米上院本会議は24日、環太平洋連携協定(TPP)交渉妥結の前提となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で可決した。法案はオバマ大統領の署名を経て、成立する。米政府は8年ぶりに強力な通商交渉権を取得し、TPP交渉の取りまとめに向かう。日米など12カ国は大筋合意を視野に、7月にも閣僚会合を開く方向だ。
今一度、TPPの本質を理解する必要がある。
ウォーレン米上院議員(元ハーバード大学ロースクール教授)の警告を再掲載する。
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・米国はTPP交渉の最終ステージ。誰がTPPで利益を得るか。
・ISD条項が問題。「投資家―国家紛争処理条項」という名前にごまかされるな。
・ISD条項への合意は一段と多国籍企業に有利。.もっと悪い。それは米国の主権を損ねる。
・ISD条項は米国法律に挑戦し、米国裁判所の関与なしに巨額を納税者から支払
コメント
コメントを書く米国民主党の議員の中に多くの賛成議員が出てきたことは、お金の動きを無視できないとみるべきでしょう。TPP締結国では、多国籍企業の企業論理に従った経営を可能にするということである。
フランス企業が、賃金が安いのでエジプトで生産しているとき,エジプト政府が最低賃金を上げようとしたら、ISD条項に基づき訴えられる、エジプト国民の生活をエジプト政府が守ることができないということである。国民の生活が、企業に支配させられる、賃金が上がらない、物価が上がる、収入が低額に抑えられ、健康が守られない、医療が高額になる、何一つ国民にプラスにならないのです。
日本のように巨大な財政赤字、膨れ上がる福祉予算を抑えるためには、有効な政策であることは間違いないが、一方多くの平均的生活をして平凡な庶民が一気に貧困層に転落することでもある。
TPP発効前に、民主主義体制から全体性主義に変えないと、国民的混乱が大きくなり収拾がつかなくなるので、安保改正を急いでいるとみるべきであり、無関係であるとみていては、救われない。国民主権の憲法を守らないと、TPPが大手を振ってまかり通ることにつながるのです。集団的自衛権も、TPPと同じように、憲法の制約を受けないのです。両方とも、国民主権を抹殺する条約なのです。
孫崎先生ご説明のTPPの本質から浮かび上がって来る世界はやはり、腐っても鯛というか、アングロサクソンという民族優先主義に立脚(UKUSAの協定がそれを物語っている)したものであり、ウオール街とシテイの資本による、資本の為の、資本の帝国であり、そこにわざわざ日本が加盟する、何故?理由が分らない。
この帝国はあの大英帝国のコピーである。その証明は別にするとして、あのシンガポールがTPPに加盟するのはとても理解出来る。何故なら、都市国家シンガポールには帝国と利害が対立するMULTITUDE(民衆)がないわけ、あっても小さい、だから、実に簡単な決断だ。日本は膨大なMULTITUDEを抱えている。その利害を放棄するわけには行かない。
更に悪いことに、この帝国のマネジメントは米国主導で行われ、帝国加盟国のそれぞれの法体系の外、いや、上にあるわけだから、自ずとTYRANNY(暴政)になる。それがどういうことか、身近では沖縄の日米地位協定が良い見本。沖縄人に基本的人権はない。もっとふさわしい例は今の合衆国そのものと言えよう。内政は行き詰まり貧困はひどくなるばかりで各地で暴動が発生している。国際政治では北アフリカ、ウクライナ、中東でのテロ支援は合衆国のお家芸だ。
金儲けを企む連中が企画したTPPという帝国が上手くゆく訳がない。そういう企画は中途で自滅する。私は楽観している。
我々高齢者は、戦後の、物がない、配給の貧困の生活を知っており、耐えることはそれほど苦痛ではない。逆に、物を大切にする時代になってほしいとも思う。お金がない、物価が高騰する、貧困の生活を知らない物質的豊かさの時代に生きてきた自立性のかける若い人は貧困を乗り越えるのに、かなり苦労するのではないか。耐えられる人はいいが、問題は、国の助けばかりあてにする人たちである。戦後の混乱期は、みなが助け合い、兄弟が助け合い生活してきたが、現在は、利己主義の時代である、困難度は増したものになるのでしょう。米国、韓国の実態をよく見つめることが必要ではないか。見つめても体験しなければわからないかもしれない。
TPP交渉の内容は、米国ではすべての国会議員に報告されているが、日本では交渉参加者以外は何も知らされていない。
これだけでも、いかに不公平な交渉であるか解るはずだ。
また、ISD条項による裁判が、公的な裁判所ではなく、関連企業の顧問弁護士が担当する。
一企業の弁護士は、他国の国益より、自分の会社の利益を優先するのは当然である。
これほど自虐的な協定なのに、脱退の決断もできず、ずるずると蟻地獄に引き込まれる政治家は失格だ。
TTPの欧州版、米国とEU間のTTIPは数年前からEU議会で議論されてきたが、つい最近、EU議会は議題にすること自体を期限を切らずに延期した。理由は、ISD条項での仲裁裁判所の裁判官の任命にEUが参加できず、裁判の透明性、公正性が問題という意見が多くの国から出されたためである。同じ人種の米国とEU間でも仲裁裁判所の透明性、公正性が一番の心配ごとといっているのに、日本人を始め、アジア各国とも、喜んで参加するのは、全く理解できない。我々国民の富が、アメリカ企業に奪われる恐れ大にもかかわらず、参加するのは自殺行為以外のなんであろうか。