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  • <ビュロ菊だより>No.122「結局、大晦日にアップできず(土下座)。正月は香港で過ごして来た+」

    2017-01-09 10:00
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    *前号までのあらすじ*

     

    いろいろあった2016年も大詰めとなり、年末の挨拶ぐらいはブログでしようと思っていた菊地であったが、急遽ジャズドミュニスターズの、しかもft勢揃いのライブがカウントダウン直後に行われる事となり、なし崩しに(笑)それどころではなくなったまま、正月は香港で過ごす事が決まっていた。どうする菊地成孔。 



     「月末も結局スタジオにいて、ラップやらサックスやらを練習している。とても幸せな事ではないか」

     

     クリスマスが「機動戦士ガンダム/サンダーボルト2」のOSTレコーディングと決まったので、物凄く気が楽になった。私は基本的に、クリスマスやハロウィンを大切に思う女性達を、バカとまでは言わないが、バブルの生き残り、もしくは恋の直中にでも居ない限り(バブルの生き残りがクリスマスやらバレンタインやらを有り難がるのは仕方が無い。彼女達は一生、有り難がり続けるだろう)、かなりの空虚を感じる。勿論、空虚が悪い訳ではない。空虚さを抱えた女性の精神生活、生涯イメージというのは一定ではないだろうが、私にとってはエキゾチックなほどだ。

     

     斜に構える訳でも、バブルの生き残りの常として「オレは普通の人とは違うんだよ(だから偉いんだへへん)」と反射的に考えたがっている訳ではなく、単なる事実として私は、離婚してしまった前の妻の誕生日と彼女との結婚記念日が12月25日だったので、そして、亡くなった父親が危篤状態になったのが12月25日だったので、自分にとって特別な日になってしまったのであって、前妻も父との死別も空想すらしていなかった幼少期には、クリスマスは、ちょっとしたオモチャが買ってもらえる以外は、実家の仕事が忙しい日、でしかなかった。

     

     そして、その頃のクリスマスは、幼少期であったとか、昭和であったとかいった特別なオプションを差し引いても、気軽で楽しい日だった。サラリーマンの、紙と輪ゴムと、金色のモールで出来た三角帽子の着用率は現在の比ではなく、誰もが楽しそうだった。任侠の道を歩む人々も、下っ端は三角帽子を被った。遠洋漁業の人々も、下っ端は三角帽子を被った。あの帽子が、工業製品なのか、内職の手仕事によるものだったかは解らない。いずれにしても、そこそこ儲かった筈だ。誰もがヘラヘラし、どこかで誰かが小銭を稼いでいる、と想像する事は、今現在に翻訳しても、楽しい。

     

     あれから、大学生なら誰もが彼女と一泊でデートをする(つまり、セックスをする)クリスマスデートが平均的である、クリスタルな時代がやって来たが、大学生でもないし、稼ぎも無い私は、前妻と結婚するまでは、適当に安めのクリスマスデートを様々なガールフレンドとして、楽しげに話し、それからセックスをして、丁度良い空虚を味わい、しかし、空虚であり、チープであるのが我が国のクリスマスで、じゃによって素晴らしいのだ。と信じて疑わないようになった。何せ当時、シャンペインが飲めなかったのが大きい。

     

     前妻と住み出してからは、それは暖かく、幸福な、愛する人の誕生日になった。入籍して、せっかくだからと入籍日を12月25日にしてからは、もう一度書くが、それはなんの条件もなく、暖かく、幸福な日に変わった。それが10年以上続いた。

     

     彼女と別居してしまってからは、クリスマスは、「イルミネーションの日」になった。私は我が国が、右傾化しているとか、戦争に向かっているとかは思わない。いかにもそうであるからである。いかにも自分を殴りそうな人物は決して自分を殴らない。ただ、我が国が、どんどんファシズムのコスプレを普通に楽しむ様に成ったのは事実である。バブル期を、浮かれたバカの季節とするのはイージーである。人の世はいつだって浮かれたバカの季節である。今は、ファシズムのコスプレをしている事に気がついていたり、気がついていない、浮かれたバカの季節だ。わざわざ入力するのも嫌だが、「一億総活躍社会」というのは物凄い言葉だ。「活躍」を「よし、僕も活躍出来る。SNSで何かを世界に発信して活躍しよう」と思う人々の数と、そう思わない人々の数を比べたらどのような比率になるだろうか。どんな人間にとっても人生は芸術であり、表現であるとするのはパーフェクトリヴァティ教団、すなわちPL教の教義の第一である。PL教団のインスタグラムはあるのだろうか。



     12月2?日、スタジオノア初台店にて。ガンダムの作曲中。


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  • <ビュロ菊だより>No.121「いろいろと面白い事が一杯あったのに、写真を撮り忘れていた+」

    2016-12-28 09:00
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    *前号までのあらすじ*

    晩餐会「裸体の森へ」を、ブカブカのアレキサンダーマックイーン(その後、リサイズする事が決まり一安心)で乗り切ったものの、その後、余りの事に抑圧していた事実が襲いかかって来た。それは「機動戦士ガンダム/サンダーボルト2」の録音が、何と年内なのだという事である。晩餐会後の休息もなく、プリプロと作曲に明け暮れる毎日。何と、レコーディングは12月25日に決定した。どうする菊地成孔。 

