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国産木材と無印良品の収納を巧みに活用。収納アイデアが詰まった39㎡ひとり暮らし(東京都東久留米市)|みんなの部屋
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国産木材と無印良品の収納を巧みに活用。収納アイデアが詰まった39㎡ひとり暮らし(東京都東久留米市)|みんなの部屋

2021-10-23 14:00
    東京都は多摩地域の東部。埼玉県とも隣接する東久留米市は自然豊かで落ち着いた雰囲気を持ちながら、近隣には大型の商業施設もある住みよいエリアです。

    そんな東久留米駅から徒歩で10分ほどの住宅街に、今回ご紹介する新井さんの住まいはありました。

    お名前:新井さん
    職業:空間系の商品企画・法人担当(会社員)、proshirout HOME不動産賃貸のホームステージング事業(個人事業)
    場所:東京都東久留米市
    広さ:1LDK/39㎡
    家賃:84,000円
    築年数:43年
    住宅の形態:マンション
    間取り図:

     

    新井さんが住んでいるのは、賃貸ながら自ら設計したリノベーション物件で、退去の際には次の家主を見つけ、受け継いでいくという社内プロジェクトからはじまった物件です。

    出身地である愛知から東京への転勤をきっかけにスタートした、東久留米での暮らし。一軒目に住んでいた物件を退居し、この社内プロジェクトで住まう新たな部屋を探したときに不動産会社から紹介を受けたのは、偶然にも同じ東久留米エリアの物件でした。

    運命を感じながらも選んだ現在の住まいは、挑戦してみたかった「国産の木材」と、新井さんが好きな「無印良品の収納」を活かした空間に。

    本来は2年暮らして次の住まい手に受け継いでいく予定が、居心地のよさから4年を超えても住み続けられているというお部屋について、お話を伺ってきました。





    お気に入りの場所

    節だらけでもそのまま使った無垢材フローリング

    住まいに足を踏み入れてすぐ迎えてくれるのが、心地のいい無垢材のフローリング。賃貸では珍しい杉の無垢材フローリングですが、新井さんの住まいでは使用する木材にも特徴がありました。

    「本来ならパテ埋めするような死節も穴の開いたそのまま使用しています。通常だと埋めるつくり手の手間と時間がかかるため、できるだけそのまま使用できないかと思ったんです。

    実際に使ってみて、この穴がすごく不便かどうかを自分で体感して問題なければ、考えを理解してくれる人たちに向けて販売できるのではないかと思い、この節だらけのフローリング材を選びました。」(新井さん)

    新井さん自身実際に生活される中で、引っ掛かりやゴミが詰まることなどはほとんどなく、問題なく暮らせているのだそう。

    「普通の掃除で何不自由なく使えています。杉は傷つきやすくてあまり好まれない材料ですが、手を掛けるとその傷や汚れが味になる木材です。1年に一度オイルを塗っていて、いい色になってきました。玄関にかけて外から入る日の光に反射する表面の感じがすごく気に入っています」(新井さん)

    友人と一緒に使いやすいキッチン

    フローリングと同じく杉材を活用したキッチンは、見た目と使いやすさを兼ね備えています。ガラス塗料で、水仕事も気にせず行えるようになっているのです。

    「部屋の端から端まで繋がる長いキッチンは、自分はもちろん他の人でも使いやすい仕様にしたいという思いがありました。友人が遊びに来た際に、料理の準備や後片付けをみんなで並んでする景色が気に入っています」(新井さん)

    グラスや器もオープン収納にすることで、収納場所がわかりやすく。

    「どれもこだわりをもって選んでいるものばかりなので、表に出ていても全然気にならないんですよね。日々、眺めてはいいなぁと感じています」(新井さん)

    カウンターの食器棚に使われている木材にも特徴がありました。こちらは「中空パネル」という、丸太から柱材をとったあとに余る端材を有効利用。

    製造の際に必然的に生まれる木口(こぐち)の模様が、なんとも言えない可愛さです。

    同じ国産の木材でもフローリングと同様、実体験してみる意図が込められているところが、住みながらの発見がありそうでワクワクしますね。

    自らデザインした腰高収納

    キッチンと対面にある壁には、キッチンと同じ高さの収納を設置。これは住み手の収納の悩みを解決するため、新井さんがアイデアを出して生まれたものでした。

    「新しい住まいで1から収納を考えるとなると、お金も時間もかかるうえに、何が合うか分からないから困るのでは?という思いがあって、この住まいは『無印良品のユニットシェルフ付き物件』として提案しました。

