燃え尽きるほど80年代な愛と友情のディストピア血みどろアクション映画『ターボキッド』。今回は本作の監督である3人組「ROADKILL SUPERSTARS」にインタビューして参りました。
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80年代のエンターテイメントへの情熱がつまった、そして日本の意外な作品の名前も飛び出す言葉の数々は以下より。各キャラクターを演じる俳優陣のインタビュー映像も併せてご覧ください。
「ターボキッド」として戦うことになる主人公キッド(マンロー・チェンバーズ)
――本作の80年代要素満載の世界観が、現代の観客に好評な理由はなんだと思いますか?
ROADKILL SUPERSTARS(以下、RSS):この作品のメインテーマがノスタルジーなので、人々の心の奥に眠っている子供心に響くんだと思います。
今25歳~35歳くらいの年齢層が80年代に育ってきているということは、現在の映画製作者たちの多くがこの時代に影響された作品を作っていることからもわかります。
そういった作品を通じて、今の若者たちが80年代に青春時代をおくったことがいかに素晴らしいか、当時が映画製作においていかにクレイジーで、極端で、とんでもない時代だったかを知る良い機会になっていると思いますね。
――本作の舞台が1997年である理由はなんでしょうか?
RSS:子供の頃に観た当時の映画で、未来を描いたものはすべて90年代が舞台でした。あの頃は「90年代」が世界の終末やアポカリプスと同義語だったんです。
そういったジャンルの作品で描かれている、うたわれているのは、90年代以降に人類が生き残るチャンスはわずかであるということ。この流れからして『ターボキッド』の世界観では、ダークな90年代を舞台にするのが自然だったんです。
後は、2015年の映画にもかかわらず「これは未来だ。これは1997年だ。」というキャッチコピーがつけられるのが最高だと思ったというのもあります。
――過去作の『BAGMAN』(リンク先閲覧注意)にもありましたが、アクシデント的に連鎖する笑えるアクションと残酷描写が本作では多々登場します。あのような演出を好むようになったきっかけはなんでしょうか?
RSS:「映画監督になりたい」なんてことはまだ一切考えていなかった、まだ幼い子供の頃に私たちはピーター・ジャクソン監督の『ブレイン・デッド』に出会いました。
『ブレイン・デッド』のゴア、スプラッターなアクション描写に多大な影響を受けているので、私たちは一連の複雑な流れの中でのタイミングやリズムで遊ぶのが好きなんです。
他にも、『力王』や『子連れ狼』の大ファンなので、まあショックよりもゴアで楽しませることのほうが好きですね。
悪役ゼウスを演じるのは
『スターシップ・トゥルーパーズ』、『トータル・リコール』、『スキャナーズ』
などでおなじみのマイケル・アイアンサイド!
――レトロゲームからの影響を感じられるシーンも多々ありましたが、具体的に参考にしたゲームはあるのでしょうか?
RSS:80年代の映画や土曜日に放送されるアニメ作品同様、レトロゲームも『ターボキッド』に大きな影響を与えているものの1つです。
私たちは3人ともゲーマーでもあるので、『ロックマン』や『ゼルダの伝説』から多くのヒントをもらっています。この2本は間違いなく、私たちの好きなレトロゲームTOP5に入ります。
――何度か登場するダクトテープを使いこなすシーンが印象的で、過去、現在、そして未来において、ダクトテープの万能さは最強だと感じました。あのような描写は、実際にダクトテープに助けられた経験がもとになっているのでしょうか?
RSS:最高の質問ですね! ダクトテープは私たちのベストフレンドです。本作の撮影でも使わない日はありませんでした。
ダクトテープは我々の活動の一番最初から、DIYな映画監督やスペシャルエフェクト技師などにとって、なくてはならない最も重要なものです。もちろん『ターボキッド』でもさまざまな色のダクトテープを用意しました。
だから劇中でも、私たちの一部を投影する意味でキッドにダクトテープを与えたんです。資源が枯渇して何もない中でも、キッドは何でも利用します。彼はクリエイティビティにあふれているんです。
キッドとアップル(ロランス・ルブーフ)の恋の行方は?
――ラブストーリーの要素を描く上では、どういった点に気を使いましたか?
