第260号 2018.2.27発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…フジサンケイグループは昭和60年(1985)から毎年「正論大賞」という言論人表彰をやっている。言うまでもなく産経論壇村お手盛りの賞で、ここ数年は毎年、安倍首相が贈呈式にビデオメッセージで登場、受賞者を賛美、祝福している。今年の贈呈式には約500人が出席したが、ここに「社交」があり「つきあい」があるから人が集まってくるのだ。「社交」によって言論が「なあなあ」になる危険性にまったく無自覚な人間に、言論人の資格はない!!
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…日本人は、個人と個人を強固につなぐ人間関係の環に縛られている。そして、その狭くて小さい環のなかで安住しようとする性質がある。この狭くて小さい環が、「世間」だ。世間に安住するためには、「掟」を守らなければならない。しかも、「世間の掟」は、排他的で差別的で、普遍性のない場合が多い。あらゆる場面で襲い掛かってくる「世間」と、あなたはどう戦いますか?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!政府から圧力を受けたことはある?人外生物との恋愛はあり?平昌オリンピックに注目していた?先生の持続するパワーの根源は何?“くさくないパパ”にするにはどうすればよいの?コロコロコミックの「チンギス・ハンに落書き問題」をどう思う?政治家や企業などからワイロを渡された経験は?漫画家・石ノ森章太郎の凄さとは?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第266回「社交の罠、言論は武器である」
2. しゃべらせてクリ!・第218回「答えてクリ! 貧ぼっちゃまに質問攻めぶぁい!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第70回「世間との戦い」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第266回「社交の罠、言論は武器である」 フジサンケイグループは昭和60年(1985)から毎年「正論大賞」という言論人表彰をやっている。
第1回の受賞者は渡部昇一、他に主な受賞者は、曽野綾子、岡崎久彦、田久保忠衛、石原慎太郎、小堀桂一郎、中西輝政、森本敏、櫻井よしこ……
もう言うまでもなく、産経論壇村お手盛りの賞で、日本国には害にしかならない「害毒大賞」みたいなものだ。
そしてこれには「新人賞」に相当する「正論新風賞」というのが設けられているのだが、今年選ばれたのが、なんと、小川榮太郎と三浦瑠麗だ。
よりによって、安倍首相の提灯持ちライターで、フェイク本で商売している小川榮太郎と、デマ発言を公言して居直る三浦瑠麗の二人を選んで、顕彰しているのだから、呆れ果てる。
贈呈式では安倍首相がビデオメッセージで受賞者を賛美、祝福した。
そもそも言論の賞に権力者が祝辞を寄せることを異常だとも思わず、むしろ喜んでいるという感覚が完全に狂っている。
権力は暴力装置を一手に握って、税務署もマスコミも掌握して、言論を牛耳ることができる恐るべき存在である。国民の側からすればその恐るべき権力と戦うには「言論」という武器しかないのだ。言論人とはそういう役割を引き受けねばならない。
なのに、権力のお墨付きを得た、権力御用達の「正論」など、何になろうか?そもそも、そんな「正論」などあるはずもなく、言論人はあくまでも「公」のために「正論」を吐かなければならない。
フェイク言論に賞が授与され、祝福に駆けつける東浩紀や津田大介という連中は何がしたいんだ、一体? 社交のみか?付き合いのみか?
