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自然豊かな街並みを一望できる、吹き抜けのガラス窓。リノベとDIYでつくった店舗兼住居(山形市)|みんなの部屋
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自然豊かな街並みを一望できる、吹き抜けのガラス窓。リノベとDIYでつくった店舗兼住居(山形市)|みんなの部屋

2021-10-06 14:00
    山形県は東部、県庁所在地でもあり、街の中心を最上川へと繋がる河川が流れる山形市。メインの山形駅から車で15分ほど山沿いを走った先に、今回ご紹介するKariさん夫妻の住まいはありました。

    お名前(職業):Kari Ishikawaさん(フリーレース・テキスタイル作家)、Sさん(教育関係)、すだち(オスのベンガル猫)、ジジ(メスの黒猫)、キキ(メスのサビ猫)
    場所:山形県山形市
    広さ:2LDK+土間+ホール/床面積:1階70.38㎡ 2階49.68㎡
    リノベーション費用:約590万円
    築年数:19年
    住宅の形態:中古戸建て
    間取り図:

    編集部作成

     

    SさんのUターンに合わせて一緒に移り住んだ土地で見つけたのは、盆地に広がる中心街が一望できる高台の住まいでした。

    リノベーションした部屋に思い入れのあるアイテムを散りばめてつくった住空間に加えて、作家として作品づくりをするアトリエ、DIYを駆使して土間を大変身させた店舗スペースと、3つもの役割を担うKariさん夫婦の住まい。

    作品づくりに、よりよい暮らしにと取り組み続けるおふたりに、お話を伺ってきました。






    お気に入りの場所

    自らつくり上げた玄関土間兼店舗

    住まいに入ってすぐ目の前に広がるのが、Kariさんの作品たち。

    元々は和室だった6畳のスペースをリノベーションし、靴や自転車、アウトドア用品が十分に収納できる玄関土間に変更。さらに最近では使い方が変わり、Kariさんの展示空間「アトリエ糸好日」になっていました。

    「山形で個展を開こうとしたときに、やはり東京に比べてギャラリーが少ないことが気になりました。こっちは完全に車社会なので、どうせ場所を探すくらいなら、今の住まいを開いてしまった方がいいと思ったんです」(Kariさん)

    空間づくりはKariさん自ら手を動かして進められたそう。

    中心に置かれたテーブルは、ワークショップなどもできるように大きめの天板を選び、コンクリートエフェクトペイントで塗装。土間の質感と合わせた色合いに。

    「照明用にダクトレールも設置しました。これは取り付けるのが少し大変で、リノベーションのときに行っておけばよかったなと思いましたね」(Kariさん)

    ここは、Kariさんの作品展示や販売ができるように、不定期で一般開放されているそう。ワークショップなども開催予定とのことで、今後の使われ方が楽しみな空間になっていました。

    とにかく開放感のあるLDK

    玄関土間を抜けた先にあるのは、開放感あるLDK。ふたりでいるおうち時間の大半を過ごす憩いの空間です。

    「元からあって気に入っている高い窓によって、光がたっぷり降り注ぐ部屋で山形の山々や街の景色が一望できます。夜になれば夜景が美しく、夏場は花火大会を眺められたりと、景色だけでも贅沢な時間が過ごせますね」(Sさん)

    吹き抜けの天井にすることで、家の中でどこにいても家族や愛猫の姿が確認できるのもいいところ。

    一方、元の住まいから変更したと話すのが壁付のキッチン。

    昔から使っていると話す古道具とりんご箱を、ダイニングとの仕切りとして活用。フローリングと合わせて暖かみのある空間になっていました。

    「キッチンは全てリノベーションしました。LDKを広く取りたいという思いがあって壁付に変更。サンワカンパニーのグラッド45を使っています」(Kariさん)

    作品が自由に飾れるアトリエスペース

    2階に上がって、寝室と対になるスペースとして設けられていたのが、Kariさんのアトリエスペース。リノベーションはせずに以前の住まいのまま使われているのだそう。

    「持ち家なので躊躇なく壁に作品を飾れるのが嬉しいです。日中はここで作品づくりに集中していることが多いですね」(Kariさん)

    「2階左右の部屋に窓をつくってもらったことで、作業中にも猫たちの様子が見られるので安心です。逆に猫たちからもアトリエの中をじっと覗かれています(笑)」(Kariさん)

    この部屋に決めた理由

    朝の習慣から見つけた理想にピッタリの土地

    こだわりの住まいはSさんの習慣になっていた土地探しから見つけられたもの。デザイナーも入ってつくられた住まいは、ひと目ですぐに購入したいと確信できるものでした。

    「1,000万円以下の土地を探していたときは、多くが1970年代くらいの古い戸建てだったのですが、ある朝、今の住まいがリストアップされていたのを発見しました。建築も2000年代、基地みたいな外観にも惹かれ、すぐに内見を申し込んで購入に至りました」(Sさん)

    「他にも3件ほど内見を予定したのですが、全てキャンセルしましたね。最初は古民家のリノベーションも考えたのですが、この住まいの眺めのよさと隣家との距離、廊下がなく開放的なつくりは、どれも理想の住まいの条件にピッタリでした」(Kariさん)

    元の家主さんが亡くられて以降、近くに親戚も居なかったことから空き家に。そのため金額的にも破格で購入できたのだとか。

    自然豊かな環境に長らく放置されていた住まいには、おふたりが最初に訪れた際、壁面にキツツキが住んでいたそう。なんだかジブリの世界のようです。

    残念なところ

    窓が大きいが故に日焼けしてしまう室内

    住まいの特徴でもある大きな窓は、眺めのいい景色をつくり出す一方で、日中にはマイナスに働くこともあるそう。

    「南東に面した窓からは高い建物がない分、たくさんの光が入ってきます。ライフスタイルが朝型ということもあり、まさに日が差し込む時間帯で生活をしているため、室内にいるのに日焼けしてしまうなんてことがよくあります。加えて夏場は室温も上がるため、室内の管理がより大変です」(Kariさん)

