プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は岩谷麻優vsKAIRI IWGP女子王座の勝負論です!
――1月1日ノア日本武道館のグレータ・ムタvs中邑真輔の発表には度肝を抜かれました!
小佐野 いやあ、ホントにこのカードにはビックリしました。WWEが交渉に応じたこともそうだけど、今回にかぎらず、最近はホントに情報が漏れないですよね(苦笑)。
――SNS時代だからこそ厳戒態勢でファンに衝撃を与えないってことですよね。昔だったら『東スポ』が発表当日に先行報道したり、『週刊プロレス』の表紙と合わせて発表したり。マスコミも利用したやり方でしたよね。
小佐野 あとはそれこそ真輔がインタビューで何かをにおわすとかね。急に「ムタに興味がある」とか言い始めたり。そういう雰囲気作りがあったけど、いまはいきなりスパッと発表だもんね。
――今年1月の新日本とノアの対抗戦もいきなりでしたね。
小佐野 そうなんだよね。いまは昔よりマスコミを利用していないってことだよね。昔はある程度マスコミを通さないとニュースが広がらなかったんだけど、いまはSNSを通して自分たちで発信できるから。しかし、よくWWEとの交渉がまとまったよね。
――WWEのトップだったビンス・マクマホンがスキャンダルで引退して、他団体に理解のあるトリプルH体制にならなかったら実現しなかったかもしれない。
小佐野 2018年のノアで丸藤正道が当時WWE所属だったKENTAとシングルマッチをやったでしょ。あのときは丸藤とKENTAの個人的なやりとりから始まって、最終的に会社同士の話し合いになったはずだから。
――今回は最初からノアとWWEの会社同士なんですかね。
小佐野 会社同士だろうね。武藤と真輔はつながりがないわけだし。
――ここで中邑真輔が出てくるとなると、2月東京ドームの武藤さんの引退試合相手がますます見えなくなりますね。
小佐野 まったく予想もつかない。ホントにどうするんだろう(笑)。新日本とスターダムの合同興行では、とりあえずグレート・ムタとオカダ・カズチカがタッグを組んで接点は持ったけど、引退試合に向けてのものではなかったし、あくまでムタの話なので。武藤敬司としてどういうふうに締めくくるのか。
――1月1日もムタですけど、00年代の新日本プロレスが暗黒から抜け出して再浮上するきっかけのひとつが、武藤vs中邑のIWGP戦でしたよね。当時・全日本の武藤敬司が中邑真輔を破りIWGP王座を奪取して。
小佐野 武藤から誰もベルトを取り返せなくて、イッテンヨン東京ドームで棚橋弘至が取り返して棚橋時代がガッと到来するわけだから。あの頃の中邑真輔はまだ自分を確立してなかった。正直プロレスと総合格闘技の中途半端な感じで。あの頃、武藤と雑談したときに「中邑真輔、どうだった?」みたいな話を振ったら、「新日本って、ときにはああいうレスラーを作っちまうんだよなあ」って。
――それは中途半端ということですか。
小佐野 そうなんだけど、いくら武藤でも相手は新日本のトップレスラーだから、腐すような発言はできないでしょう。それは取材ではなく雑談の中でのひとことだし。
――武藤さんってさりげない言葉で本質を突きますねぇ。
小佐野 いまは自分の世界を確立した中邑真輔が、グレート・ムタという強烈な世界観を持つ相手とぶつかり合うわけだから、これは面白いですよ。
――どちらが主導権を握るのか、どちらの世界に染まるのか。
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