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記事 18件
  • ■久瀬太一/7月26日/24時30分

    2014-07-27 00:30  




     バスはトンネルの中を走っていた。
    「箱は開きそうか?」
     ときぐるみが言った。
     オレは首を傾げる。
    「たぶん大丈夫だろ」
    「そりゃよかった」
     ああ。だから今日のテーマは、オレの生き死にじゃない。
     バスがトンネルを抜け、目の前に未来が現れる。
           ※
     未来の景色が変わっていた。
     7月27日、20時。
     オレがいるのは、狭苦しいホテルの一室だった。今日、チェックインしたホテルの部屋に、馬鹿みたいに突っ立っていた。
     目の前にはあのサングラスがいる。サングラスはオレに、拳銃を突きつけている。
     バスの中のオレは、その様子を観察する。
     ――やっぱり、箱に発信機がついているのか?
     そうだとしか思えない。でも、だとしてもおかしい。なぜこいつは部屋の中にいる? 明日のオレが鍵を開けるはずなんてないのに。
     サングラスは言った。
    「箱はどこだ?」
     未来のオレは、やはり驚

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  • ■佐倉みさき/7月26日/24時15分

    2014-07-27 00:15  



     身動きがとれなかった。
     私は拳銃と向かい合ったまま震えていた。
     背中の方向から、足音が近づいてくる。それがすぐ近くで止まり、視界の片端に奴の足が入り込む。
     死にたくなかった。殺される、と思った。でも。
    「散らかすんじゃねぇよ」
     サングラスはそう呟いて、拳銃を拾い上げただけだった。
     ――部屋を散らかしてるのは貴方でしょ。
     そう言ってやりたかったけれど、たとえ口にガムテープが張られていなくても、声を出せた気がしなかった。
     ひどく喉が渇いている。



    もっち @mochi_0307 
    小説更新!とりあえずみさきさんは無事です!  
    桃燈 @telnarn 
    みさきちゃん、ずっと縛られてておトイレ大丈夫なのかなぁ。 
    あわねむ@ソルカナダ班(違) @Awanemu04 
    撃たれなくて良かったとだけ…。  

    ※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させ

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  • ■佐倉みさき/7月26日/24時

    2014-07-27 00:00  


     丸一日、私はフローリングの上に転がっていたのだった。
     人間というのは意外と環境に対応するもので、私は両手両足をしばられ口にガムテープを貼られたまま身体をストレッチする方法を習得しつつあったけれど、とはいえ腕も足も可動範囲が極めて制限されているから全身の筋肉が強張って気持ちが悪い。これまで肩こりとは無縁の人生を送ってきたけれど、そうもいっていられなそうだ。
     サングラスは部屋の明かりもつけないまま、大きなテレビで長い時間古めかしいロボットアニメをみていた。でもそれもひと段落したのか、サングラスはソファから立ち上がって「コンビニいってくる」と呟いた。
     それは私に語りかけたというよりは、独り言に近いように聞こえた。サングラスは誘拐犯だというのに、その被害者にはほとんど無関心だった。彼はだいたいスナック菓子を食べていて、私には2度、コンビニのおにぎりとミネラルウォーターが与えられた。その

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  • ■久瀬太一/7月26日/23時

    2014-07-26 23:00  




     そうだ、と思い返す。
     オレは明日の20時までは無事だし、みさきは8月24日まで無事なんだ。
     胸の中で繰り返すと、ずいぶん落ちつけた。
     ――あのサングラスが、明日の夜やってくる。
     そのことを冷静に考えられた。
     バスの中のきぐるみは言ったのだ。「また明日会おうぜ」と。
     今夜、オレはもう一度、自由に動ける。
           ※
     コインロッカーを開き、4つの錠のかかった小箱を取り出した。
     オレはソルからのメールを読み返し、笑う。
     ――2番目の南京錠ってどれだよ。
     鍵を詳細に確認しても、それはわからなかった。
     なんとなくで、向かって左下のものを選ぶ。
     ――右左左左右下左下左。
     鍵は開かない。赤いランプが点灯するだけだ。
     とくに慌てず、オレは次に、右上の南京錠で同じ入力をする。
     カシャン、と気持ちのよい音が聞こえて、それがひらく。
     もう驚かなかった。ソルはオレに

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  • ■謎まとめ/7月26日/パネルゲーム謎

    2014-07-26 22:59  

    ※ここには読者が解き明かした謎の内容が記されています。自らの手で謎を解き明かしたいという方は、この記事を読み飛ばして次ヘ進んでください。
    《読み飛ばす》
    QED @qed223
    踏んだマスに隣接するマスも変わるのか?
    で、正解のルートがそのまま鍵になっている、と
    みどばち @midobachi3
    ひえーこれを文章から読み取って解けと?w
    amor000@bell情報ディーラー @nagaeryuuiti
    みたいですね。これはなかなか難解です……
    RT @qed223 踏んだマスに隣接するマスも変わるのか?
    で、正解のルートがそのまま鍵になっている、と
    VIOLA@ソルコミュ!オーナー @viola_vfreaqs
    法則に従って迷路的なゲームを解くのか…
    これは状況を書き出していかないと分からないな。
    QED @qed223
    白白黒黒
    白白黒黒
    黒白白白
    白黒黒白
    初期配置あってる?

