
DEEPフェザー級GPを制した水野新太のセコンド、大塚隆史さんのインタビューです。指導者としても評価されている大塚さんのコーチ論とは?(聞き手/ジャン斉藤)
・ブラックローズ大晦日の裏側■証言:セコンド大塚隆史
――大塚さんがコーチしている水野新太選手がDEEPフェザー級GPを優勝されました。おめでとうございます!
大塚 ありがとうございます。いやあ、優勝できてホントよかったです。ホッとしました。
――決勝戦はベテランの高橋遼伍選手に文句なしの判定勝ち。ただ、水野選手はまだ8戦目。キャリア差もあって分が悪いのかなって見てたんですけど。
大塚 ボクらは全然そう思ってなくて。準決勝の海飛戦のほうが相性的にはイヤだったかな。1回戦に勝って、抽選で2回戦の相手を決めるときも、流れによっては相手が選べるじゃないですか。選びたいのは五明(宏人)選手か、高橋選手だったんですよ。
――選べるなら海飛選手は選ばなかった。
大塚 くじで選べるなら海飛選手はちょっと避けたいなと思ってましたね。海飛選手はストライキングがやっぱりうまい。もともとうまいとは思ってたけど、1回戦の奥山(貴大)選手の試合を生で見て、あらためてうまいなと。キックボクサー顔負けの打撃だし、身体もやっぱりでかくなってる。今回に向けてファイトキャンプをアゼルバイジャンでやってますよね。そこに行く選択も覚悟は決まってるんだろうなって。
――アメリカやタイではなくて、アゼルバイジャンだからこそ。
大塚 たしかにアメリカでもいい練習ができることは間違いないですけど、アメリカにはまあ楽しいこともあると思うんですよ。遊べるところもあるし。アゼルバイジャンは楽しいことないじゃないですか。
――練習漬けの日々っぽいですよね(笑)。
大塚 ボクが行っていた日本体育大学のレスリングの監督も「アメリカなんか練習に行くんじゃない。遊んじゃうんだから」と言っていて。練習に専念するならカザフスタンとかあっちのほうがいいんですよね、娯楽がないから。
大塚 そういう意味でアゼルバイジャンを選択した海飛選手は覚悟が決まっているなと。それに水野くんはストライキングで組み立てたい選手ではあるので、打撃がうまい海飛選手がそこで上回ってきたときにどうするか? そこで試合ではレスリングで対応するという選択をしたんです。
――実際の試合では最終ラウンドこそ海飛選手の打撃でダウンを取られましたが、水野選手がレスリングで主導権を握りましたね。
大塚 海飛選手に勝って決勝が高橋選手に決まったときに、まあいけるかなと。ただ、どんなにこっちがよく見えても、五分で見るようにしてます。こっちが六分七分で有利でも、五分のラインで考えますね。
――そこは油断しないってことですね。
大塚 そうですね。高橋選手に打撃で上回れる自信はあったんですけど、準決勝の五明戦を見たときに高橋選手が想像以上にいい動きをしてて。高橋選手がよかったところはあったけど、そこは五明選手の対応が遅れたところもあったのかなって。ちゃんと対策すれば勝てるという判断はしました。打撃でイヤなのはインカーフ。
――高橋選手の得意技ですね。
大塚 海飛戦ではテイクダウンのゴリ押しで攻めたんですけど、高橋戦は試合が決まったときから、打撃8割9割で行こうと。試合が決まった2ヵ月前からそう話してました。一切タックルはいらない。海飛戦を見たら、今回も水野くんはテイク混ぜてくるって思うかもしれないですけど、テイクは頭になかったですよ。打撃の交差の中でのもろ差し、ボディロックで取れたときだけは仕掛けていいけど、自分からはやらなくていいよと。打撃で勝てると思ったんで。
――打撃勝負の攻略に重点を置いたんですね。
大塚 ただ、高橋選手にテイクを混ぜられたときの対応ですよね。五明戦で見せていた流れの中でテイクダウン、とくにタックルではなく、ボディロック系。あの動きに対応するために、テイクディフェンスを強化していこう。そこで原口(伸)くんをスパーリングパートナーとして呼びましたね。
――ブレイブの原口伸選手。レスリングの大学チャンピオンですね。
大塚 原口くんはサウスポーなので、高橋選手とは逆だし、高橋選手とはテイクダウンのやり方も全然違う。別といえば別なんですよ。ただ、原口くんはレスリングの全日本チャンピオンの経歴で、タックル、シングル、ハイクラッチ、ダブルレッグで仕掛けるタイプ。そういうテイクダウン能力の選手とスパーリングをさせることが大事だなと。ブレイブの芦田(崇宏)くんとは友達関係でもあるので、お願いしたら原口くんもOKということで。わざわざこっちまで出向いてきてくれて、ありがたいですね。そこで毎週5ラウンドくらいスパーをやって、テイクの強い人に対しての耐久力をつけさせる。そのスパーはボクも見てるから、水野くんの良いとこダメなとこがわかるんで。
大塚 8割9割打撃でやるにしても、蹴るか、蹴らないか。水野くんはそんなに蹴る選手じゃないですけど、パンチを活かすためにも蹴りたい。パンチだけだと一辺倒になっちゃうので。蹴りにしてもロー、ハイキック、ミドルのどれにするか。足を取られることをちょっと怖がってたんですけど。
――蹴りも混ぜないとパンチが効かないわけですね。
大塚 高橋選手のカーフも想定してたんですけど、高橋選手のパンチについては、ジャブの差し合いではなく、上から被してくるタイプ。入ってきたところに上から被せてくるフック系のパンチ。それだけ注意しようと。五明戦を見るかぎりは、五明選手が常に下がってたんですよ。高橋選手が常にプレスをかけてくるし、追ってくる展開になると強いので、立ち合ったときに絶対に下がらない。こっちがプレスをかけようという話をしました。
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