人気の無い森の中の家で見つかったふたりの少女。死んだと思われていた彼女達は、野生児と化してふたりだけで生きていた。幼い子供が、どうやってこれまで生きてきたのか...? 彼女達を保護した後、医師達はふたりが「ママ」の妄想を抱いて生活してきたことを知る。しかし、空想の人物だと思っていた「ママ」は存在していた。母性を究極に歪めた邪悪な姿をして...。
母性愛を極端に描いたホラー映画『MAMA』。本作は監督したギレルモ・デル・トロのネームバリューもあり、日本では未公開なものの、全米で大ヒットしました。
そんな『MAMA』には、元となったショートフィルムがあるのは有名な話。2008年に、『MAMA』の監督を務めたアンドレス・ ムシェッティが作成したものなんですが、かなり怖いと評判だった上に、ギレルモ・デル・トロ監督自身が「最も怖い」と認めた作品。今回は、13日の金曜日ということで、改めて、その怖~いショートフィルムを紹介します。
それでは、以下からオリジナル『MAMA』のショートフィルムをご覧ください。
【大きな画像や動画はこちら】
「ママが戻ってきた! 逃げなくちゃ!」と慌てる子供たち。でも、逃げられるわけない。だって、相手は「ママ」だから。
「ママ」という言葉が持つ威力は凄まじいです。子供から「ママ」と呼ばれる度に、女性は子供に対する愛情と執着心を増幅させていきます。だから、ママは強い。そして、簡単なことでは子供を諦めない。そんなママの母性が負に作用したら...? 子供たちはどうやったって逃げられるはずがありません。
この「ママ」は歪んだ母性を具現化した姿。醜く、本能がむき出しで、子供を手に入れる為なら何だってします。ママという言葉から連想する、厳しいけれど愛情たっぷりで、子供の為なら自らの犠牲も厭わないというものとは対極の存在でしょう。
このフィルムの恐ろしいところは、魔物を「ママ」と呼ぶほどに信頼関係を築いてしまった少女たちと、行き場を失った母性に捕われた悪霊の行き着く先が、バッドエンド以外にあり得ないのでは? と感じさせるところだと思います。
映画版では、この女性が恐ろしき魔物になった背景が描かれていますが、それを見る限り、女性なら誰しもがこの醜い「ママ」になってしまう可能性を秘めていることが分かります。そして、少なからず「ママ」の気持ちを理解出来てしまうからこそ、この作品は単なるホラー映画ではなく、悲しくも美しく深みのあるホラーになっているのだと思います。
このショートフィルムは、得体の知れないモンスターであるママの恐怖を描いたものですが、映画版は母性に重点を置いた良作ホラーに仕上がっています。まだ見ていない方には、是非ともオススメしたい作品です。
[via io9]
(中川真知子)
関連記事