いくつかある巡礼ルートの内、スペイン国内のルートはその美しさから、世界三大巡礼路の一つとして挙げられます。世界でも珍しく1993年に道そのものが文化遺産に指定されました。
フランスからピレネー山脈を越え、続くこの道はおよそ800キロ。
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シンボルのホタテ貝の印を頼りに、徒歩で約一か月かけて歩くのが本来ですが、現在では自転車や馬車の巡礼も認められています。
異教徒であっても宗教を持たない人でも、世界中すべての人にこの道は開かれています。
道中はすれ違う人たちと「ブエン・カミーノ!(よい巡礼を!)」と挨拶を交わしながら道に点在する教会を巡礼します。巡礼者用の宿に泊まりながら、さまざまな出会いと別れを繰り返し、進む道はまるで短いもう一つの人生のようです。
その美しさは、景観ばかりでなく、ただひたすら目的地に向かって歩くことで、自分の心の中に見つけることが出来るのかもしれません。
スペイン人なら誰でもが憧れるというこの美しい道。
思いつきで4年程前の夏、2週間の休みを取って自転車を抱えて行ってきました。
宿泊はほとんどが無料の「アルベルゲ」と呼ばれる宿で、事前予約は必要ありません。その日にたどり着いた街で宿を探します。もしその街ですべての宿が満室だった場合は、次の街まで行くか、野宿が強いられます。
想像以上の過酷さに耐えられず、泣き過ぎて倒れそうなところをボランティアの人に助けられたこともありました。そのとき出会った方に「いつでもまた再スタートが出来るのだからここで諦めても良いんだよ」と励まされたことや、道中何となく一緒に旅をすることになった、イタリア人の陽気な親子に助けられたことで、私は何とかゴールすることができました。
こちらが最終地点のサンディアゴ。到着した時は、感動のあまり泣いている人、抱き合って喜んでいる人、ただただ呆然と荘厳な教会を目の前に立ち尽くしている人、それぞれの思いが姿になって、生まれ変わっているような場面でした。
今でも私の中で、1番の自慢の旅です。
一度訪れてみてはいかがでしょうか。
旅についての詳細は以下のサイトよりご確認ください。