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  • <ビュロ菊だより>No.132「<本書は、私の二冊目の映画批評書である。私は幸福な観客ではない+>」

    2017-08-13 10:00
    216pt

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     口唇が遅れてすみません。間違えた。更新が遅れてすみません。と、先日のトークイベントでの廣瀬純氏のパンチラインを流用してみたが、流用部は「口唇/更新」の部分ではなく「遅れてすみません」の部分だ。廣瀬氏は「遅れてしまった事に間に合う喜び」はダメだと言っている。曰く、交通事故で死んでしまった恋人の遺体を見て泣く、曰く、東日本大震災の現場に炊き出しに行く、曰く「自分さえこうしていれば、こうはならなかったのに」という悔恨、こうした物は総て「嬉しい」のである。そんなもんに淫してしまったら反省しろ、そして「間に合わなかった事に間に合わない」事、例えば、ドキュメンタリー映画用の器材を総て揃えて、2011年3月に、福島に行かずに、群馬でドキュメントを撮っていた青山真治を称揚する。という論法である。青山真治や黒沢清を称揚する廣瀬氏の「日本映画に関する感覚」には違和感を憶えるが、それ以外の総ては親和感しかない。「最終的にクソが出て来る映画」と「クソだらけの世界から始まる映画」の二種類がある、というのは至言である。まあ、こういった話は今回の最後に出て来る。
     

     更新が遅れているのは申し訳ない限りで、単に夏バテとか、詰まらない理由もあるのだろうが、既に世界を覆い尽くさんとしているインスタグラマラスな価値観の定着に辟易しているので(とかいって、「TABOO レーベル」のインスタグラム始めますけどね。アルバム売る為に)、気の利いた写真を上げて、文章を添える。それに何の意味があるのだろうか?といった、間違った感慨を抱いている。どう間違っているかというと、ここは課金性で、主に私のファンの皆さんから料金を頂いているのだから、「写真と解説」の意義は固定されて揺るぎない。揺るぎないのは良くわかっているのだが、それでも嫌になるほど、つまり理性的な理解をブッチ切るほど、世界はインスタジェニックとかインスタグラマーだとかいって、まあ、自分も似た様な事を10年以上もやっていた訳なので気持ちは解る、なのでアホかとは決して言わないが、「猫も杓子も」という言葉があり、これは神主から小坊主まで、女から子供まで、寝ているガキも起きているガキも、といった意味だ。この例えの中だけでさえ「寝ているガキ」以外、全員がインスタグラムをやっている。神主のインスタグラムは見たくなくもないが、音楽家であるだけで自分を表現しているのに、更に表現や発信をする必要があるのか?という問いは、自分の中でも正解は出ていない。「試しに、この連載を文章だけにしてみたらどうだろう?」と思う時もあるのだが、ほぼほぼ80:20ぐらいで、「だったら写真だけの方が遥かに良い」と言われるだろう。

     
  • <ビュロ菊だより>No.131「<最近、映画館のバックヤードにばかりいる>+」

    2017-07-18 10:00
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    <「素敵なダイナマイトスキャンダル」整音>

     マイメン冨永監督が5年越しの夢である、末井昭氏の一代記「素敵なダイナマイトスキャンダル」を完成した。私は音楽を担当し(小田朋美氏と共同)、ちょっとだけカメオ出演もしている。最近、当欄での口を慎めと言われているので慎むが、どう少なく見積もっても、音楽は最高である。私が手がけた実写の劇伴の中でも間違いなく最高峰に入る。

     写真は暗くて見づらいだろうが、整音(映画には夥しい数のサウンドトラック=音楽だけでなく、台詞、状況音、効果音、等々が入っているので、それをミックスダウンする事)用のスタジオである。普通の大きめな映画館の後ろに、音楽スタジオのブースがくっついている様な所で、初めて行ったし(基本的に、音楽家は整音には手が出せないのだが、これは古い慣習で、出そうと思えば出せる。私はガンダムから整音に携わる様になったが、映画館ではやらず、アニメ屋さんの、小さな整音ブースでやる)、第一にとても面白い仕事だし、第二に、フランソワ・ミュジーが何をしていたかーーー特に、プロトゥールス前夜のソニマージュ工房でーーーといった事がリアリティを持って迫って来る。

     
  • <ビュロ菊だより>No.130「<アルバムとライブの連発の後は映画音楽>+」

    2017-07-01 10:00
    216pt

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    <「ブルージャイアント」って何だ?2>

     生徒の皆さんに楽器を選んで頂くと、各機種に数本ずつ実物が出て来る。サキソフォンも今では工業生産品で、出荷される際にきちんと検品されているとはいえやはり楽器だ。実際に吹いてみると、かなりの差がある(優劣ではない。質差、というより、鳴りの傾向の問題)。なので、実際に購入する直前のインフォームドコンセントとしてワタシが実器を吹奏し、感想を述べ、ファイナルチョイスをして頂く事にしている。1日がかりになるが、仕事の中でも最も楽しいものの五指に入る。ただ、楽しい事というのは往々にしてそれなりのリスクがある。この仕事をやると、一番良く鳴って、自分の好みの傾向の良品があると、欲しくなってしまうという事だ。売春宿だと思えば良い、舎弟を連れて乗り込み、女将に数名ずつ(以下自粛)。仕方が無いので「これが一番良いですねえ(プップー)。いやあ、凄くスムースで正確だなあ(ブブブブブー)。うん、これが一番良いです。ので、ワタシ買います(笑)」というオヤジギャグを一日中繰り返すことになる。


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