    吹き抜けから猫が落ちてしまうこと

    空間を広く見せる吹き抜けも、猫にとっては注意が必要です。

    「たまに手すりに登ってはそのまま昼寝をしていることがあるのですが、起きた際に寝ぼけているのか、そのまま下に落ちているところを目にします。1階側に落ちると高さもあるので、対策を立てないとと考えているところです」(Kariさん)

    お気に入りのアイテム

    形見の大きな姿見

    リビングの窓際に置かれていた、デザインも珍しい姿身は、Kariさんのご家族の形見として、長く使われ続けている大切なインテリアです。

    「18のときに祖母が亡くなって、それから5度、私とともに引っ越しを繰り返して山形までやってきた鏡です。レザーで縁取られた不思議なつくりで、裏面を見ると手作業でつくられたのがよく分かります。おそらく一点ものということもあり、今後も大切に使っていきたいインテリアです」(Kariさん)

    山形への移住を通して虜になった民芸品

    昔から民芸品が好きだったと話すKariさんが移住を機にハマったというのが、山形県米沢市の民藝品である「お鷹ぽっぽ」。

    「サルキリ」という刃物1本のみを使い、伝統職人がひとつひとつ丁寧に木を削りだしてつくった作品で、山形の住まいでは一家に一体いると言っても過言ではない象徴的なアイテムです。

    「最初の出会いは主人と遠距離だったときのビデオ通話で、主人の家の『お鷹ぽっぽ』が画面に写り込んだことがきっかけでした。そこから調べるうちにどんどんハマってしまって、一緒に絵付け体験に行ったり、リサイクルショップで手に入れたりして集めています。まだ持っていませんが復刻版の古代ぽっぽもいつか欲しいです」(Kariさん)

    DIYで更に使いやすくなったダイニングテーブル

    ダイニングテーブルとして使われていたのは、3年前にメルカリで購入されたというケーブルドラム。落ち着いた木の色合いが、住まいにもピッタリです。

    「これより小さなサイズは見かけるのですが、ダイニングテーブルとして使いたいという思いがあったので、大きなサイズを探していたんです。大きいものはなかなかなくて、探すのに苦戦しました」(Kariさん)

    購入後はお部屋に合うよう、自ら手を加えられたそう。

    「自分でオイルステインで色を変えて、高さが足りなかったので大きめのキャスターをつけました。キャスターのおかげで模様替えもラクですし、ストッパーもついているので普段は動く心配がありません」(Kariさん)

    東京で行きつけだったお店の器たち

    キッチン周りのお気に入りは、都内にいたときも行きつけだったと話すグランピエの輸入食器。青が美しくもあたたかみのある器類です。

    「グランピエに行きたいから東京に帰りたいと思えるほど好きなお店です。購入したパキスタンの器やイタリアのピッチャー、モロッコとイランのグラス。インドのホーロー。どれも手づくりのあたたかみがあって大好きです」(Kariさん)

    誰かが使ったものやつくり手の思いが見えるものが好きだと話すKariさん。ご自身がつくり手であるからこそ、使うものにもこだわりと愛情を持って向かう姿が印象的でした。

    暮らしのアイデア

    思い入れのあるアイテムを大切にし続ける部屋づくり

    内装からインテリアまで、統一された雰囲気のKariさんのお宅ですが、部屋づくりにおいてはルールを設けすぎず、幼い頃から養ってきた感覚で“あたたかみのある住まい”を目指しているのだそう。

    「インテリア好きな母の影響で、小学生の頃から自分の部屋は自分で模様替えしたり、インテリアに関する本を買ってもらって素敵なおうちを眺めていたり、テレビゲームで間取りを考えて家を建てたりしていました。そのため部屋づくりの感覚に関しては、自然と養われてきたような気がしています」(Kariさん)

    「家の購入時に揃えた家具も特になく、私が昔から集めていたものと、夫のものを合わせただけで、正直、感覚でつくっている部分がほとんどです。落ち着きのある『あたたかみ』をベースに、住まいをつくっていけたらと考えています」(Kariさん)

    これからの暮らし

    住まいの変化に合わせてそれぞれの時間をより楽しめる空間に

    住まいのあり方が住居単体から住居兼店舗になる中で、おふたりのこれからの暮らしについてもそれぞれ新たな夢が生まれていました。Sさんは自身の趣味の時間を楽しむための小屋づくりを裏庭に計画中。

    「裏庭の雑草がすごすぎてまだ手が付けられていないのですが、今後に向けては綺麗に整えて趣味用の小屋を建てられたらと考えています。空いたスペースに納められている自転車やアウトドア用品を管理したり、住まいに付けられなかった薪ストーブなんかも使ってみたいですね」(Sさん)

    一方でKariさんは、完成したばかりの土間兼店舗を、より人を招いて楽しめる空間にしていきたいのだそう。

    「今はまだ自分のためのスペースになっていますが、この先はもっと人が集まれる場所にしていけたらと思っています。これからのコミュニティの広がりと合わせて、イベントとして定期的に開いていけたらと思いますね」(Kariさん)

    日々の暮らしのメインである住空間の壁や床は、まだまだ元の住まいの形式を残していたり、愛猫との暮らしの中で跡が付けられたりと、手をかけていけないところばかりだと話すご夫妻。

    愛猫たちと紡がれていく暮らしを通じて、住まいの形が、そして在り方がどのように変わっていくのか、これからも目が離せませんね。

    Photographed by tsubottlee

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