コラム『結論未満』第8回「眠らない物語は休日の夢を見るか」
結論未満
第8回「眠らない物語は休日の夢を見るか」
僕は、休み方がわからない。
仕事の仕方なら、多少は分かる。脚本を書く。稽古をする。打ち合わせをする。締切に追われる。間に合わない気配を察知したら、さらに追い込む。長年やってきたので、手順は身体に染みついている。
しかし、休むとなると途端に分からなくなる。
そもそも、僕には本格的な休みというものがほとんどない。基本的に締切は途絶えず、ひとつを終えれば次が待っている。仕事は駅伝の襷のように渡されるが、走者はずっと僕一人である。沿道からは「少し休んだほうがいい」と声が飛んでくる。ありがたい。だが、襷は誰も受け取ってくれない。
もちろん、休憩したいと思うことはある。
そんな時、僕は今やっている仕事をいったん止める。そして、別の仕事を始める。
本人としては、これで休んだつもりである。
脚本を書いて疲れたので、別の脚本のプロットを考える。演出の資料を読
コラム『結論未満』第7回「題名が決まらない」
結論未満
第7回「題名が決まらない」
今回のコラムの題名は、「題名が決まらない」である。
すでに決まっている。
題名が決まらないことについて書く原稿の題名だけは、書き始める前から決まっていた。ややこしいが、脚本の題名というものは、だいたいいつもこのように、こちらの都合とは関係なく決まったり、決まらなかったりする。
題名が最初に決まることもある。プロットをつくっている途中で決まることもある。脚本を最後まで書き上げてから、ようやく決まることもある。僕には、これといったお決まりの作法がない。
題名がないまま書き始めることに、特別な不安や不都合はない。ただ、題名が先に決まっていると、目的地のはっきりした旅行のような道程になる。
どこへ向かっているのか分かっている。途中で道に迷っても、戻るべき方角がある。反対に題名が決まっていない脚本は、旅行というより散歩に近い。見知らぬ道へ入り込み、気になるもの
コラム『結論未満』第6回「死者のカーテンコール」
結論未満
第6回「死者のカーテンコール」
正確な人数は分からない。数えたことがないし、いまから数えようとも思わない。分からないくらい死なせてきた、というのが一番正確な答えである。現実であれば、とっくに世間を震撼させている。
一番最初に書いた『スエサンヤマサンのおもちゃ会議』では、メルヘンチックな短編集だった。誰も死んでいない。次に書いた、ピースピット旗揚げ公演の『タイガー』も、夢野久作の『ドグラ・マグラ』に影響を受けた胎児の見る夢の話だったので、誰も死んでいない。
こうして振り返ると、脚本家としての出発は意外に平和である。
その次の『有毒少年』では、登場人物のほとんどが最初から死んでいるという設定だった。誰も殺していない作品の次に、ほぼ全員が死者という作品を書いている。急旋回にもほどがある。
ただし、『有毒少年』には生きている人物が二人いた。主人公である有毒少年と無毒少女だ。そのうち、有毒少
末満健一ブロマガ
脚本家・演出家・構成家・俳優・グラフィックデザイナー。1976年6月18日生。大阪府出身。2002年演劇ユニット「ピースピット」を立ち上げ、大阪・東京にてボーダーレスに活動 を行う。2012年4月からワタナベエンターテインメント関西事業部にて立ち上げられた劇団「劇団Patch」の総合演出を務めた。終末観や退廃美が特徴的な脚本・演出に独自の魅力が光る。特技はグラフィックデザイン。近年の代表作には、『COCOON 月の陰り星ひとつ』『マリーゴールド』『グランギニョル』『K』『刀剣乱舞』などがある。
http://www.watanabepro.co.jp/mypage/60000017/月別アーカイブ
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