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ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■斎藤文彦INTERVIEWS
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ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■斎藤文彦INTERVIEWS

2018-05-27 13:11
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは「ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――」です!イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」出張版付きでお届けします!



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    ――
    ジャイアント馬場さんの奥さんである馬場元子さんと、馬場さんの親友だったブルーノ・サンマルチノさんが同時期にお亡くなりになってしまいました。

    フミ
     サンマルチノさんが4月18日、元子さんが4月14日にお亡くなりになりましたね。元子さんの場合は密葬を済ませたあと、4月23日に東京スポーツを通じて発表されました。

    ――
    発表されるまでは、生前の元子さんと親交のあったプロレス界関係者でさえも知らなかったそうですね。

    フミ
     元子さんはもうプロレス界の人ではなかったことも、しばらく公表されなかった理由かもしれませんね。元子さんのことは姪っ子さんが最後まで面倒を見ていたようですが、もしかしたら和田京平さんはご存知だったかもしれません。馬場さんが亡くなったあとも、京平さんは元子さんを支え続けていて、それはプライベートにまで及んでいたそうです。ある日、元子さんから「京平ちゃん、家に来て」と言われて家に行ってみたら「電球を変えて欲しいの」と。

    ――
    昭和の奉公人の世界というか。フミさんが最後に元子さんに会ったのはいつなんですか?

    フミ
     秋山準が現在の全日本プロレスの運営会社の社長になったときに元子さんは後楽園ホールに来られてますが、そのときだったと思います。全日本プロレスとはいっても屋号を引き継いでいるだけなんですが、元子さんは「秋山くんならば」ということで、全日本プロレスの暖簾を使う許可を出しているんですね。

    ――名前は全日本プロレスだけど、法人会社は変わっていて。コンテンツホルダーは元子さんなんですね。

    フミ
     全日本プロレスという名前と、おなじみの団体ロゴを使うことは元子さんのお墨付きなんです。こんなケースはありえないと思いますが、秋山選手以外の人が「全日本プロレス」という名前を使うことはできない。いまの全日本プロレスには3冠のベルトがあり、アジアタッグのベルトがあり、チャンピオンカーニバルや世界最強タッグも開催されている。全日本プロレス以外の何物でもないわけですよね。どこの世界でも家元が亡くなると跡目を巡って争いごとが起きるものなんですが、秋山準の全日本プロレスは極めて正統・正当性が高いわけですね。

    ――
    秋山選手は馬場・全日本プロレスの生え抜きですし。

    フミ
     秋山選手は元子さんにきちんとお伺いを立てる人なんですが、こんなエピソードがあるんです。3冠というのは取ったレスラーの好みが出るというか、ジャンボ鶴田さんは基本的にインターのベルトを腰に巻いたんです。あとの2本は手に持ちました。

    ――
    インターを巻いてUNとPWFは手に持つんですね。

    フミ
     それはジャンボ鶴田さんの拘りなんでしょうね。スタン・ハンセンの場合は3本とも手に持つ。鈴木みのるもそうでした。天龍さんであれば、UNのベルトを腰に巻いたんですよ。

    ――
    天龍さんの原点はUNですもんね。 

    フミ
     三沢光晴や川田利明はインターを腰に巻くタイプだったんですが、秋山選手の場合はなぜかPWFのベルトを腰に巻きたかったんです。秋山選手は2011年に初めて3冠を取りました。馬場・全日本のときは取ってなかったんです。

    ――
    それくらい馬場・全日本時代の3冠の壁は厚かったということですねぇ。

    フミ
     3冠を取ったときに秋山選手は何をしたかといえば、元子さんに電話をかけて「馬場さんをイメージさせるPWFのベルトを巻いていいですか?」と確認を取ったんですよ。元子さんからすれば嬉しいことだったのではないかと思います。何年経ってもも、まずそうやって元子さんにお伺いを立てるわけですから。