    あまり見せたくないものを隠せるよう、収納には襖がついています。また収納するもののサイズに合わせてシェルフを組み替えたり、すべて外して広く使用したりと、あとからでも自由に変えられるところもいいですね」(新井さん)

    キャンプが好きで、よく行くと話す新井さん。キャンプ道具はディスプレイゾーンに置き、あえて見せる収納にされていました。

    「ここに置くことで、キャンプに行く時がディスプレイスペースを掃除するタイミングにもなって、いい習慣となっています」(新井さん)

    あえて小さくした玄関収納

    リビングの収納と異なり、元あった収納スペースに手を加えられたのが玄関収納スペース。

    「もともとは天井まで玄関収納があったのですが、圧迫感がすごいうえに必要以上に大きかったので、元の玄関収納を腰高で切り、その上に杉の天板を乗せました。あえて低くした玄関収納は、部屋の顔でもあり、好きなものを飾れるお気に入りの場所です」(新井さん)

    キャンプなどで特徴的な石を見つけては自宅に飾られているという新井さん。玄関のディスプレイスペースには、ペンにピッタリの穴が空いていた石をペン立てとして活用。

    人の手によってつくられた洗練されたプロダクトとともに、自然の中で磨かれた、ありのままのアイテムが共存しているのもまた、空間を魅力的に見せていました。

    この部屋に決めた理由

    縁ある土地で選んだ住まい

    転勤をきっかけに東京での暮らしをスタートされた新井さん。東久留米での生活は、当時の上司の何気ない一言がきっかけではじまりました。

    「東京での生活が初めてであることを上司に伝えた際に、職場が池袋ということもあり、『西武線沿いに住むといい』と勧められて何も考えず、物件を探し住みはじめました。住んでみるとこのエリアの落ち着いた雰囲気が心地よくなってきたんです」(新井さん)

    東久留米での生活をはじめて4年が経った頃に職場で立ち上がった、空き家をリノベーションして自分たちが暮らす住まいにしようというプロジェクト。新井さんが不動産屋さんにオススメされたのは、偶然にも同じ東久留米にある、今の物件でした。

    「『オススメの物件があるのですが、東久留米ってご存知ですか?』と不動産屋さんに聞かれてすごく驚きました。プロジェクトの概要と、リノベーションプランをオーナーさんに提案する流れだったのですが、既に僕が東久留米で生活していたことで、オーナーさんとも円滑にコミュニケーションが進みましたね」(新井さん)

    賃貸でありながら、自分の理想の空間をつくれることがすごくありがたかったと話す新井さん。当初の計画より長く住んでしまっているという東久留米に、土地との縁を感じずにはいられません。

    残念なところ

    優先度を下げてしまった壁のクロス

    住まいで試してみたかったことを詰め込んだリノベーションですが、優先順位を下げてしまったのが壁のクロスでした。

    「本当は塗装がよかったのですが、水回り込みでいろいろとリノベーションしたため、予算的にクロスを使わざるを得ませんでした。ただ長く使っていると、どうしても浮いてきてしまって。壁の雰囲気で部屋はだいぶ変わるので、次住むところは長く住んでも、自分でメンテナンスしながら住めるように、塗装の壁がいいなと思っています」(新井さん)

    お気に入りのアイテム

    ずっと使い続けたいダイニングテーブル

    ダイニングで広々と使われていたテーブルは、前の住まいから使っていると話す​​無印良品のREAL FURNITUREシリーズの1点もの(節ありシリーズ)。定番商品は節なしですが、この「節ありシリーズ」は期間限定となっていた家具です。

    「前の家から使っているテーブルで、このテーブルを生かしたくて広い部屋に引っ越したというのもあります。

     使い込むほどに味がでて、節や割れや反りもとにかく愛着があってとても気に入ってます」(新井さん)
     

    幅180cmと、4人掛けでも余裕のある大きなテーブルを購入された背景には、みんなで食卓を囲みたいという思いがあったそう。

    「すでに十分な広さが確保できていたので、昨年急遽はじまったテレワークの際も全く不便がなかったですね」(新井さん)

    テーブルのみならず、合わせて使う椅子にもお仕事柄のこだわりがありました。

    「仕事柄、お客さまにインテリアのプラン提案を行うため、実際に自分自身が使って感じたリアルな感想を活かせるように、わざとデザインが異なるものを使っています。

    このテーブルはいろんなデザインの椅子を合わせやすいのも、購入してよかったと思えるポイントの1つです」(新井さん)