     

    「村上さんの新しいお店が、神保町に開店した。神保町のトラットリア戦線に関する知識は全くない」
     

    ジロトンド
     

     今では居抜きの居抜きの居抜きを経て、まったく別の店になってしまった「トラットリア/ブリッコラ」だが(周期的に「もうレコメン出来ない」とアナウンスしていたのだが、SNS上でないため誰にも届かず・笑・「こないだ菊地さんがお勧めするイタリアンに言って来たんですが、ぱっとしませんでした」というメールが未だに来たりする。SNSってファシズムかよ一億総活躍社会。というか、恐ろしいのは「(前段全く同じで結論)とても旨かった」というメールが届く事である)、古くからのご贔屓筋ならば御存知の通り「北村/原品時代」という黄金期(これはブリッコラ史では「第二期」にあたる。因に短かった第一期は「佐山/原品時代」)の次には、「第二黄金期」があり、これは「村上(原品さんの師匠)/近藤」時代。と呼ばれる。


     村上さんは、シェフを変えながらも、バリスタの近藤さん(現在、神楽坂の無冠の帝王、「リストランテ/ラ・バリック」で副店長)と二人三脚で、北村/原品コンビが「ダ・オルモ」でミシュランのひとつ星を獲得したりするのを尻目に、地道に「その後のブリッコラ」を支え、第二の黄金期を言って良いシーズンを形成した。もう終わってしまった番組「オデッサの階段」では「菊地おすすめの店<ブリッコラ>の店長として村上さんが出演している(ここで情報源が止まっている人々が、未だにブリッコラに行ってしまう。「拡散希望」という死後は、私に取って、死後以上に死後になってしまった)。

     

     外柔内剛を絵に描いた様な人で、弟子の原品くんが、ダメな客のテーブルから離れるなりニヤニヤ嘲笑したりするオラオラ系のカメリエーレだったのに比べ、ローマで修行された村上さんの慇懃さは「ここは京都ですか?」というほどであり、「プレゴプレゴ」の「元ヤン大集合」的な新宿イタリアン戦線にフィットしていた私は、最初こそ面食らったが、村上さんのローマ式の接客にも徐々に慣れ、短期ながら大変良い思いをさせて頂いた。村上さんは、近藤さんを伴って前述の「ラ・バリック」へ移動された。

     

     その村上さんがこのたび独立し、店を構えるという、当欄の熱心な読者であれば「エフェ」(ミシュラン残念だったね。でもあの接客態度と料理じゃダメだよ小林自称カリスマシェフ。絵に描いたような北風と太陽だ・笑)の下見に際して、元「おふろ」の相良くん、北村シェフ、と共に、村上さんが加わっている事を想起されるであろう。独立の件は、その時に聞かされていた。

     

     当初は新宿御苑と聞いて、うおー、近所にプレゴを脅かす店が(徒歩派なので)。と思ったら、神保町に成った。神保町は職場がある(美學校)ので、活動圏内と言える。

     

     「ジロトンド」とは、子供の遊びの名前であり、その遊びの際には唱えられる。「かごめかごめ」のようなものです。と村上さんは言ったが、果たして料理も酒も素晴らしく、特に(これは当たり前の事なのだが)酒の揃えはブリッコラと変わらないので、懐かしくて涙が出た。若いシェフも技術的にかなり秀逸で、写真にある、ほうれん草のソテーの上に半熟のウフが乗っている皿や、焼いた鮎のほぐし身を入れたリゾットは素晴らしい。ブリッコラを更に鋭くしたキレッキレの長男がダ・オルモ(照明がピカピカに明るい)だとすれば、ジロトンドはブリッコラにホスピタリティと柔らかさを加えた(照明が柔らかく、暗い)次男と言えるだろう。遺伝子は乗り物を変えて生き続ける。

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  • <ビュロ菊だより>No.120「生まれて初めてオーヴァーサイズのスーツを着た+」

    2016-12-12 10:00
    216pt

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    *前回までのあらすじ。大西順子、菊地成孔、双方の3デイズという大仕事を終え、IXYも復活し、やっと今年の大仕事も終わった、しばらく静養しよう。満身創痍だし。と思ったのもつかの間。なんと「ディナーショウ形式のライブ」という、マジで今年最後の大仕事が待っていた。そういえばアレキサンダー・マックイーンで、スーツとシャツとシューズまで揃えておいたというのに!どうする完全に忘れていた菊地成孔!!
      

     

    <整体から練習>
     

     偽インスタグラムと謳っているが、実際のインスタグラムを観た事が無いので(テレビ等で紹介されている物しか見た事が無い。アカウント?も無い)、どの程度のコンテンツか知らないのだが、日々の写真を撮っていると、気がつくと整体と個人練習とライブのバックヤードとライブ中の写真しかないではないか。これで課金されている会員の皆さんのニーズに応えているのかどうか、全く理解出来ていない。私感だが、インスタグラムというのは結局モデルの自費出版エロ本だと思うのだが、エロ本を作れる自信が無い。被写体が自分である間は。 

     今月も整体に行った。今月は母親がいた施設で振り返らなかった。それから深夜にスタジオノア初台に行った。もう拡大した自宅である。

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