働く理由は一人一人違いますが、ひとつ共通しているのは、接客や料理を通じて生まれる「笑顔」が好きということ。そんなスタッフが思い入れのあるレシピを、エピソードと一緒に紹介します。
第六回目は、212キッチンストア・長岡店 西脇 麻衣子よりお送りします。
生まれ育った所のすぐ近くを流れる信濃川の河川敷
私の母は、毎日朝から晩まで忙しく働く美容師でした。
「趣味は仕事。お母さんのカットや着付けじゃないとダメってお客さんいっぱいいるから。」と、誇らしそうに話す姿が印象に残っています。
毎日忙しいので、基本的に手のかかる料理は作らない人でした。そしてそれは、子供の頃の私の不満でもありました。
「おかず、これだけー? 肉食べたかったー!」
「お母さんだって疲れているんだから、そんないっぱいおかず作らんねーて!」
…なんて会話もしばしば。
いつもより少し手の込んだ料理が並ぶの母の休日を、毎週楽しみにしていたことを覚えています。
休日は、普段ゆっくり話す時間が無い私も台所に行き、料理をする母の横で、学校のこと、友達とのことを話したり、欲しい物のおねだりしたり…貴重な会話の時間でした。
夏はこの河川敷で長岡の花火大会がおこなわれます
母が料理をしているのを見ながら、作り方を覚えた料理もいくつかありますが、「これだけは、あんたも作れるようになりなさい」と言われていたのが、新潟の郷土料理『のっぺ汁』。
家庭ごとに味や具材も少しずつ変わりますが、お正月に食べることが多い料理です。
私は、母の作ったのっぺ汁が大好きでした。もちろん味も美味しい。でも、材料を小さく切ったり、だしを取ったり、手間がかかる料理を作ってくれることが、何より嬉しかったのです。
昨年末、母の作っていた手順、材料でのっぺ汁を作ったつもりが、なにか少し物足りなく感じました。
もう一度、母から作り方を教えてもらいたかったのですが、数年前に病気を患ってしまいました。美容師の仕事も辞め、ハサミも持てなくなってしまい、もちろん包丁も握れなくなってしまいました。
今度は私が母に、のっぺ汁を作ってあげる番。いつか、「おいしい」と言ってくれるでしょうか。もっと母の味に近づけるよう、この年末も挑戦します。
「お母さんが作る、のっぺ汁」
【材料】(4~5人前)
・干し椎茸 6枚
・干し貝柱 4~5個
・水(干し椎茸・干し貝柱の戻し汁)2カップ
・里芋 4~5個
・人参 1/2本
・蓮根 7㎝くらい
・かまぼこ 1/2本
・ちくわ 3本
・こんにゃく 1/2枚
・銀杏(水煮缶詰) 1缶
・白だし 大さじ3
・酒 大さじ2
・塩 適宜
・薄口しょうゆ 適宜
【作り方】
1. 干し椎茸・干し貝柱を2カップの水でもどしておく。
2. 干し椎茸、里芋、人参、蓮根、かまぼこ、ちくわは食べやすい大きさの角切りに。干し貝柱は手で裂いておく。こんにゃくは食べやすい大きにちぎっておく。
3. 鍋にそれぞれの戻し汁、白だし、酒を入れ火にかけ、2を入れて柔らかくなるまで中火で煮込む。
4. 柔らかくなってきたら銀杏を入れて混ぜてさらに5分程煮込む。
5. 最後に味をみて、足りなければ塩や薄口しょうゆで味を調節する。
これまでの想い出レシピはこちらから。
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