    DIYでつくった理想の傘立て

    DIYでの工夫も光る新井さんのお部屋。中でも傘立ては住まいのコンセプトともマッチしている納得のアイテムになっていました。

    「住まいのテーマである“国産木材の活用”の中で、柱の端材をもらい、穴を開けてセラミック塗料を塗っただけの傘立てです。

    使い道の難しい柱の端材を有効活用できたことはもちろん、傘立てってなかなかいいのがなかったので、理想の傘立てがつくれて大満足でした。水に弱い杉の木でも、工夫次第で腐食もなくずっと使っていけそうです」(新井さん)

    使い方が自由自在なお気に入りの照明

    照明は明るすぎず落ち着きのある間接照明を多く使う中で、お気に入りだと話されていたのがFLOSの照明。ずっと欲しかったもので、今回の住まいでようやく手に入れることができたアイテムでした。

    「とても好きなデザイナーの作品で、『置いてもよし』『掛けてもよし』『持ってもよし』という、最高にクールな照明です。しかもとってもお買い得。買わない手はないと思えるほどオススメです」(新井さん)

    海外から買い付けに行ったパイン材のカゴ

    リビングの奥で存在感を見せていたのが、色合いも美しいパイン材のカゴ。つくられる過程から新井さん自身の目で見て、思い入れ深くなったアイテムです。

    「“世界のカゴ”という企画を商品開発時代にしていた時に、実際にエストニアに買い付けに行った思い入れのあるカゴです。工場が持っている森で伐採されたパインから、できていく過程を見学させてもらいました。

    新品のものだけでなく、現地で30年以上使われているものも見せていただき、ずっと大切に使い続けていきたいと思えたアイテムです」(新井さん)

    暮らしのアイデア

    収納を高さから考える

    個人でも整理収納アドバイザーの資格を持たれている新井さんが、今回の住まいを通して考えたのが、見せる収納と隠す収納が共存する空間でした。共存のキーワードは「高さ」にあります。

    「収納の議論で、見せるか隠すかはよく論点になると思うのですが、僕自身は両方大切ではないかなと考えています。隠す理由は他人に見せたくない、自分も見たくない。見せる理由は使いやすさや見ていたいくらい好きだとか、線引きは明確なんですよね」(新井さん)

    「使いやすさや見やすさとは、自分の腰高から目線の高さにあること。一方で消耗品など見たくないものは視界に入りづらい腰より下に置いてしまえば、分かりやすく、整理もしやすいんじゃないかなと思い、試したところ、その通りだったのがこの住まいでした。

    こうすると手放していいものも明確になって、ものを見直す時は下を重点的に見直せばいいなど、管理もしやすくなります」(新井さん)

    収納を考える上では自分の性格を理解した上で、その場所に合った手法を実践することが大切だと話す新井さん。高さと同様に細かくルール設計をされているのかと思いきや、案外雑にやられていることも多いそう。

    「収納に関しての本や情報は多くあると思うのですが、最初からあまりにも決め込みすぎるのはハードルが高いため僕には合っていなくて。とりあえずざっくりでも何が入っているかを明確にしておけば、その中身は細かく仕切ったりしなくてもいいと思っています」(新井さん)

    新井さんはシェルフに入れる収納用品にシールを付けて、イラストで分かりやすく種類分けをしていました。

    こうすることで引越しなどの際にも収納用品ごと移動ができて、引越し先でも再度整理する必要がないため便利なのだとか。まずは簡単にはじめる最初の1歩ということで、自分の住まいでも実践してみようかな。

    これからの暮らし

    暮らしを通じて気分が上がる生活を送りたい

    最近まで更新日の関係で新しい住まいを日々探されていた新井さんですが、現在の物件の取り壊しが4年後に決まったことで更新料がかからなくなったことから、次の部屋を時間をかけて吟味することにしたのだそう。

    「次の部屋は探し中なのですが、今後ちょっとやりたいことがあるので、『広い』『倉庫と店が付いている』『DIYできる』『車が停められる』この4つの要素を持った物件を探しています。ただ、当然そう簡単には見つかりません(笑)」(新井さん)

    「自分は定住するタイプでもないかなぁと思っているので、暮らしやすさというよりは多少不便があっても日々の生活を通じてテンションが上がるような暮らしを追求したいですね」(新井さん)

    本業の傍ら、ご自身の新たな事業proshirout HOMEでも住まいや暮らしに寄り添い、仕事の幅を広げられている新井さん。

    住み手のためにはもちろん、ご自身のために、今後どんな空間を創り出されるのか。これからの発信にも目が離せません。

    Photographed by tsubottlee

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