「お弁当温めますか?」
弁当やおにぎりを温めるならいつものことですが...では、もし人間をレンチンしたら、どうなっちゃうのでしょうか!?
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なんとなく映画『グレムリン』のように爆発するのでは? というイメージを持っている人もいるのではないかと思いますが、果たして――。
あまりに身近な家電であるため、「電磁波が出て温まるんでしょ?」くらいの認識であろう電子レンジ。その中では、「表皮効果」と呼ばれる反応が凄まじい勢いで起こっています。以下io9に掲載された、大体の仕組みと結果予想をどうぞ。
■表皮効果と交流電流
家電などのケーブル類の中には電線が入っており、外側は筒のような長いホース状の構造になっています。実はケーブルが丸い事に意味があり、ここに表皮効果が起こるのだそうです。
ケーブルに直流電流を流すと、すべての電子はホース内で連続的にあっちからこっちへ、ケーブルの中を走り抜けていきます。ですが、交流電流を流した場合、電子は伝導体の外側で行ったり来たりと超高速で動きます。この外側を流れるのが「表皮効果」。
さらに外側を流れる電流は、伝導体の中心に向かって侵入します。電流が中心に侵入する深さというのもあり、内側の電流が外側の37%の深さに減少したところが「表皮深さ」と呼ばれるとのこと。
その時、周波数が増加すると、表皮深さは反対に減少します。よって、低周波のほうが高周波より深く電気が届くそうです。
この辺りが37%の深さ
物体への透磁率と伝導性が高いほど、表皮深さは浅くなります。
■ 冷凍ラザニアと沸騰パイ包み
たとえばこんな食材
上記の表皮効果は、マイクロ波を照射して食材を調理する電子レンジを説明するのに欠かせないもの。たとえば、チーズのパイ包みをレンジに突っ込み、タイマーをセットしてチーンと出来上がる時、実はパイ包みの中心はあと一歩でメルトダウンという状態にまで激アツになっているそうです。
しかし、ラザニアやカットしたチキンをチンすると、中心は冷たいまま......といったことがよく起きます。この違いはなぜ生まれるのでしょうか?
それは電子レンジが照射するマイクロ波という波長の短い電波が、水分を含む材料に当たると吸収されて発熱する特性を持っているから。水の分子が振動して摩擦熱を発生させ、食品が内部から発熱するのです。
水は熱の伝導率が高いので、より水分が多く、ムラ無く平均的に水っぽいものほど、熱くなりやすい性質を持っています。
もし食材が乾燥していたら、振動すべき分子が極端に少ない、もし凍っていたら、振動するべき分子が固まっているので、どちらもマイクロ波がちゃんと作用しないということになります。
よって、パイ包みは外側のパイはそんなに熱くならず、ネットリとして水分を多く含んだ中身のチーズが摩擦熱によって沸騰寸前まで熱せられるとのこと。
水分をそんなに含んでいない食材でも、そこには伝導性があり、表皮効果が食材の中に向かって表皮深さの所まで浸透しようと働きます。
小さい食材ならまだしも、大きい物であれば外側から37%のところまでしか温かくなっていないので、けっきょく表面以外中身はほとんどが冷たいままということが起きるそうです。
■人間がレンジでチンされたら?
やっとここで本題に入りますが...以上のことを踏まえると、おそらく人間を電子レンジにかけても、内臓が沸騰するまではいかず、表面が大やけどになるでしょう。
何がどう転んでもステキな体験には絶対になりませんが、どの部位よりも水分が多い目玉はすぐ熱くなってしまうので、なるべく両手で覆ってギュっと目を閉じているのが得策の模様。
IEEE PRESSとワイリー・インターサイエンスが出版した、『Microwave Interaction with Biological Tissues(電磁波の相互作用と生体組織)』(日本の小塚洋司さんという工学博士が共著されています)という研究報告書では、以下のように書かれているそうです。
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もし人間がマイクロ波の磁場に入ってしまったら、内蔵は低周波より高周波の時のほうがより護られるでしょう。
一例としては、FMラジオの周波数100メガヘルツの時よりも、携帯電話機の周波数900メガヘルツの時のほうが表皮深さは3倍も減少します。
電磁波を受けている磁場では、100メガヘルツよりも900メガヘルツのほうが3倍も人体の表皮近くに集中しているということになのです。
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難しいですが、そういうことだそうです。
一般的にレストランなどの食堂で使われる電子レンジは、大体が900メガヘルツなのに対して、家庭用のレンジだと2.45ギガヘルツと3倍近くも高いものになっているんだとか。
サイズの違いはさて置き、もし人間が家庭用のレンジに閉じ込められたとしたら、表皮深さ的に内蔵は平気で、むしろ皮膚が焼けコゲになっちゃうのかもしれません。
仮にハンニバル・レクター博士が人間を調理しようとしたならば、生焼けになるレンジよりも、じっくり直火で焼いたほうが良さそうです。
Image by Jim Cooke
Photo by Winai Tepsuttinun/Shutterstock
Hot Pockets:Lenin and McCarthy
[Via RF/Microwave Interaction with Biological Tissues, Microwave Ovens. via io9]
(岡本玄介)
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