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記事 11件
  • コロナ感染記

    2022-07-30 16:15  
     初めまして。僕は菊地成孔(きくち なるよし)と申します。音楽と著述を生業にしていまして、SNSというものは基本、やらないし、やったとしても、自分のライブや新刊、イベントの宣伝にしか使っておりません(それも全てマネージャーがやっています)。
     
     なのですけれども、今月22日に、コロナ陽性反応が出まして、結論から先に申し上げると、少なくとも、僕個人に関しては「今度のコロナは感染力強いけど、重症化しない=行動制限もしませんよ」という図式は、真っ赤な嘘で、これは大げさではなく「一歩間違えたら死んでたかも」という経験をしました。
     
     そこで、「SNSというのは、本来、こういうことを発信するためにあるのでは?」と思い、こうして発信させていただいている次第です。やっと今、フラフラではありますが、長文をキーパンチできる肉体的余裕が出てきた。という側面もあります。症状が出始めて10日目、抗原検査で陽性

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  • <菊地成孔の日記 2022年7月22日 午後1時記す>

    2022-07-22 17:14  
    藤井風さんだって引くんだから俺だって笑。
     と、マジで思っていたわけでは70%ぐらいしかないんですが、今になってコロナになってしまいました。僕は現在、独居なので家族はいませんが、まあ、長沼を始め、仕事上の濃厚接触者はいるので(辻村くん!新音楽の上野山くん、こないだ狭いスタジオ入ったよな!すぐ検査して!笑)、保健所さんと相談して、事務所もしくは施設?みたいなところで10日程度は隔離されます。
     
     外付けの人工呼吸器とか、意識障害とか、いわゆる重症化はしてないので(風邪の重い奴ぐらい。味も匂いもムチャクチャしますし、腹減ってしょうがねえわ笑)、どうかご心配なく。
     
     ただ、「人間ドック」→なんも出ねえゆえに「やったー!」ガッツポーズ→靭帯損傷→リハビリ中に聴力低下で補聴器勧められる→治りかけた来た靭帯、再損傷→口の中大火傷(地獄のキーマカレーで)→そしたら差し歯の根元に病根発見→「インプラ

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  • ラディカルな意志のスタイルズ

    2022-07-22 12:00  
                      昨年の春にDC/PRGを解散したのは、端的にミッションを終えたからで、それは「戦争とアメリカ」ということだった。その後世界はその通りになり、つまり戦争とアメリカの時代は少なくとも一旦は終わったが、更に深く酷いことになった。深く酷い世界に対して、顔をしかめるのは児戯にも等しい。酷い世界に対して、嘘でも元気ぶり、作り笑いで家を出るのも。
     
     「もうバンドはやらないでおくべきか、やるのか?」を考えた。もう歳も歳だし。そして、昨年の秋頃から「来年(22年)は、コロナだオリンピックどころではない酷い世界になる。途轍もないことになるだろう」という直感が働き、そのための音楽が必要になる。第一には自分に。そして年が明け、直感は当たった。いつだって現代は混迷する酷い社会だが、今の現代は今までの現代よりも酷い。バンドを結成することにした。年齢的に言っても、高い確率で人生最

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  • <菊地成孔の日記 2022年7月18日 午後6時記す>

    2022-07-18 22:00  
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     今日いきなりイベントが中止になったんで「すわ、歯か?」と思ったというお声を頂戴したので笑、一応念のため、僕は元気です笑。大島さんが熱出したの笑。大島さん、お大事になさってください。僕は大島さんの「縄文族」プロジェクトは本当に素晴らしいと思うが、常に内心で(あれ熱が出そう、、、、)と思っていたので笑、いかんいかん、タトゥーで発熱はしません。
     
     さっきまで、台湾人のモダンアーティスト、Lee Kan Kyoさんの個展に行ってきた。Leeさんが「粋な夜電波」の熱烈なリスナーだったそうで(ラジオとか、やっとくもんだ本当に笑)、ロレックスの紛いもんの山を手書きでカンバスに描いた作品など、リスペクトをいくつか頂き、最新作品集の帯を書くことになったので、ご挨拶に行き、今年手がけるアーティストのアートワークをお願いする。という運びになった。まあまあ、いわゆるバーターである笑。
     
