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記事 5件
  • <菊地成孔の日記 2023年3月28日 午前2時記す>

    2023-03-28 10:00  
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     なんだか色々としているうちに3月も終わった。色々しているので普段と変わらない感じなのだが、「サックスを吹いていない」というのが欠損、ともまた違った、「もともと吹いてなかったのではないか?」という感じで、記憶が喪失しながら捏造されているような気分だ。これは悪いものでもない。こうしてだんだんと訳が分からなくなってゆくんだな笑、と思う。
     
     ただ、去年一回作り直した体幹からのバランスがまた崩れてしまい、今年は再度体幹から作り直さないと、もう見栄えがどうこうではなく、滑舌から歩行から演奏まで、全てに歪みが出てしまい、いかに噛み合わせが重要か痛感させられる。
     
     以下、医学的根拠は皆無なので、きちんと説明できる方がいらっしゃったら(「この中に、お医者さんはいらっしゃいませんか!」byスチュワーデス)して頂きたいのだけれども、歯並びのすぐ上、頬骨の始まりみたいなベルトがある。整体の片山先生は、僕が歯の再手術をしたと報告する前に後ろから頬骨を軽く触り、「今までで一番硬いですね。菊地さんはコレがユルユルだったんですよ。スピード出ないでしょうこれじゃあ」と言ったので、今更ながらびっくりした。
     
     僕は正直、ペン大の授業をしながら、自分の身体バランスや、そこから生じる速度のカウントをしているのだが(授業中はほとんどピアノを弾いているので→ピアノは自分の姿勢と体幹のチェックに最も適した楽器だ)、パワーは変わらないのだけれども、速度が落ちているのが歴然なので、どうしたもんかなあ。と思っていたところなのだ。
     

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  • ペンギン音楽大学オープンスクール 23年度一般受講者募集

    2023-03-28 07:36  
     「菊地成孔と学ぶ手仕事のポリリズム」
     
    ~両手と簡単な数学で、魔術を再魔術化する21世紀型グルーヴマスターに向けて~ 
     「リズムのかっこよさなんて、学校で学ぶもんじゃねえよな。センスっていうか、演奏の中で掴むもんでしょ」という人物と、「結局、リズムの揺らぎってかなり数学的だよねDAWやってみて実感したよ」という人物がいたとして、一緒に酒でも飲んでいるとしましょう。この2人は一見、喧嘩しそうだ。グルーヴ論の途中で。 
     でも、彼らは喧嘩はしません。理由は、<そもそも現代人に、面と向かって喧嘩する能力が去勢されている(=キレたら一気に殺したり閉じたりしてしまうような身体性になった)から>ではなく、両者の意見は、大きく離れているように見えて、実は同じだからです。 
     現代というのは、肉体に感受性の全てが託されているとも、またテクノロジーにこそ全ての未来が託されているとも思えない、その両極に

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  • ペンギン音楽大学オープンスクール 23年度一般受講者募集

    2023-03-25 05:27  
    「菊地成孔と学ぶ趣味のモダン・ジャズ」
     
     〜演奏する上での「ジャズの壁」を、ちょっとでも乗り越えたい方々へのワークショップ
     
     あ〜なんか、ジャズやりたいなあ、という、潜在的なジャズメン(ウイメンも含み)の皆さん。あなたの音楽の先生、菊地成孔でございます。

     
     ご存知でしたか?今、我が国には、「ジャズの壁」は2種類あるんですよね。 
     
     <壁1> 
     「楽器の演奏も、楽譜(主にコードネーム)もそこそこ読めるし、アドリブだってやれるはやれるんだけど、どうしても<ジャズ>っぽくならないなあ。なんか中途半端で」
     
     ↑  「わっかる〜。それな〜」という感じだと思うんですけど笑、 コレは、ちゃんとした教科書と指導によって、学習と練習を実行できれば乗り越えられる壁で、先生と教科書の質が良く、楽しく意欲を持って練習が続けられさえすれば乗り越えられる、「低い壁」です。単純な話、「菊地成孔と