    ――
    そういった配慮ができるからこそ、元子さんも秋山選手に全日本プロレスを託せるわけですね。

    フミ
     秋山選手は全日本プロレスから離れNOAHに移りましたが、また全日本に戻ってくることになった。武藤・全日本よりも秋山・全日本の方が、かつての全日本プロレスっぽいところを感じられるじゃないですか。

    ――
    「神は細部に宿る」じゃないですけど、どのベルトを巻くのかという確認が取れる人間ですもんね。

    フミ
     チャンピオンベルトというものは宗家に代々伝わる掛け軸、坪やお皿ではないですが、それほど伝統で由緒あるお宝という認識が秋山選手にはあったということですね。

    ――ベルトは単なる興行の道具ではないと。

    フミ
     秋山・全日本になってから、新しく3冠のベルトが作られ、旧3冠の3本のベルトは元子さんのもとに返されたんです。そこは元子さんの要望だったと思いますし、晴れて“本家”に戻ったということですね。元子さんはホスピスのようなところに入院されていたと聞いていますが、恵比寿には馬場さんと元子さんが住んでいたマンションがあるんです。そこにはいま言った3冠のオリジナルベルトがありますし、馬場さんがハーリー・レイスに勝ってNWAのベルトを2回取りましたが、そのときに自分用に作ったNWAのベルトもあると伝えられているんです。

    ――
    記念ベルトじゃないですけど。

    フミ
     いわゆる「ハリーレイスモデル」と言われているベルトと同じ作りで、レプリカと言っていいのかわからないですが、チャンピオンになった選手だけが作ることが許されるベルトがあるんです。それは誰にも見せたことがないんですね。

    ――
    そのお宝ベルトが馬場マンションに眠ってるんですね。

    フミ
     馬場さんのマンションにはそれ以外にも等身大の馬場さん人形が置いてあり、馬場さんの歴代ガウンがすべて揃ってるんです。1着数百万円、ヘタしたら1000万円近くするガウンが全部残ってるらしいんですよ。

    ――
    関係者が勝手に売り払ったといわれる猪木さんのガウンとは扱い方が違う(笑)。

    フミ
     赤や朱色、たまにしか穿かなかった青のショートタイツ、歴代リンズシューズももちろん残っています。それから元子さんはミル・マスカラスの大ファンだったこともあって、マスカラスが来日するたびにもらっていたマスクがたくさん溜まっていて。プラスチックの衣装ケース5〜6個の中に敷き詰めてあると言われてるんですよ。

    ――
    マスク屋さんもビックリのコレクション!

    フミ
     元子さんは純粋な人で、マスカラスは「千の顔を持つ男」と言われたので、本当に1000種類のマスクがあると思っていたそうなんです。たしかに初期はデザインが違うマスクがたくさんあったんです。あるときから、お馴染みのマスカラスデザインが基本になって、色だけが変わっていきました。それでもマスカラスが来日するたびに元子さんはマスクをもらっていたので、本当に1000枚ぐらい持ってるらしいですよね。

    ――
    そのコレクションは相当価値があるんじゃないですかね。

    フミ
     マスカラスのマスクなんて1枚何十万円もの値打ちがありますし、それが1000枚近くあるわけですからね。いろいろものがありすぎて、恵比寿のマンションの地下にあるストレージルームを借りて、そこにはジャイアントサービスのグッズもいわゆる在庫も大量にあるらしいんです。

    ――
    『開運!なんでも鑑定団』で取り扱って欲しい(笑)。

    フミ
     馬場さんはハワイにもマンションを持っていますし、全国津々浦々というわけではないですが、全日本の売り興行のときにお金を払えなかったプロモーターが代わりに土地で支払ったケースもあるらしいんですよね。

    ――
    それも凄い話ですね(笑)。

    フミ
     プロレスファンからすれば恵比寿のマンションに残されたお宝がどうなるかは気になりますよね。馬場さんの博物館を作れます。オリジナルの3冠ベルトやガウンも飾れますし、馬場さんが普段着ていたスーツだって見てみたいですね。


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