     バーターといっても全く陰性にならないような人だ。Leeさんの作品は、非常に大掴みにいえばシュミュレーショニズムとポップで、全作が手書きである。
     

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  • <菊地成孔の日記 2022年7月12日 午後4時記す>

    2022-07-12 23:30  
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      いきなりもいいところだが、今、村上春樹さんに会って話してきた。今日、TFM主催(?)で、伝説の「山下洋輔トリオ、大隈講堂で学生運動家が突入しながらも演奏」の段を、「村上ラジオ」が中継する。といったような態の特大企画をやるのである。僕は演奏ではなく、「村上ラジオ」に10分ぐらい出る。その、当日打ち合わせである。今は打ち合わせを終え、事務所にいて、本番を待っている。
     
     出るからにはそのイベントの悪口は言わないが、ちょっと前の物言いで「どうよ?」というやつではある。「今の学生は元気がないので、政治の季節(学生運動の季節)の、学生たちの覇気を浴びるためにも、同じ大隈講堂で、同じ<第1期山下トリオ(山下、中村、森山)>のライブをメインに、いろんなのをくっつけて、1日がかりのイベントにする」。
     

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  • <菊地成孔の日記 22年7月9日 午前4時記す>

    2022-07-09 10:30  
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     この日記の読者の方々なら、僕が元日から、「今年はヤバい年になりそうな胸騒ぎがする」と書き続けていていたのをご記憶されているだろうが、もう前半を終えた段階で、「もう流石に予兆は良いよ笑」と思うほどの状態になった。一気にドカンとくるのではなく、じわじわ来ているし、後述するが、民は抑圧的というより、解離的な傾向を見せているように思う。
     
    <それはともかく&それでもやはり、なんとなく2022年はおかしい、結構ゾクゾクする年明けである。旧正月が終わればその正体も明けてくるだろうが、何か途轍もない事態への前兆としか思えない現象が2つも続いた>
     
     ↑ コレが確か1月かそこらだ。僕は「ラディカルな意志のスタイルズ」のデビューライブを、直感的な判断で、2回に分けた。1回に集中してDCPRGの時みたいになったら、流石にこの歳ではきついなあ(そこで生じる現実。ではなく、又してもバンドのデビューに引き込みを持ってしまったという「関連づけ」の重さに)。と思ったのだが、そもそもデビュー自体に黄信号が灯ってしまった。
     
     今月3週目からサックスを吹いてみて、歯への直接圧の測定と、まずは30分連続で吹いた状態をCTスキャニングして再生中の歯茎の損傷度を見る。という流れになった。
     
     「黄信号」といっても、交通信号のそれに於いては、黄色は赤に向かうしかないが、ここでの黄信号は、青に向かう可能性も持った、文字通り両義的なものだ。サックスは「全然吹けますねコレは」という可能性と「やはり、本番もやめて下さい」という二つの可能性を持ったままだ。前者の場合は、何事もなかったように吹くし、後者の場合は、少なくともスタイルズでは緊急のオーディションを開いて、若くて時間と才能が有り余っているサックス奏者を見つけ、来年7月までは臨時加入させるしかない(「中の人がメルロー」はものすごく面白いが笑、流石にメルローに失礼だし、彼は忙しいので現実的に無理だと思う)。僕はパーカッションとSE用のサンプラーだけになる。あ、なんか、それが一番良いような気がしてきた笑。
     
     僕が安倍晋三氏の射殺事件に関して、一番強く感受性にのしかかってきたのは、他のあらゆるトピックを差し置いて、「国民が解離的になっている」ということだ。
     

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  • <短期連載「菊地成孔の抜歯日記③ 7月3日(手術後2日目)」 最終回>

    2022-07-06 13:00  
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     田園都市線で暴れたバカが逮捕され、逮捕時にティポグラフィカのTシャツを着ていて大爆笑してしまった。本当に勘弁してくれ、ニヤッとするだけでも激痛でのたうち回るというのに笑。
     
     今、ティポグラフィカ元メンで日常的に親交があるのは(僕のガラケーの中で、14年に及ぶ、小説の長期連載中なので笑)キーボードの水上だけなので(ちなみに彼が「笑いの王様」の作者である)、メールしてみようと思ったら、もう先に着いていた笑。
     