RSS:短編の『T is for Turbo』がスプラッターバトル描写のみの作品だったので、長編映画にするためには何か別な強力な要素が必要だとわかっていました(※編集部注:元々『ABC of DEATH』へ応募したこの作品がきっかけで『ターボキッド』は製作された)。それが「物語のハート」(と我々は呼んでいます)です。
本作は友情の物語であり、次第に主人公2人のラブストーリーへとつながっていきます。我々にとってラブストーリーを手がけるのは初めてだったので、大きなチャレンジでしたし、とてもリスキーでした。でも同時に、このラブストーリーが起こり得る、信じられるものであれば、あれだけスプラッターゴア、バトルシーンがあっても、観客はキャラクターに感情移入できると思ったんです。
友情/ラブストーリーの側面に最も影響を与えたのは『ネバー・エンディング・ストーリー』と『グーニーズ』、『La Guerre des tuques(毛糸帽の戦争)』(80年代のケベックのクラシック作品で、冬休みに巨大な雪のお城を作って雪合戦を始めるキッズの話)などですね。
超絶かわいいアポたん
汚物は研削だ! なスケルトロン(エドウィン・ライト)
――シンセバリバリのBGMも印象的ですが、他の音楽ジャンルを使用するという選択肢はなかったのでしょうか?
RSS:音楽はモントリオールの素晴らしいバンド、Le Matosが手掛けてくれました。面白いことに2人のメンバーのうちの1人、ジャン・フィリップ・バーニアーは『ターボキッド』の撮影監督でもあるんです。
シンセサイザーがメインとなる音楽を使うのは『ターボキッド』の世界観からして、自然な流れでした。Le Matosは最高の仕事をしてくれましたし、我々は彼らを心底信頼しているので、すべて任せて、ほとんど何も注文は出していません。それでも完璧でした。
彼らも私たちと同じ80年代キッズで、同じものから影響を受けて育ってきています。もちろん、私たちもジョルジオ・モロダーやジョン・カーペンター、タンジェリン・ドリームの大ファンです。そして、彼らの音楽も『ターボキッド』に影響を与えています。
――本作は昨今のアメコミヒーロー映画とは一味違うコミックテイストなヒーロー映画でもありますが、コミック原作の作品を手掛けることに興味はありますか?
RSS:アメコミヒーロー原作の映画化にはすごく興味があります。クリエイティヴに活かせる、このジャンルへの洞察力もかなりあると思いますしね。結局、私たちはみんなオタクなんです(笑)。
やってみたいのはとても暗い『PUNISHER MAX』、あるいは傑作『グレンダイザー』、『マジンガーZ』とかですかね!
――『マッドマックス』だけでなく、いわゆる『マッドマックス』のパクリ映画にも影響を受けているかと思うのですが、一番好きな『マッドマックス』パクリ映画はなんでしょうか?
RSS:この質問は即答できます。『マッド・ファイター』(1983年)です。
物語、音楽、音響、アクション(人形がどんどん爆発する!)、衣装などすべて! チージーさ(素晴らしい安っぽさ)では最強なのがこの作品です。
――次回作の予定、構想があれば教えて下さい。
RSS:いろいろと面白い企画が控えています。今話せるものとしては、コミック『The Zombies that Ate the World』の映画化の脚本を準備しています。
後は、女性の復讐ものの脚本も執筆していて、これは『ターボキッド』の前から構想があった企画です。そして、『ターボキッド』が成功したら、ぜひ続編も作りたいと考えています。
――10年以上3人で活動しているとのことですが、ROADKILL SUPERSTARSが3人であることの一番の利点はなんでしょうか?
RSS:まさに、トライフォースのパワーです。
それぞれがチームに知力、体力、精神力をもたらし、チームとしてスーパー能率的になり、同時に自分たちのアイデアに対してスーパークリティカルにもなります。
カオスな状況に陥らないように、3人の力を最大限に引き出せるように、3人の役割が異なるのは撮影現場でのみです。
もし仲良くやっていけるなら、闘いの最前線には個人よりチームで行くほうが望ましいと私たちは考えています。映画製作とは、まさにコラボレーションの努力の賜物なんです。
『ターボキッド』は10/3(土)~10/9(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋、10/24(土)~10/30(金)名古屋シネマスコーレにて暴走レイトショー! 2016年1/13(水)にBlu-ray・DVD発売&レンタル同時リリースです。
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『ターボキッド』[KING MOVIES]
RKSS FILMS[Facebook]
BAGMAN Profession: Meurtrier[Vimeo]
ダクトテープ[Wikipedia]
[le matos]
(スタナー松井)
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