「IDEAS + INNOVATIONS」がキャッチコピーのカルチャー&ビジネス誌『WIRED』最新号(VOL.6)では、「THE AGE OF GLOBAL GAMING」と題したビデオゲーム特集を組んでいます。
「ゲームの世界標準を探る」というテーマの興味深いレポートが掲載され、ゲーム専門誌やおじさま向けビジネス誌とは違った、実に『WIRED』らしい切り口で現在のゲームを巡る状況、そのホットスポットがまとめられた特集です。
以下より、簡単に各記事の内容をレポートしますよ。
「水口哲也が案内する業界未来地図 ゲームの未来を読み解くキーワード10」......『Rez』『Child Of Eden』のクリエーターである水口哲也さんの記事は、現在注目されている10個のキーワードからゲーム業界の未来を予想するもの。「クラウド」「ソーシャルゲーム」「フリーミアム」のような流行のトピックをお手軽に一望できるコラムなのですが、「メディアアート」というキーワードが入っているのが水口さんらしいです。
「UNREAL 4:THE IMAGINATION ENGINE」......Epic Gamesのゲームエンジン「UNREAL 4」についてのレポートですが、取材時期が今年のE3前後のためか、少々情報が古いです(特に速報性を云々するようなレポート内容ではないですが)。名物クリエイターのクリフィBことクリフ・ブレジンスキーさんが、まだEpicの人間として取材を受けていたりするのが感慨深い(クリフィBは今年10月にEpicを退社しています)。
「MINECRAFT CHANGING THE GAME」......みんな大好き『マインクラフト』のクリエイター、ノッチことマルクス・ペルソンさんと彼の会社Mojangに密着したレポート。『マインクラフト』がヒットするまでの軌跡とこれからの展望、同じくインディーズから超ヒットを飛ばした『アングリーバード』の開発会社Rovioとの対比が興味深い記事です。
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Rovioは新しいディズニーになりたい、とコメントしている。「それならわれわれはピクサーに近い立場を取るね」と、ペルソンは言う。
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という発言がいかにもノッチらしい!
では、その『アングリーバード』のほうはどうだったの? というのが「WHY ANGRY? WHY BIRDS? THE SECRET OF ANGRY BIRDS」というレポート。アメリカや日本ではなく、北欧の小さな開発会社がiPhoneゲームとしてメガヒットを飛ばし、「怒れる鳥」をゲーム業界に留まらせず、世界で最も有名なキャラクターにまで育て上げた様子を描く記事です。
その他にも、韓国のe-Sports/プロゲーマー事情をレポートした記事や、従来のゲームメディアとは一線を画すアーティスティックな誌面デザインで話題を呼んでいるフランスのゲームカルチャー雑誌『AMUSEMENT』編集長へのインタビューなどなど、なかなかの読み応えのある特集となっていました。
今回の特集では「GLOBAL GAMING」というタイトルの通り、さまざまな国のインディーズ系ゲームカルチャーの翻訳記事がメインとなっていましたが、では一方で日本のインディーズ系ゲームカルチャーはどうなっているのか? を『WIRED』らしい切り口で見せてほしかったかな、というのが無い物ねだりではありますが、ちょっと残念なところ。
例えば「同人ゲーム」は海外で言うところの「インディーズ」とはまた違った独自のコミュニティ(そしてビジネス)として現在の日本ゲーム業界では無視できない存在ですし、最近ではSteamなどデジタル配信サービスを使って「世界市場」へ挑戦する作品も出てきました。また何年か後に『WIRED』がゲーム特集をしたときには、この辺もフォローされるくらいの存在感に育っているといいなあ、というのが個人的な希望です。
なお、11月27日には今回の特集を記念したイベントとして、『WIRED』編集長・若林恵さんと「GameBusiness.jp」編集長・土本学さんのトークイベント「いま『ゲーム』はどんなメディアを必要とするか?」が下北沢のB&Bで行われるとのこと。詳しくはイベント告知ページをご覧ください。
[ WIRED ]
(マコ小林)
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