     今、水上に電話したら死んでしまう笑。面白い動画に「腹筋崩壊注意」とか書いてあるが、実際に笑うだけで腹筋は断裂しないだろうけれども(肋骨がイカれる可能性のが高いだろう)、三倍に肥厚してパンパンに固まっている上唇は、水上の平均的な笑わせる力で来られたら(電話したら必ず平均以上で来るだろうし笑)、破裂すると思う笑。
     
     もう、痛いとか辛いとかは書く気もしないので、顔面の変化について

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  • <短期連載「菊地成孔の抜歯日記② 7月2日(手術翌日)」>

    2022-07-05 10:00  
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     30年前の、最初の手術の時も同様だったのだが、術直後は麻酔も効いているし、腫れが始まらない。翌日にまずエグいのが一発入って、ソレがゆっくり治ったり、また腫れたりを、泥舟の運航のように繰り返して完治に至る。
     起きたら、もう顔が重い笑。「こりゃヤバイぞ笑」と思いながら、鏡を見たら、まあ単純に、鼻の下全体(患部は左だけだが)と、唇上下ともが腫れ上がって、もう、ちょっと「面白い」とも言えない。これは誰にも見せられない。一線を超えているので、怖がる人が出ると思う笑。
     
     「うっはははははははは!ひっでえな我ながら!!笑」と笑ったら、顔面中に激痛が走って「うううううううううう」とうずくまった。笑うと、表情筋、特に、唇を使う。散痛というが、患部以外のかなり広い範囲に、神経は情報を伝達するので、歯を抜いて鼻の傍まで穴を掘り、歯茎を1本ずつ切り離して紐で結べば、もう、後頭部まで痛い。
     
     いやあ、偶

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  • <短期連載「菊地成孔の抜歯日記① 7月1日(手術当日)」>

    2022-07-04 10:00  
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     *これを書いているのは7月3日である。本当に偶然に(手術が決定する遥か前から)、7月1日から3日までの3日間は完全な休暇であった。今から思えば、ハイアット系でもペニンシュラでも良いので、ホテルを取っておけばよかったと後悔しているが、いわゆる、という奴で、あらゆる後悔は先に立たない。 
     
     「うわあ、なんか、この手術室、良い香りになりましたね笑」と助手がいった。「あ、いやこれはすみません。香水がきつかったですか?」「いや全然笑、アロマを焚く方もいらっしゃいます笑」「よかったあ、オペの邪魔になったりしたらバカですからね笑」「これメンズですか?」「いえ、レディスです」「やっぱり笑」マスクしたままの女性と目線を合わせるのは無駄にフェティッシュなので外して欲しいのだが、一番外してはいけない現場であることを思い出し、少し笑った。
     
     <マスクを外したら、、、、正解は滝沢カレンさんでしたー!!>といった風情の手術助手は、若い担当医が緊張の面持ちで入ってくると、いきなり「ブスッとした」というラインぎりぎりのツーンとした無表情に戻った。
     
     <えコレ、この2人できてて、今少し険悪で、嫉妬させるダシに使われてんのオレ?>とか、<この先生、良い医者だけれども、助手や美容歯科の女性医師に嫌われてんの?>とか<この先生、若くてお金持ちだろうし、熱心で誠実なんで、この院内の女性を全部虜にして、全員からツンデレくらってんの?>とか、我ながら本当にバカではあるまいか?本当は膿の道が膿に達しているのでは?というレヴェルの妄想が同時多発したのだが、どうやら回答は
     

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  • 手術報告

    2022-07-02 14:01  
    僕の左前歯は、1996年(アルバムでいうと、1stスパンクハッピーの「フリークスマイル」の時)から人工歯根と義歯です。 
     当時、虫歯の根元が腐っちゃって、気がついたら(全く痛くないんで)膿の道が鼻の穴まで貫通していて、とんでもない大手術でした(最初は鼻血が止まらないんで、チョコの食い過ぎかと思って、チョコやめても止まらないんで、それで医者に行って分かったのです)。
     誰も触ったことないですけど、僕の左の鼻の穴と、唇までの間には、骨がないんで、指で押すとズブッと入ります。この手術の時に、歯根から、その周辺の骨までがダメで、削り取っちゃったんですね。
     
     しかし、先生方の技術もあって、良い義歯も入り、生活にも、というか、サックスの演奏にもなんの支障を来さずに30年間やってきました。もう還暦ですし、死ぬまで保つなコレ、と思ってました。
     
     でも、約30年目にして、再発したんですね。いわゆる

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