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  • 2026/09/24

    コラム『結論未満』第5回「他人の傷」

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    コラム『結論未満』第6回「死者のカーテンコール」

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    コラム『結論未満』第7回「題名が決まらない」

コラム『結論未満』第4回「完全勝利」

結論未満

第4回「完全勝利

僕は、流行に乗らない。
こう書くと、世間の熱狂に背を向ける孤高の人のようだが、実際はそれほど格好のよいものではない。たまごっちが日本中で育てられていた時も、『半沢直樹』の「倍返し」が飛び交っていた時も、タピオカを求めて行列ができた時も、特になにもしていなかった。
ラグビーワールドカップ日本大会、アニメ『鬼滅の刃』、東京オリンピック・パラリンピック、大谷翔平、WBC、『VIVANT』、大阪・関西万博。日本中がそれぞれに熱狂していることは知っていた。だが、その輪の中へ入ってみようとは思わなかった。そもそも僕はテレビをほとんど観ない。スポーツ観戦にも、人生で一度も興味を持ったことがない。
演劇と出会ってからは、ずっと演劇に明け暮れてきた。みんながなにかに熱狂している時、僕はたいてい脚本を書いているか、稽古をしているか、次の舞台のことを考えていた。流行の外側にい


結論未満
第3
回「
言い直せない台詞」

いい年をこいて、人見知りである。
子どもの頃なら「人見知り」で済むが、大人になると「無愛想」「感じが悪い」「なにを考えているのか分からない」など、別の呼び名を与えられる。症状は変わっていないのに、年齢とともに呼称だけが深刻になる。
小学生の頃までは、まだマシだったように思う。中学生になってから、人と話すことが苦手になった。友人は一人もできなかった。高校でも同じだ。休み時間になると机に突っ伏し、寝たふりをして、他者を断絶しながら時間が過ぎるのをただやり過ごしていた。
眠っている人間には、誰も話しかけない。話しかけられても、眠っているので答えなくてよい。大変に便利である。ただし、本当に眠っていたわけではない。周囲の会話を聞きながら、早く休み時間が終わればよいと思っていた。
のちに僕は役者になるが、考えてみればあの頃からすでに演技をしていた。自分が最初に

二人芝居『Equal-イコール-』改訂版 上演台本

作:末満健一



■第一幕「月曜日」

──錬金術は、かつて実在した学問である。
──決してつくり事ではない、現実と地続きの学問である。
──鉛を黄金に、肉塊を命に変えようとした。
──現代化学の礎となった学問。
──だが、その錬金術は歴史の表舞台から姿を消す。
──錬金術は失われた学問である。

時代は判然としないが、季節は秋口。
屋根裏のような手狭な部屋。
その部屋には色彩がなく、
まるで部屋全体が灰色の硝子越しに見たような光景である。
部屋の片隅には質素なベッドが置かれている。
ベッド脇には木造りのテーブルがあり、
その上に水差しが置かれている。
窓際に置かれた机でニコラ・フラメルが書き物をしている。
ニコラは時折、書き物の手を止め、渇いた咳をする。
街の時計塔の鐘の音が微かに聞こえる。
部屋の扉が開き、テオ・ホーエンハイムが入

執筆集

近況報告コラムや、これまで書き溜めてきた舞台・映像作品の脚本などの読み物を掲載していきます。

著者イメージ

末満健一ブロマガ

脚本家・演出家・構成家・俳優・グラフィックデザイナー。1976年6月18日生。大阪府出身。2002年演劇ユニット「ピースピット」を立ち上げ、大阪・東京にてボーダーレスに活動 を行う。2012年4月からワタナベエンターテインメント関西事業部にて立ち上げられた劇団「劇団Patch」の総合演出を務めた。終末観や退廃美が特徴的な脚本・演出に独自の魅力が光る。特技はグラフィックデザイン。近年の代表作には、『COCOON 月の陰り星ひとつ』『マリーゴールド』『グランギニョル』『K』『刀剣乱舞』などがある。

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