じのとおり。これは「ティーチング・トゥ・ラーニング理論」と呼ばれまして、教えることは「学びの最終段階」じゃなくて、むしろ「学びの加速装置」だって考え方が普通になってるんですよね。

 

これにはデータの裏付けもいくつかありまして、心理学者のエルダー&ポールによる研究では、知識の「再構成」を伴うタスク(例:他人に説明する、例え話を作る)は、単なる読み・書き・聞く学習よりも脳の複数ネットワークを動員し、定着が数倍高くなることが示されてたりします。この脳活動のパターンはfMRI実験でも観測されており、特に以下の領域が活性化するんですな。

 

  • 前頭前皮質(情報の整理)
  • 海馬(記憶の統合)
  • 側頭葉(言語処理)

 

さらに、他人に説明することは「メタ認知(=自分が何を知っていて、何を知らないかを理解する能力)」を活性化させ、“本当の理解”と“うろ覚え”を見分ける能力を鍛えるのも大事なポイント。他人に教えるプロセスの中で「自分が何を理解していて、何を理解していないか」に気づくことができるんですよね。

 

これは武道の世界でもよく言われることで、白帯の初心者にとって最も頼りになるのは、実は「茶帯」や「黒帯」ではないケースが多かったりします。 なぜなら、 黒帯の説明ってのは、

 

  • 自分の体に染みついたことを無理やり説明しようとするので、難解すぎて意味不明なことが多い

  • 黒帯は初心者のつまずきを忘れているので、初心者がつまるポイントを理解できない

  • 黒帯の視点は高度すぎて、基本をすっ飛ばしてることも多い

 

みたいな問題があるからです。一方で、「白帯+半年」ぐらいの人ってのは、

 

  • つい最近つまずいたポイントを覚えている

  • 同じ言語・感覚で伝えられる

  • 初心者の不安に共感できる

 

という特徴を持ってるんで、実は黒帯が教えるよりも効率が良かったりするんですよね。いわば、黒帯の“翻訳者”として機能しているわけでして、これは「スキャフォールディング(足場かけ)」と呼ばれる教育理論とも一致するところです。

 

「スキャフォールディング(足場かけ)」ってのは、初心者が一人ではできない学習や行動を、少し先を行く人が“必要な部分だけサポートする”ことで、理解とスキル獲得を加速させる教育手法のこと。重要なのは、教える側が全部を教えるのではなく、初心者が自力でできる部分はそのままにして、できない部分だけを補助するところでして、こうすることで、初心者の自信と学習効率が同時に高まり、少しずつ自立できるようになるわけですね。

 

ということで、ここからもわかるとおり、私たちにとっては「ちょっと先を行く存在」が最も効果的な教師となりうるわけです。要は教えることは「実力者だけの特権」じゃないってことですね。