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記事 4件
  • <菊地成孔の日記2022年1月31日 / 午後2時記す>

    2022-01-31 17:00  
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     あっという間に1月が終わってしまった。「新音楽制作工房」の連絡用にLINEちゅうものを始めたら目が離せなくなってしまった&新しいバンドの作曲と楽譜作りがハードコア&自分で作った曲の自分のパートが難しいので猛練習&オーニソロジーのネクスト&更にもう1企画&東宝が、もう<鬼滅の刃特需で>、というだけでは説明しきれないタイミングと質量で、東宝時代の川島雄三作品を全てDVDにした(ずっと観れないまま、一生観れないだろうなとタカを括っていた「接吻泥棒」と「特急にっぽん」が簡単に入手できた)&、&、&と、&を重ねていくうちに「&」が英語の「and」の記号化ではなく、「川辺に座り込んでタバコを吸っている人」に見えてきてしまった。いっぱい並べてみると壮観だ。ほら↓
     
    & & & &&&  && &&
     
     釣りやキャンプがここまで流行るとは思ってもいなかった。あれもコロナの影響なのだろうか?
     
     それはともかく&それでもやはり、なんとなく2022年はおかしい、結構ゾクゾクする年明けである。旧正月が終わればその正体も明けてくるだろうが、何か途轍もない事態への前兆としか思えない現象が2つも続いた。
     

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  • <菊地成孔の日記2022年1月17日 / 午後3時記す>

    2022-01-18 23:30  
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     フィンガースナップの音が生まれつき大きい僕は、それが今、職業的にも役に立っているのだが、一種の英才教育かもしれない。東宝の「社長シリーズ」を見れば見るほど、(あの天才)森繁久彌の、プログラムピクチュアのキャラクターとしてのアイコンの中の、特にアクション(特徴的な動き、台詞回し、表情、等々)アイコンの中に、「ここだ!という時に、思わず指をパチンと鳴らす」というのが頻発されているのがわかってくる(キャラクターはアイコンだらけなので、何度も見ないと気がつかないものがある)。
     
     森繁社長(毎回別人役なので、決まった名前はない)の肘から綺麗にツイストする指鳴らしは、昔の漫画のクリシェだった、「良いこと思いついた!」という、頭の上に電球の絵がピカッと描かれるようなアレで、ほぼ50%は、新しい商法を考えついた時に鳴らされるが、敵対企業(必ずでてくる)にしてやられた時も、浮気に失敗し(必ず失敗して、キスの直前に邪魔が入る)相手の女性に走り去られた時も鳴らされる。
     

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  • <菊地成孔の日記2022年1月9日 / 午前9時記す>

    2022-01-09 13:00  
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     今年、「正月がなかった」のは僕だけではないのではないだろうか、多くの芸能人がハワイで正月を過ごし、年末年始番組の多くは撮り溜めであって、ホノルル空港やワイキキの5つ星ホテルの前にはテレビクルーが待ち受けていて、という光景は、そうでなくともアウトオヴモードになりかけていたとはいえ、ここ数年は構造的に無理になったままだ。
     
     もちろん僕がいかにハワイを愛していても(恥ずかしながら初めて書くが、僕は二度目の結婚式はハワイアンヴィレッジーワイキキビーチで最も偉大なレトロホテルーで挙げ、パーティーはハワイでも有数な、新興おしゃれ地区の、かなりイカした巨大なカフェ空間で行なった。思い出すに我ながらーというか、2人目の、女優の様に美しく聡明な妻が全部仕切ったのだがー腹が立つほどお洒落なパーティーだった。ブルータスが取材に来てもゼクシィが取材に来てもなんら問題はなかったと思う。というか、両誌にとって、かなり有益な記事になった筈だ)、正月をハワイで過ごすほど儲けていない。というか、正月は東京に限る。
     
     僕は、とにかく東京の正月が好きである。東京が好きで正月が好きなのでワンプラスワンがいくつにカウントされるのかわからない。伊勢丹で10月には節を予約し、知人の酒造りから最高の純米吟醸無濾過を一升便で送ってもらい、行きつけの寿司屋から鯛の塩焼きをやって貰って、丸鶏1匹から清湯を作って雑煮にし、東宝60年代のDVDを見ながら数日ゴロゴロするために生きているのだな、と思う時さえある。
     
     しかし今年は違った。僕は「新音楽制作工房」の立ち上げに際してPCにLINEまで搭載し、「岸辺露伴」のオンエア日にチャンネルを立ち上げるべく奮闘し(僕以上に奮闘したのがあのギルドのメンバー達だが)、大晦日のDJのために選盤とサバールの練習をし、正月は、セブンで売っている、よく知らないビオワインでモスチキンを食いながら2日間だけゴロゴロし、「お正月」は高速で通り過ぎていった。<疲れて2日ぐらい何もできず、ぐったりしていた>という、半年に1回ぐらいやるアレと何も変わらない。
     

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  • <菊地成孔の日記2022年1月1日元旦 / 午前7時記す>

    2022-01-02 10:00  
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     ー21年12月31日 午後3時ー 
     
     結局僕は、悩みに悩んだ末、サバールを持って行く事にした。「親しい人が死んだり、憎い奴を殺したくなったら、太鼓を叩け。自殺したい時も。1日中だ。倒れるまでだ」と、ほとんどのアフリカ音楽のヒーラーは言う。
     
     僕は訃報を聞いてから1秒も眠らず、1食も食べなかった。冷たいエビアンしか体が受け付けなかった。
     
     「コレ3日以上続いたらまずいな」と思っていたら、コメント欄に、韓国からの留学生だった方からのコメントがあり、それが僕の気をいきなり通し、涙腺を緩めて涙を出し、食欲と睡魔を一瞬にして取り戻してくれた。
     
     僕は12時間眠り、目覚め、伊勢丹で買ったバケット1個と、プロシュート150グラムとカマンベール4個でサンドウィッチを作り、6等分に切り分けて、聞いたことがないカリフォルニアのビオ(白)を飲みながら全部食べて、再び眠った。DJの選曲は既に終わっている。
     
     ただ、DJしながらサバールを叩けるかどうか。大儀見と、DJなら兎も角、パーカッションのデュオで演奏するのは、ちょっとどうだろうか。普通の判断ならばやらない。しかし僕は、サバールの入った袋を担ぎ、そこにカウベルとクラーベを投げ込んで、大量のCDと共にクラブに持ち込んだ。
     

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