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次回配信予定

  • 2026/09/17

    コラム『結論未満』第4回「完全勝利」

  • 2026/09/24

    コラム『結論未満』第5回「他人の傷」


結論未満
第3
回「
言い直せない台詞」

いい年をこいて、人見知りである。
子どもの頃なら「人見知り」で済むが、大人になると「無愛想」「感じが悪い」「なにを考えているのか分からない」など、別の呼び名を与えられる。症状は変わっていないのに、年齢とともに呼称だけが深刻になる。
小学生の頃までは、まだマシだったように思う。中学生になってから、人と話すことが苦手になった。友人は一人もできなかった。高校でも同じだ。休み時間になると机に突っ伏し、寝たふりをして、他者を断絶しながら時間が過ぎるのをただやり過ごしていた。
眠っている人間には、誰も話しかけない。話しかけられても、眠っているので答えなくてよい。大変に便利である。ただし、本当に眠っていたわけではない。周囲の会話を聞きながら、早く休み時間が終わればよいと思っていた。
のちに僕は役者になるが、考えてみればあの頃からすでに演技をしていた。自分が最初に

二人芝居『Equal-イコール-』改訂版 上演台本

作:末満健一



■第一幕「月曜日」

──錬金術は、かつて実在した学問である。
──決してつくり事ではない、現実と地続きの学問である。
──鉛を黄金に、肉塊を命に変えようとした。
──現代化学の礎となった学問。
──だが、その錬金術は歴史の表舞台から姿を消す。
──錬金術は失われた学問である。

時代は判然としないが、季節は秋口。
屋根裏のような手狭な部屋。
その部屋には色彩がなく、
まるで部屋全体が灰色の硝子越しに見たような光景である。
部屋の片隅には質素なベッドが置かれている。
ベッド脇には木造りのテーブルがあり、
その上に水差しが置かれている。
窓際に置かれた机でニコラ・フラメルが書き物をしている。
ニコラは時折、書き物の手を止め、渇いた咳をする。
街の時計塔の鐘の音が微かに聞こえる。
部屋の扉が開き、テオ・ホーエンハイムが入

結論未満

回「片づかない机

自分の机は、片づかない。
いま机の上には、いくつもの公演に関する資料がある。上演台本、打ち合わせの書類、まだ目を通していない資料。その隙間に日用品があり、過去の公演のパンフレットがあり、まだ読んでいない本がある。お世話になった人の形見の品もある。仕事と生活と過去が、特に区分されることなく乱雑に置かれている。
古いおもちゃもある。ずいぶん前に頂いたもので、もうぼろぼろである。飾っているというほど丁寧に扱ってはいない。かといって、捨てようとも思わない。頂き物なので捨てるに捨てられず、机の上に居続けている。大切に保管しているわけではないのに、手放すことだけはできない。物に対する態度として、だいぶ中途半端である。
まだ読んでいない本も積まれている。読もうと思って買ったのだから、いつかは読むはずである。問題は、その「いつか」がいつなのか決まっていないことだ。本は

執筆集

近況報告コラムや、これまで書き溜めてきた舞台・映像作品の脚本などの読み物を掲載していきます。

著者イメージ

末満健一ブロマガ

脚本家・演出家・構成家・俳優・グラフィックデザイナー。1976年6月18日生。大阪府出身。2002年演劇ユニット「ピースピット」を立ち上げ、大阪・東京にてボーダーレスに活動 を行う。2012年4月からワタナベエンターテインメント関西事業部にて立ち上げられた劇団「劇団Patch」の総合演出を務めた。終末観や退廃美が特徴的な脚本・演出に独自の魅力が光る。特技はグラフィックデザイン。近年の代表作には、『COCOON 月の陰り星ひとつ』『マリーゴールド』『グランギニョル』『K』『刀剣乱舞』などがある。

http://www.watanabepro.co.jp/mypage/60000017/
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