安倍は「正論新風賞」を受賞した三浦瑠麗をこう賛美した。
「既存メディアの論調などに決して流されることなく、持ち前の冷静な分析力とわかりやすい語り口で、評論活動を通じておられる三浦さんには、正論新風賞として初の女性受賞者としても今後、さらなるご活躍を大いに期待しております」
笑わせるなという評価だ。三浦は「既存メディアの論調」に流されないどころか、ウィキペディアから引用禁止を通告された「デイリー・メール」や、ネットのデマに流されまくっているのだから話にならない。
贈呈式が行われたのは三浦が「スリーパー・セル」発言をした「ワイドナショー」の放映翌日で、まさに炎上の真っ最中だったのだが、三浦は首相のお墨付きに気を良くしたのか、完全に開き直って「(北朝鮮危機の)Xデーについても、専門家はそれに伴うリスクやコストもしっかり情報発信していくべきだ」と発言して、「今後もタブーなく発言していく決意を示した」という。
デマを飛ばしてはならないというのは「タブー」ではない。「ルール」だ。
ホテルニューオータニで開催された贈呈式には、約500人が出席した。ここに「社交」があり、「つきあい」があるから人が集まってくるわけだ。
彼らは「社交」によって言論が「なあなあ」になる危険性にまったく無自覚なんだろう。
言論をやっている以上は、誰が相手だろうと、男女を問わず厳しく批判しなければならないことがある。
ましてや、人に害を及ぼすような発言をしていれば、特に厳しく接しなければならなくなる。
ところがその相手と会って仲良くしていたら、なんだ、実は全部なあなあで、本気で批判していないんじゃないかというように、外からは見えてしまう。
そんな馴れ合いの関係を、果たして「社交」というのだろうかという疑問が湧く。
コメント
コメントを書くチンギスハンの件ですが、かなりやばいです。
モンゴルに理解のある人間がなんとどうやら朝鮮人の陰謀説を唱え始めているようです。
これを在モンゴル人がリツイートしたりするものだから、モンゴル人達が如何に、リテラシーの低い民族だということが内外に知れ渡ってしまいました。
抗議することは別に構わなかったのですが、朝鮮人の陰謀工作論まで出てきちゃったからには、この件が最早ネトウヨ案件だというのが分かってしまいました。
結局コロコロは3月号を回収することにしたそうです。
朝青龍は抗議のツイートを削除してしまったようですが。
なんかコメント数がやけに伸びてるので何かと思ったら、また例の方々が暴れてた訳ですな(汗
しかしこういう輩ってこれから多くなりますよね。関東~九州ぐらいだともうちょっとで花見シーズンですけど焼肉禁止の公園でバーベキュー始めて他の客や公園の管理者とケンカしたりとか、居酒屋で他の客からクレーム来るほどバカ騒ぎして注意されると逆ギレして店員や他の客をどついたりとか。
そういう人間はそもそも社交性がない上に「お客様は王様。よってオレ様は王様だ。だからオレの言うことを聞け」が信条ですからね。もう思想がどうの批評がどうの以前の「人間としてどうよ?」な問題です。
草木も眠る丑三つ刻にまたやって来るんだろうなあ〜…
まあそれはどーでも良くて、先生のブログを拝読しましたが、私も護憲サヨクのはしくれなので、あんまり批判出来る人間では無いのですが、
現憲法を聖書化する所まではいかないので、一字一句変えない!ってのに固執するのはある意味スゲーなーとは思います、
だって70年前とは国内の状況すら違う訳で、現実的では無い文言が沢山あるのを、「変えてはダメよ!神聖なのよ!9条は!」なんて気持ち悪いとしか思えません。
現代に即して居ないと政府官僚も世論も感じているので有れば、議論の方向に持って行くのは当たり前でしょうね、結果的に変わらないとしても。
中々条文の一つ一つを切り取るだけで、関連法案までは私なんかは行きませんが、考えるきっかけにする事は必要不可欠でしょうね、
そう言う意味でも安倍晋三(日本会議)加憲案は、スキマを狙った飛車角取りにはなるのかも知れませんね、発議出来るかは分かりませんが。
>>472
「よしりん汁説法」ですか。中には割りとシモの話題がありますし、そんな間違いでも無いと思います。
2週間前に東浩紀さんがニコニコ生放送で正論大賞について皮肉っぽく語っている書き起こしがネットで貼られてたんですが、本当かなあと思って確認してみたら本当でしたので(笑)、元の書き起こしに少し加筆して2つに分けて貼っておきます。あたりまえですが聞き手もどん引きで苦笑いでした。笑
こういう話を聞くと、やはり自称保守界隈はカルト的だなと思います。
その1
久田将義×吉田豪のタブーなワイドショー 2018/02/25(日) 20:00
【ゲスト:東浩紀】より
東浩紀
「こないだ正論大賞のパーティ行きましたよ。ヤバいっすよ。正論大賞マジヤバいっすよ。人類は一回行くべきですよ。あれはヤバイ。まず多分俺絶対呼ばれないから言うと、フジサンケイグループが威信をかけてやってるわけです。まずこの賞の凄いところは選考委員がいないことなんですよ。(吉田、久田「えっ」)おそらく今フジサンケイグループにとって今推したい奴みたいな感じなんですよ。