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  • <菊地成孔の日記 2023年3月14日 午後7時記す>

    2023-03-15 10:00  
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    「試写会 / 名画座 / シネコン」
      
     コロナ以来、映画の試写は全部オンラインになったし、ずーーっと部屋でDVD / Blu-rayを観ていたので、コロナ後初めて都内の試写会場(ギャガ)で3次元試写を観た(これは全体的な水準ではなく、あくまで菊地基準。試写会場での試写は去年ぐらいからとっくに戻っている)。
     
     もうオスカーも終わっちゃったんで、ネタバレこそしないまでもギリギリまで書くが、試写で見たのは「TAR(ター)」だった。
     
     この作品は、まあ主要部門は兎も角、作曲賞と音響賞を取れなかったのは痛恨であろう。作曲賞はドイツ映画「西部戦線異常なし」で、音響賞は「トップガン・マーヴェリック」である笑(あれは絶対、「ドッガーン」とか「ドブワーーーーー!!!!」とか「ギュイーーーン!!」とかの、いわゆる爆発空気抵抗的SE系ではなく、冒頭、命知らずのトムクルーズが、最新鋭機に乗ってマッハ

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  • <菊地成孔の日記 2023年3月6日 午前2時記す>

    2023-03-06 10:00  
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    「ウエイン・ショーター」
     そんなモンの統計なんかきっと誰もとっていないだろうけれども、旧正月明けて今年が始まる直前から始まった「有名人の訃報」は、まるで淘汰かレミングのようで、異常値を示していると思う。トゥルゴイと笑瓶ちゃん(通信簿ガチのオール1)を見送ったと思ったら(「新音楽制作工房」の代表としてTwitterをしているのですが、彼ら2人への手向けの写真を掲げた。我ながらなかなか良いと思うのでチェックしてみてください。芸人がフリースタイラーとしてマイクを握るブームがまだ続いているかどうかは知らないが、あの写真が天国のデ・ラ・ソウルだ)、いつも歌っている「G.o.a.P」の作曲者である、元ムーンライダースの岡田徹さんが亡くなったかと思うと(岡田さんと僕は、一時期同じ事務所にいて、そのつてでライダースのアルバムにサックスで参加していたりするのであるが)、「あ、、」という感じでウエイン・ショーターが亡くなった。
     
     とはいえまあ、ウエインは既に死んでいたか、あるいはまだ死んでいないと思う。「現世でも200は行くな」と踏んでいたけれども、そんな事したら人々が驚く。仏法はそれほど詳しく知らないが、長生きによって人を驚かすのは(早や死にによって驚かすよりも、遥かに修行が必要で、徳の高い事であろうとも)善行とは言えまい。なんの信心もない人々の平均値では「十分天寿を全うした」と言わせしめる89歳である。
     
     僕のテナーサックスのケースには(大好きな)シールも(そんなに好きではない)有名人のサインも一つも貼っていないが、ウエインのサインだけが記されている。それは2005年に彼が来日した時に、僕と村井さんでインタビューに行った時のものだ。最近、この日記に、やっぱり写真を添えようと思い始めているのだが、デジタルカメラを買わないといけないので、買ったら自慢げに披露するが、そこには「2005 good future!  Wayne Shorter」とある。僕は42歳で、精神分析治療の最初の段階を終え、1stソロアルバム「デギュスタシオン・ア・ジャズ」のあと、2ndソロアルバム「南米のエリザベステーラー」をリリースしたばかりだったが、仏の力は凄まじく、あれ以来、僕の未来はグッドなままだ。ありがとうウエイン。僕は数ヶ月後に還暦になるに際し、古いサックスを全部オークションにかけることにしたけれども(ガチで。楽譜や服なども放出し、売り上げは全てペペトルメントアスカラール財団に寄付します笑)、あのケースだけは一生大事にするよ。 

     

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