今回のフェアでは地球の奥深くに眠るキラキラした結晶である鉱物たち、その自然の神秘が生み出した魅力を、イラストレーター・内田有美さんの描く精密なイラストで表現した『石の辞典』(発行:雷鳥社)を取り上げます。美しいイラスト原画とともに、実物の石も展示・販売される同フェアでは、色や形にはじまり、硬さや輝きといった石の個性を身近に感じながら、鉱物を愉しんでみる、またとない機会となっています。
今回、書籍『石の辞典』に収められた115点もの鉱物画の中から、内田有美さんご自身が選んだ25点が展示されます。写真のようにリアルでありながらも、手描きの優しさや温かみのある貴重な原画を間近で楽しめるほか、その原画自体も販売します。『石の辞典』では、モース硬度という硬さの順に石が紹介されていて、ページをめくるたびに登場する石が硬さを増していくというユニークな構成となっています。著者・矢作ちはるさんの解説文はたいへんわかりやすく、鉱物の知識やコラムも充実しています。鉱物好きはもちろんのこと、これまで鉱物に関心のなかった方でも読み進めるうちに鉱物の世界に引き込まれます。この『石の辞典』をメインに、鉱物関連の書籍もさまざまに用意し、鉱物への興味が広がるフェアとなっています。
原画展示に合わせて、鉱物標本も展示・販売。イラストと実物の石を同時にご覧いただくことができます。また、鉱物イラストのハンカチやバッチなど、グッズも用意され、さまざまな鉱物の魅力が堪能できる空間に仕上がっています。
今回のフェアは、メインとなる書籍に収録されているのが鉱物の写真だったら、イベントがオンラインだったら、成立しない体験価値でしょう。鉱物のひとつひとつをスーパーリアリズムの手法で描き、印刷物・原画だからこそより仔細にそのテクニックを眺めることができる、さらに書店という場所だからこそ”本物の鉱石”と比べられるというのが今回のフェアのポイントとなるところ。アナログな良さがあるものには、とことんデジタルを介在させないことで、インパクトをつくるのが効果的という好例といえそうです。