最初にフジのアナウンサーが「フジサンケイグループ正論大賞パーティが始まります」と挨拶する。 そこでいきなり「平昌五輪で日本はますます活躍、しかし他方韓国はそれを政治利用し・・」と始まるわけですよ。(吉田、久田「ええーっ!」)いきなりここで!みたいな。「中韓の政治的圧力がますます強くなる中、日本の論壇はこれからも決して恐れず正しい論を作っていく」みたいな。「さて発表です」みたいな感じ。最初から飛ばしていくみたいな、飛ばすんですよ(笑)。とにかく最初からハッキリとしたイデオロギー性、方向性なんです。
しかもすごいのは、男性は着物の奥様と一緒に入場してくるんですよ。入場の時だけかなと思ったら壇上にも行き、夫が演説してる間、 奥様は一歩下がって横で身動ぎもせず立ってるわけ。三浦(瑠麗)さんと同時受賞したある文芸評論家(小川栄太郎) がいるんですが、その方の演説がこれまた凄くてですね。この人は安倍晋三は吉田松陰に並ぶ思想家なんだみたいな本を書いて結構売れている人らしいんですが。最近だとモリカケ問題で朝日に訴えられてる人なんですよ。 」
>>480の続き
その2
久田将義×吉田豪のタブーなワイドショー 2018/02/25(日)
【ゲスト:東浩紀】より
東浩紀
「で、その人がいろいろ演説するわけ。「日本は少子化で苦しんでる、このままだと日本は滅びる」まあここまではそうだと。「だからねぇ増えるしかないんだ。女が子供産むしかないんだ。こういう事を言うと女性の人権とかいう人がいます。 人権?もちろん大切です。しかし!」とか言って始まるわけですよ。それを横で着物を着た女性がずっと黙って聞いてるわけですよ。もう凄い!凄いよ!痺れましたよ僕は。こんな自由な言論空間はない。自由すぎる。もうめっちゃ痺れました。
あとすごいのは、安倍首相からのビデオメッセージが凄く長くて、受賞者一人一人に「何々さんは何々の業績があり、これからもしっかりと日本を支え」 みたいなメッセージが来るわけ。だからもう、言論と権力が凄い結びついてる。受賞者の挨拶を見るとみんな仮想敵が朝日新聞なんですよ。これも面白くて。首相からメッセージ貰ってるんですよ。それなのに自分たちは言論弾圧されてるって思ってるわけ。「朝日新聞という大きなメディアもありますが」ハハハとか笑いとかあって「そのような言論弾圧に負けず、私たちもこれからも正しいことを言っていきたい」オオッ!(拍手)みたいな。おおーすごーみたいな。凄い良かった(笑)
俺はすごい面白くて最前列でバシバシ写真撮ってたり喜んでたんだけど、津田(大介)さんは真っ青な顔してさ「これ許せないでしょ」。ええ、マジレス?みたいな(笑)。そうじゃないでしょこの楽しみ方みたいな。すっごい顔が白くなってて。ここでちょっとご飯やめようよって。さすが左翼。俺は普通に楽しんでましたよ白ワイン飲んで、バシバシ写真撮って。」
久田「首相がすごいですね。首相が、いちパーティーに、普通ないでしょ。」
東「ない。首相のメッセージは一番最初に「フジサンケイグループの日々の活動に敬意を表します」と。敬意を表するんですよ。」
久田「いろんな賞がありますよね。芥川賞も直木賞も三島賞も、ないですよね、そんなもんね。」
東「ない。まあ、そりゃ権力とはズブズブですね。 」
吉田「そりゃフジテレビの番組で三浦さんがこうやって押されるのもまあ、っていう」
東「そうそうそう、そうです」
【ゲスト:東浩紀】久田将義×吉田豪のタブーなワイドショー
http://live.nicovideo.jp/watch/lv310590190
あわわわ木蘭先生
もったいない
なんかありがとうございます感激です
皆様もツッコミありがとうございます
なんかうまく言えないけど
アホで良かった。
遅くなりましたが、「撤退の撤回」ホッとしました。師範の先生方、偉そうなことコメントしてすみませんでした。それでも、立憲的改憲論と女性宮家がまともに論じられているのが、ここしかないことにやや不安が残ります。
「辻説法」拝読しました。袋とじから見ました(笑)。モテる男がうらやましいです(笑)。小中高とバイキンマン扱いで、未だにそのトラウマを引きずっている私から見れば…(以下、自粛)。
高森師範、倉持師範
ブログありがとうございます。いつも勉強になります。
これからも宜しくお願い致します。
突然ですが、前川喜平氏の憲法についてのお話しもゴー宣道場または、
どなたかの動画のゲストとして聞いてみたいと思いました。
吉田豪さんのインタビュー面白かったです。
ちと考察を。
最初から小林よしのりが嫌いなアンチは実はたいしたことはないんですが、昔は熱烈な信者がアンチ化すると狂気を覚えますね。熱心に読者カードを送り、小林先生がいねえと死んでしまうだーにハマるとね。
しかも笑えるのが、アンチ化しても自分は小林よしのりみたいな存在になりてえと脳内妄想はする。ネットでの語り口もよしりんのパクリ(笑)
誰かは言いませんが、某ポエマーみたいはなってはダメですよ。先生に愛想を尽きたら本を全部捨てて一切読まず、考えないことです。
まあ今日来た東北のナンチャラも似たようなもんですが(笑)