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  • ■謎まとめ/7月26日/自由律謎

    2014-07-26 22:58  

    ※ここには読者が解き明かした謎の内容が記されています。自らの手で謎を解き明かしたいという方は、この記事を読み飛ばして次ヘ進んでください。
    《読み飛ばす》
    あわねむ@ソルカナダ班(違) @Awanemu04
    ホメロス…?wiki見ましたが吟遊詩人だそうですね。メリーのこと?タイトル推察なだけなので内容確認しま。
    KURAMOTO Itaru @a33_amimi
    @KaedeMattyalv ばっちしです!お疲れ様です!(アキバにあったドキュメントと似てます)
    あさって @sakuashita1
    法則を見つけてどの句が使われたのか…ですか…
    VIOLA@ソルコミュ!オーナー @viola_vfreaqs
    尾崎放哉と言えば「咳をしても一人」とか、「こんなよい月を一人で見て寝る」なんかの自由律俳句で有名ですね。
    みなみ@院生になりました @minamin0730
    咳しても一人 かな?咳払いし

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  • ■久瀬太一/7月26日/22時15分

    2014-07-26 22:15  



     次の駅につくころに、ソルからの返信があった。
           ※
     佐倉先輩がどこにいるかは流石に私達にも分かりません。ですが、久瀬先輩も知ってのとおり、まだ彼女が死ぬまで余裕はあります。今は俺達に出来ることをやりましょう! あなたが死んだら、もう私達は彼女を助けられなくなるんです
           ※
     オレはゆっくりと、深呼吸のようなため息をついた。
     ――そうだ。
     皮肉なことだが、あの不吉な夢が、確かに今のオレには救いになる。
     そっとソルへメールを入力する。
     送信ボタンを押すと、左上で、小さなマークがくるくると回った。
     その直後に、また電波がなくなった。




    子泣き中将@優とユウカの背後さん @conaki_pbw 
    いや知らないよりはいいさ。グラサンが現れるのは明日だから頭冷やす時間はある  
    みや @staknnds 
    久瀬くんを落ち着かせるのもだけど、まずTLのみ

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  • ■久瀬太一/7月26日/22時10分

    2014-07-26 22:10  




    彼女は7月25日22:00時点では、どこかのマンションらしき部屋にいた。彼女を捕らえたサングラスの男性も部屋にいた。それ以降はわからない。
           ※
     ――あいつか。
     オレはスマートフォンを強く握りしめる。
     やっぱり、あいつなのか。
     考えれば、当然、推測が着くことだ。
     明日の意味がまったく変わったように思った。
     夜、みさきを誘拐した男が、オレの前に現れる。




    雑食人間@3D小説参加中 @zassyokuman 2014-07-26 22:12:19
    サングラスの男がキーワードっぽい? 
    ちょくし@[3D小説 bell]参加中 @DodoRoku 2014-07-26 22:11:57
    久瀬君沸騰してんぞ(汗)  
    VIOLA@『ソル』自称ニコ生担当 @viola_vfreaqs 2014-07-26 22:13:17
    久瀬君落ち着いた判断できるか不安だな…

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  • ■久瀬太一/7月26日/22時

    2014-07-26 22:00  



     ホームに着いたとき、またメールが届いた。
     それをひらいて、息が詰まる。
           ※
     佐倉みさきさんが、また連れ去られました!
           ※
     予想は、ついていた。
     相手が複数犯だったこと。みさきがまだ、家に戻っていないこと。
     充分想像していたのに、でも事実を突きつけられると衝撃的だった。――しかも、ソルからのメールだ。
     オレはゆっくりと息を吸って、吐き出す。 それから彼らに、メールを送る。 ――今、みさきがどこにいるのか、知っているのか? 目の前に電車が滑り込んだ。
     なんだか奇妙に体力を使って、オレは足を踏みだす。 


    capo @caporello 2014-07-26 22:02:19
    この話が動き出した時のツイッターと小説の疾走感がほんと楽しい  
    りー @rie_8n 2014-07-26 22:05:12
    どうすんの……。  
    てそらさん@ただいま

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  • ■久瀬太一/7月26日/21時50分

    2014-07-26 21:50  



     ポケットの中で、またスマートフォンが震える。
     オレは駅に向かって走りながら、それを確認する。
           ※
     質問ばかりで本当に申し訳ない.子供のころ佐倉みさきについた嘘の内容は? あなたの父親の職業は? クリスマスパーティの開催場所と主催者を覚えているか? 佐倉ちえりの現状を知っているか?
           ※
     オレは歩調を緩めた。
     ソルは、どうしてこんなに事情に詳しいんだ。
     少し、迷う。
     ――みさきとの約束。
     それは、彼らにとって重要なことなのだろうか?
     わからない。だが、今さら彼らに秘密を作りたいとは思わなかった。
     それでも心理的な抵抗があり、できるだけ簡潔に答える。
     ――みさきとの約束は、簡単なことだ。彼女の幸せを祈る、という風な。
     父の仕事というのも、なぜそんな質問がくるのかよくわからなかったが、素直に答える。父はある商社に勤めている。まあ、一般的なサ

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