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  • <菊地成孔の日記 2024年11月11日記す>

    2024-11-11 14:0016
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     缶詰になってるホテルは居心地良いが、古いので隙間風が吹き、流石にデロンギのオイルヒーターを入れた。本当に「還暦」とは言ったもんで、気がつけばあらゆる事が還っている。QN/Kの「told me」の歌詞に書いたが(最初この曲は語順が逆で「#me told」の予定で、いわゆる#mee tooとライミングして、、、、、とか思っていたが、なんとなくやめた)、別れた人たちが皆、生まれ変わって会いにくる。さっき天ぷらを食った。ヤリイカが美味かったが、これは、あの時僕が実家で見た、喧嘩の勢いて空中を飛んで地面に落ちたヤリイカの天ぷらの生まれ変わりだ。

     

     こうしてあらゆるあれやこれや、人だけではない、気がつけば何をやっても、一挙手一投足がダブルイメージで、世界が生まれ変わって僕に会いに来ている。缶詰になる事自体、「歌舞伎町のミッドナイトフットボール」以来だし、というか、僕は易学一般をほとんど信じないが、根本から信じていないわけではない、経絡理論は間違いなく正当性があるし。

     

     なので、60歳を過ぎると、世界の側が、僕の人生を漠然とトレーシングしているように感じている。これはなかったなあ59歳までは。すごい感覚である。

     

     漠然とトレーシング、のニュアンスは伝わりづらいと思う。似て非なるもの、とは違うし、「ここは昔の反復(=過去)、ここは全く新しい何か(=未来)」とかいった、ありきたりな二分法とも違う。去年、昔の病気が再発した辺りから、気がつくと秒単位で還っているのがわかるようになって、発狂したのかと思った。

     
  • <菊地成孔の日記 2024年11月1日記す>

    2024-11-02 10:006
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      いよいよコロンボ本の全ての準備を終え、執筆に着手した所だ。11月は人っ子一人会う暇がなくなると思う。山籠りと同じである。今、自分でもびっくりしたが、急に思い出した。「じどっこ地鶏」という宮崎産の地鶏料理の店かなんかがあったが、なんか不自然だけど良いリズムの名前だなあ、と、20年ぐらい思っていたら「人っこひとり」だった!!
     

     歯応えのある、炭火焼きの鶏肉料理について驚いている暇はない。なんと、示し合わせたかのようにNHKBSでコロンボ一挙放送を行うのである

     

     まあ、今までもNHKBSのキラーコンテンツとして、ずーっと何度もやってるのだが、今回は引きの強さが出てしまったとしか言いようがない。僕がしくじりさえしなければ「刑事コロンボ研究(仮)」は3~4月には出るはずだ。コロンボは69作あるので、ウイークリーの放送だと1年以上は悠にかかる。
     

     これは太字にして江戸時代の禁令や死刑囚の似顔絵みたいに町の角々に木製のペネルを立てて大書きしたいのだが
     

     必ず全話録画しておくように!!

     

     この本が僕の他書と違うのは「対象作品を見ようと思えば簡単に全部見れる」という点なのである。

     
  • <菊地成孔の日記2024年10月28日記す>

    2024-10-28 11:0020
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     3年越しで「天使乃恥部」を完成させ、久しぶりでいつもの街中華に行ったら、なーんと、客が僕しかいなかった。この店は外から中が見えるタイプで、昨日まではいつものように客でパンパンだったのであった。

     

     「えー。どうしたのかな」僕はそんなに不安が強い方ではない(精神分析を受けてからは特に)たいていのことはどうにかなるだろと思う方だが、いつでも客でいっぱいの店がさ、行ったのは夜の9時とかよ。まるで人類が滅亡したかのようだ。日曜の夜とはいえ。だ。

     

     まあまあ、そのうち客も入ってくるだろう。それで結局、だらだら11時まで居た。エビスの中瓶1本、茄子の唐揚げ、エビ蒸し餃子、豆苗炒めと、クォーターポーションの北京ダック、サンラータンの刀削麺。いよいよ明日から、「コロンボ研究」の前書きから執筆に入る。膨大な資料とメモをまとめていると、「M/D」よりも厚いかも?と思えてくる。

     

     とうとう僕が会計を済ますまで、客は1人も入ってこなかった。えー、なにこれ気持ちわるー。またコロナでも流行ったのかしら。

     

     雨がそぼ降っていて、僕は、ラディカルな意志のスタイルズのパーカーを着ていて、フードを被り、歩いて帰ることにした。